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漫画紹介「中間管理録トネガワ」
ジャンル:ギャグ、全10巻
「中間管理録トネガワ」は月刊ヤングマガジンで連載していた漫画で、原作を萩原天晴先生、作画を橋本智広先生と三好智樹先生が担当しています。
「賭博黙示録カイジ」のスピンオフ作品です。
有名な漫画ですが、こちらも非常に面白いです。紹介記事を別で書いているので、興味があるなら見てみて下さい。
あちらはギャンブル漫画ですが、「トネガワ」は全く趣が異なるので、別ジャンルと言っても良いでしょう。
・あらすじ
ブラック企業「帝愛」に勤める中間管理職、利根川幸雄は苦労人。上司は傍若無人でわがまま放題の兵頭会長、部下は帝愛の規則によって皆一様に同じ格好をした黒服達。上から叩かれ、下から突き上げられ、問題ばかりが降って湧く利根川の受動的ギャグ漫画。
・魅力その1、妙に親近感の湧く敵キャラ主人公
利根川は「カイジ」にて、主人公であるカイジと敵対するキャラクターです。カイジの足掻きを嘲笑う残酷さや卑怯なイカサマを使って相手を絡め取る狡猾さ、口八丁で他人をコントロールするカリスマ性などなど、キャラクター的魅力に満ちています。
そんな利根川が悪として描かれていた本編とは別の視点として書かれているのがこのスピンオフ。利根川がカイジと出会う前日譚というわけです。
「カイジ」では恐ろしい側面ばかりが見えていた利根川ですが、「トネガワ」ではコミカルで人間臭い描写が多く、親近感が沸きます。本編の敵キャラのそういう姿は、それだけでミスマッチな笑いがあるものです。
とはいえキャラクターとして全く別人というわけではありません。元々利根川は仕事一本で生きてきた真面目人間であるという描写が本編の彼自身の言葉から読み取る事ができ、そういう真面目さが災いとして「トネガワ」のコミカルさに繋がるというのは、割と自然な気がします。
キャラクターが崩壊しない程度の崩し方が絶妙です。
・魅力その2、ほどよい本編リスペクト
「トネガワ」では、「カイジ」本編をリスペクトした展開が多めです。ギャグ系のスピンオフだから当然といえば当然ではあるのですが、物語展開のほとんどが本編ありきなのでスピンオフの必然性が高く、それゆえに「カイジ」ファンにオススメしやすい漫画です。どう本編ありきかというのはギャグ部分に触れるため、直接読んでもらうしかないのですが。
また、絵柄も非常に本編に寄せられており、「カイジ」の作者である福本伸行先生そっくりです。まるでご本人が書いているかのような絵なので、キャラデザインの乖離が見られず、ファンとしては非常に嬉しいところです。
・魅力その3、フィクションだから笑えるブラックさ
帝愛はブラック企業です。
カイジ本編の連載が開始された時点でそうでしたが、時代が進んだ現代においては、その存在は完全なるファンタジーと言っても過言ではないほどに過激です。
そして「トネガワ」では、そのブラックさを遺憾なくギャグに変換されています。現実にあったら笑えないほどに劣悪な職場環境ですが、上手くギャグテイストに落とされているので笑えるのです。そしてそうやって笑えるからこそ、キャラクターに魅力をよく感じるという事です。
総評
「カイジ」のスピンオフですが、カイジを知らなくてもオススメ出来るくらいには面白い漫画ですが、やはりカイジを知っているとより笑えるので、カイジと一緒にオススメします。
私的好感度:87/100、オススメ度:77/100