感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪189」
本日はわたモテ更新日です。
一部の隙も無い神回です。絶対に読みましょう。
・前回の感想
感想記事をリンクします。
以下、最新話のネタバレ注意!
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喪189 モテないしどこかで終わる
扉絵は在りし日のキバ子組ですね。背後のもこっちが花瓶を持っているところを見るに、喪85(9巻)のタイミングである事が分かります。時系列で言うと修学旅行後、体育祭前。まだサチノリマキがまともに登場していない頃である事を考えると、ちょっと感慨深いですね。
喪189時点での正確な日付は分かりませんが、喪85の頃から一年近く経過している事は間違いないでしょう。キバ子組の仲は最低でも一年近く続いているという事です。
この事実はよく覚えておきましょう。
・C級女子高生
合宿のよしみで美保とゆうちゃんが繋がりました。あの合宿は加藤さん編だと思っていましたが、実は原幕組とゆうちゃんを繋げる布石の回だったのかもしれませんね。もこっちに友達が出来てから目に見えて登場回数が少なくなったゆうちゃんですが、ここに来てよく出てくるようになって嬉しいです。
さて、今回の趣旨は合宿でCクラスだったゆうちゃんと風夏の勉強会だそうです。美保が勉強を教える側の学力の持ち主というのは、なかなか意外です。風夏も見た目だけなら勉強できそうな風格があるんですけどね。
・エロに関しては
また下ネタ、実力ない(Cクラス)の?
目に見えて汚れ役に堕ちた風夏、正直好き。往年の小宮山さんを感じます。フキダシの得意げなミニ風夏、可愛い。
しかしアホ可愛い二人とお姉さん役の同級生という日常系みたいな組み合わせにほっこりしていられるのは今のうちです。
・さっきはごめんね
……
ひえっ……
もうサチが出てくるだけで怖いです。前回の顔出しは一瞬でしたが、今回はいきなり顔があるわけですからね。意味分かんない表現ですが、そう言う他無いのです。
・私ぐちゃぐちゃになっちゃって……
……
嘘やん……
そのページの最後のコマで既に邪悪極まりない笑みを見せつけているサチですが、そんなの無くても嘘だって分かるほどの過剰演技。あまりに白々しくて、うすら寒いものを感じます。あまりに露骨すぎてか、マキが若干引いているのが笑えます。
……いや、やっぱ笑えません。お腹痛いです。
・サチ明らかにイラついてて
ノリは普通に心の中で嘲笑してましたしね。
ノリはサチほどキバ子に執着していないようです。逆に言うと、何でサチはここまでキバ子に執着しているのでしょう。ガチ過ぎて怖いです。
サチの執着に関しては、今後のエピソードで拾われる事があるのでしょうか。所詮元顔無しのモブキャラとはいえ、ここまでがっつりメインに据えられたキャラクターですし、拾って欲しいところです。
・小陽ちゃん大好き人間
……
本当やん……
冗談めかしてこんな事言うの、本当に怖いです。
この辺りの会話から、隠しきれない悪意がぼろぼろ零れ出ていて、思わず目を逸らしたくなってきます。なのにこんなに面白いのはどうしてでしょう。
・どこかで会ったことある?
助かりました。
息苦しい雰囲気から一転、ギャグが差し込んできてありがたいです。
さてこのイケメン、どっかで見た事ありますね。2年の終わり頃、クラスの打ち上げで焼肉を食べに行った時にもこっちの近くにいた男子ですね。ゆうちゃんの写真を見て「紹介して」と言っていました。この事件のせいで加藤さんはゆうちゃん=もこっちにちんこの画像を送りつけてくる人という図式が出来上がっていたわけですが……
・ちょっと待てちん……と言いかけたね?
ここの風夏の三連畳みかけ、本当笑います。テンポ良すぎて、口に出したいセリフです。いや、絶対出せませんが。
どうでもいいですが「言いかけたな?」じゃなくて「言いかけたね?」なのが風夏らしくてちょっと好きです。基本的に勇ましい口調の風夏ですが、時折ちょっとだけ穏やかな面が垣間見える感じがして、微笑ましいです。風夏はアホなだけで、近くのテーブルにいる邪悪4人組のような悪辣さは全くありませんね。爽やかです。
そして何気に過去のもこっちの嘘バレというミラクル展開。もこっちもまさかこんなところで一年近く前の嘘がバレるとは思いもしないでしょう。もちろんちんこ画像罪をゆうちゃんになすりつけたもこっちの自業自得ではあるのですが、バレ方がミラクル過ぎてもこっちに同情しそうです。
でも嘘ついたもこっちに角が立っていないのは救いですね。ゆうちゃんは割ともこっち全肯定なのでいつもの事ですが、美保は笑って面白がるし、風夏はアホだし。弱みや非を見つけても糾弾しようという動きが無い優しい世界、良いですね。
・そういや佐々木さんって
……
はい。
優しい世界は終わりです。
ターン制で笑いが出たり引っ込んだりするこのシステム、緩急がえげつないです。滅茶苦茶面白いので、何の文句もありませんが。
さてノリマキ、風夏の陰口を話し始めました。カースト上位の風夏の悪口で盛り上がって、溜飲を下げるつもりなのでしょう。口元が滅茶苦茶楽しそうで、邪悪極まりないです。
・ひがみっぽくてダサくない?
キバ子……?
キバ子、ついに反省して……
と思いきや別の悪口の題材を探してるの、笑えます。悪口自体をやめる気は無いの、まだまだ根が邪悪ですね。
まあその題材、根本の噂を流布してるの本人ですからね。悪口言って溜飲下げてるつもりのノリマキも、まさか本人の手のひらの上だとは夢にも思わないでしょう。こんなところで風夏のアホが活きるとは、なんだかちょっと面白いです。
・この前の球技大会
キバ子、会話に悪口を入れませんでした。
ノリマキを「ダサい」と思ったから、敢えてそうしたのでしょう。けれど悪口無しでは上手く話を繋げられず、マキに呆れられます。
キバ子もある意味、もこっちやゆり以上にコミュニケーション能力に難がありそうです。俗に言うアッパー系のコミュ障というやつですね。ちょっと違うかもしれませんが。
しかしどうあれ悪口無しで話をしようとした心意気は、評価に値すると思います。
・二つ結びの子
サチが積極的に二木さんに言及しました。
サチからすれば二木さんは、キバ子の興味を攫っていった相手なわけですからね。気にもするでしょう。
ノリの反応やサチの「あの子」という言い回しから見ると、二木さんは作中において可愛い系の見た目で通っているのでしょう。まあ実際可愛いですしね。
・あいつはそんなんじゃないから
二木さんの悪口を言われて反発するキバ子。コミュニケーションツールである悪口を否定したら会話にならない事は実感したばかりのはずなのに。頬に冷や汗を垂らしながらも引く事をしないその姿勢は、二木さんに対する関心の強さの表れでしょう。
それを敏感に察知したからこそ、サチはさらに苛立ったのでしょう。手元で乱暴に氷をつつく仕草にそれが表れていて、すごく分かりやすいです。
・サチに関係なくない
あっ……
苛立ってる相手にその言い草は絶対にダメです。
吉田さんだってそれやってまこっち怒らせたじゃないですか。
まして相手はサチ。まこっちとは邪悪さが桁違いです。腹黒さは競るレベルかもしれませんが。
・じゃあもういいや
ここ、本当に怖いです。
キバ子の突き放しに対して自棄になったという印象は薄いです。本当にもういいと思ったからこんな事を言ったという印象がはるかに強く、だからこそ最高に邪悪です。
そんな態度取るならもういらない。
そんな意志を感じました。
・アゴ
タイミングよく地雷を踏み抜くキバ子。
っていうかこれに対してのマキ、沸点低すぎないです?
キバ子がいない間にキバ子の悪口を言っていた面子ですよ? 自分がいない間に自分の悪口言われる事くらい予想出来たはずでしょう。
悪口言うのは好きだけど、悪口言われるのは我慢ならない。
そういうスタンスは、ある意味ここ一番の邪悪さを孕んでいる気がします。あまりに身勝手で、あまりに浅慮。自己中心的性格の究極形とも呼べる最低さを目の当たりにした気分です。
とはいえ一応マキがここで怒るのに関しては、全く理解が出来ないという程でもありません。言われたのがマキ自身の悪口ならもう完全に最低ですが、マキの彼氏の悪口となるとまた話は変わってきます。
学校内のカーストを必要以上に気にしていそうなキバ子メンバーの一員なので、てっきりマキは彼氏の事なんて一種のステータス程度にしか思っていないという先入観がありましたが……これだけしっかり怒るという事は、きちんと彼氏の事を等身大の人間として愛しているという事ですよね。あるいは自分のステータスを下げられた気がして……というのもあるかもしれませんが、それならこんなに怒らないでしょう。
一応マキの人間性が垣間見えたので、最低は取り下げるとしましょう。
・アゴ呼びしたのはあんたが最初
ここめっちゃシリアスな場面なのに、ツッコミがギャグ風なのでちょっと笑ってしまいました。
いや本当、笑えないはずなんですけどね。
こうやってとぼけるノリも邪悪です。ただとぼけるだけならまだしも、罪を全部キバ子になすりつけて、あまつさえ逆ギレで非難する辺り、控えめに言ってクズです。邪悪過ぎて読んでいるこちらが吐き気を催しそうになりました。
・証拠はある
ブラフに引っ掛かるノリがちょろいと言うより、手慣れた感じでブラフを仕掛けてくるサチが怖いです。普通に音声データ流すよりよっぽど背筋が寒くなります。
「嘘だけどね」の時のノリマキの顔、ちょっと見たいです。
・明日から話しかけんなよ
一年近く保たれていたキバ子グループの絆、たった一言の失言がきっかけであっさり終了してしまいました。儚いにもほどがある友情、よく今まで何も起こらなかったものです。
思えばifでもこっちがキバ子・サチグループに加入した時に早々にグループが崩壊したのも、たった一言が原因でした。口が早いもこっちだから一瞬でしたが、どのみち時間の問題だったのでしょう。悪口を言いながらも悪口を言われたくない、それでいていないメンバーの悪口を楽しむなんて、思いっきり自己矛盾を抱えたグループでしたしね。
マキに続いて、ノリも離脱。捨て台詞でサチの陰口を暴露する最低な小物っぷり、逆に好き。
・なんであんなことしたの?
そりゃ聞きたくなりますよね。キバ子目線じゃサチの言動は意味不明です。読者目線でも相当不透明ですし。
キバ子の問いをきっかけに、いろいろな思いを吐露するサチ。でも結局キバ子自身への複雑な感情については、多く言及しませんでした。
・最後に
サチの友情観は、非常に刹那的です。まるで焼き畑農業のような生き方ですが、そういう価値観もあるのでしょう。それで終わってしまうのが人間関係の恐ろしいところですが。
そして最後という言葉とともに、顔を失うサチ。
この演出、ものすごく感動しました。
見返せば、たった二話(特別編を入れて三話)限りのサチの顔でしたが……非常に大きな意味を持っていたと言えましょう。
突如個性を剥き出しにして暴れるだけ暴れたモブキャラが、またモブキャラに戻っていくというこの構図……これもまた刹那的です。
きっと、今後サチがこれほどクローズアップされる事はないのでしょう。少なくとも、しばらくはまたのっぺらぼうのままになるのだと思います。
キバ子とサチとの関係は、もしかするとここで終わりになるのかもしれません。作劇的にここでサチがフェードアウトするのはあまりにも勿体ない気がしますが、メタ的にフェードアウトは十分に視野の内です。
邪悪極まりないキャラですが、キバ子の掘り下げに彼女は必須です。彼女自身割り切ってキバ子との縁を切ったような構図ですが……どうなるでしょう。
・大丈夫?
ここで投入される清涼剤、ゆうちゃん!
この人は本当に優しいです。キバ子達とは対極に、ひとかけらの悪意も感じない、今江先輩並みの善性の持ち主と言っても過言ではないでしょう。
けれど彼女は善性が強すぎるあまり、かえって相手を落ち込ませてしまう事がしばしばあります。喪124におけるゆりの様子がまさにそれでしょう。ゆうちゃんが眩しすぎるから、自分と比較してしまうパターン。キバ子も同様です。
・結構楽しかった
ここのキバ子の独白、複雑ですね。
サチもノリもマキも、自分自身すらも嫌な奴だと自覚しつつ、ぎすぎすした仲である事が分かっていながらも楽しかったというのは、言葉に直して考えるとわけわかんないです。
でもそれはきっと、そういう人間関係を形成しないと分からない事なのでしょう。だからこそキバ子は理解を求めていません。自分自身の中だけで留めています。
真っ白なコマに文字だけの独白が今回の締めにこれ以上ないくらい相応しく感じました。
総評
……
いや、これはヤバいですよ。
最高という言葉でさえ表せないです。とんでもない回でした。
喪189の満足度:100/100
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