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感想「闇麻のマミヤ 3巻」

4月1日に「闇麻のマミヤ」最新刊が発売されました。

ちょっとだけ語ります。

・漫画紹介

紹介記事をリンクします。

・前巻の感想

感想記事をリンクします。

以下、最新刊のネタバレ注意!

・闇依存

「闇麻」は面白いですね。

点棒さえ払えば「闇」での防御が可能というゲーム構造は、基本的にリードしている側に有利です。リードが大きければ大きいほど相対的なリスクが下がるため、より安全に動けます。

しかしその反面、当然ながら点の移動が流動的になります。「闇」の使用で支払った点棒は供託になるため、ツモや直撃での両者の点差が2000点縮まるという事。「闇」を4回行使したなら、縮まる点差は8000点。直撃ならば3900に相当します。満貫が跳満に持ち上がるという考え方なら、2翻分もの得になるという事です。

そして劇中での言葉を借りるなら、「闇は闇を呼ぶ」という現象。投資した分の損切りに失敗すると、何度も闇を使う事になります。

こうなると多少リードしていても苦しいですね。

そしてその苦しさは、作中でかなり分かりやすい形で提示されています。少々くどいくらい丁寧に、鬼頭が計算を示してくれます。

このくどさのせいで展開がなかなか進まないという事実を考えると歯がゆいですが、これはこれで演出上必要なくどさかもしれません。

なにせ「闇麻」はこの漫画独自ルールのギャンブル。心情描写による状況説明が少なければ、ゲームのリアリティーと冷や汗を流す登場人物への感情移入が難しくなるのかもしれません。

ともあれ状況判断はしやすいですね。ありがたいです。

そしてこの回、マミヤが明確に不自然な行動を取りました。

明らかに張っている様子の鬼頭に対し、生牌である中を即切りする暴挙。しかも彼女自身はそれを全くリスクと思っていない風でした。この挙動は最初期のアカギを彷彿とさせますね。マミヤなりに、独自の捨て牌理論を持っているのでしょうか。ちょっと気になります。

どうでもいいですが、ここのマミヤと鬼頭のやり取り、好きです。

「中学生の麻雀か?」

的確な指摘ではあるのですが……なんか笑えます。

・援護

マミヤの口撃であっさりぼろを出す鬼頭……ちょろくて笑えます。ここに限らずこの男、基本的にマミヤのペースに乗せられっぱなしで威厳がありません。まあ大企業の社長でも裏社会の要人でもない相手ですし、そんなものかもしれませんが。

そしてまた、先程の中に続いて危険牌の白を即切りするマミヤ。まるで鬼頭の待ちが両面だと分かっているかの様子です。防御に気を遣う様子を全く見せないのは、やはり何かしら裏がありそうですね。

さて、危険牌を掴んだ鬼頭ですが……

・歴

鬼頭のバックボーンが描写されました。

見た目に似合わず手堅く堅実な性格のようですが……大きいギャンブルに不向きなタイプに見えます。だからこそ優勢なこの状況で堅い打ちまわしが出来たという事ですね。

しかし「闇」が可能な闇麻でその打ちまわしはどうなのでしょう。現物を切ってリスクを回避するまでは良いのですが、テンパイを維持して粘ろうとするのはいささか往生際が悪い気がします。その結果待ちが狭まった事を考えると、少々無理を押してでも1000点支払って両面を維持した方がよかったのではないでしょうか。この辺りから鬼頭が闇麻に溺れている感じが伝わってきます。

鬼頭は手を曲げ、マミヤは曲げませんでした。闇での供託が手に入るのは、サシウマ相手からの直取りかツモの場合のみ。外野から5800を和了したところで、大差で負けているマミヤの旨味はそれほど多くありません。治は嘆いていましたが、次も良形の三面張が入るとは限らない以上、粘るべきでしょう。たとえ鬼頭側が苦しいという状況が分からなくても、です。

そういう日和り方は、流れに影響が出る……気がしますよね。

マミヤの不退転のセリフがかっこいいです。

「ケチな点棒」拾ってられるか!

やっぱりこういう部分でアカギに近しい何かを感じざるを得ません。もしかすると、マミヤはアカギと何かしらの関係があったのかもしれません。アカギに家族はいませんでしたし、20年前に死去しているアカギに未成年のマミヤが会えるわけがないのですが……

・偶発

偶然の結果により、鬼頭が和了しました。

……もしかしてこれ、この漫画における最初の和了ですかね?

初めての和了まで2.5巻かかる麻雀漫画とはなかなか珍しいものです。それだけ描写が濃厚だったとも言えますが。

20000点以上の供託を逃す結果になったマミヤですが、クレバーです。冷や汗を垂らしながらも不敵に笑みを浮かべる様子は、ようやく麻雀漫画の主人公っぽくなってきたというものです。後から文句を垂れる治を一蹴し、「結果論よりも大切な事がある」と強気な様子のマミヤ、素敵です。

勝ち負けを一旦置いておいて打ち方に美学を見出すその様子も、変則的ながらアカギっぽさを感じます。アカギも変に潔かったですからね。そこがかっこよかったとも言えますが。

しかしここからの流れは気が抜けます。鬼頭の子どもみたいな煽りから冷静さを失ったマミヤもまた子どもっぽく反論し、読んでいる側の毒気も抜かれてしまいます。

でもそんな言い争いの中でも、核心を突いた指摘があります。

鬼頭の打ちまわしは明らかに中途半端でした。危険牌が零れるのを恐れるあまり手を回し、しかしテンパイだけはなんとか維持して薄い待ちを祈るという、まるでニセアカギみたいなムーブでした。

結果的に勝ちを拾えたものの、精神的な優位はマミヤにあります。

そしてその優位で形成をひっくり返したのが、浦部戦でのアカギでした。奇しくもマミヤの置かれた現状は、その時のアカギに酷似しています。他人の金を背負った麻雀で、遅刻により卓に入った状態で負けが込んでいる。

ならばここから先の展開も、アカギ並みの手腕を期待しても良いのでしょうか。楽しみです。

・風前

マミヤには打ちまわしの差で得た「流れ」の他に、もう少し具体的な優位があるようです。

見たところそれは、鬼頭の表情や手癖にあるようです。もしかして「無敵の人」の瑞樹みたいに、他人の癖からいろいろと読み取っていくタイプの雀士なのでしょうか。そういう事なら、完闇も打ち破れるかもしれませんね。

さて、トビについて改めてルール確認、というところでまたしてもマミヤの性質が一つ開示されます。

「勝負事にはフェアーでありたい」という基本スタンスは、やはりアカギに近いですね。こうなってくるとキャラクターとしての魅力もうなぎのぼりです。

しかし「トビあり」は「トビなし」よりもポピュラーですし、この口論に関してはやや不自然に感じます。マミヤのアカギ的スタンスを見せる展開のために用意された風にさえ見えます。個人的に好きな演出なので文句は全くありませんが。

・悲惨

意外と治はメンタル弱いですね。

元々アカギの相棒だったというバックボーンを考えると、そもそも苦戦が稀だったのかもしれません。逆境に弱い外野とはまた珍しいですね。

「幸せになれない王様」ちょっと好きです。掛かってるようで掛かってないこの腑抜けた言い回し、癖になります。

さてマミヤ、それでも強気です。

「ツキが無いと勝てない」と当たり前の事を言っているようですが、裏を返せば「ツキさえあれば勝てる」と言っている風です。これってつまり、攻撃さえ上手く行けば防御は完璧という事ですよね。

前半の中と白の即打ちといい、「倍満までならツモられても平気」という発言……つまり振り込まないという自信の表れでしょう。

いや、あくまで予想に過ぎないんですけどね。

さて、悲惨なマミヤの手に対し、鬼頭は小三元が見えている好配牌。

でもこの時点で「小三元」なんて言っている辺り、危なっかしいですね。高い手を狙いたくなるのは分かりますが、堅実に行くというスタイルを持ったまま打ちまわせるのでしょうか。

決着は次巻に持ち越し……いや、まだまだかかりそうですね。気長に待ちましょう。

総評

導入のお話と思っていたこのエピソードはまた東3局。段々面白くなってきましたし、先が楽しみです。

3巻の満足度:88/100

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