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感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪185」

わたモテ最新話、更新です!

「海浜秀学院のシロイハル」の連載が終了してからはや一週間。その分しっかりとわたモテを楽しみましょう。

・前回の感想

感想記事をリンクします。

以下、最新話のネタバレ注意!

喪185 モテないし自由に席を選ぶ

サブタイトルでどういう類の回なのかよく分かりますね。捻りなしのシンプルな副題です。

・席替え

これまでにも作中で何度か行われてきた席替え、最後なので、自由に決めてよいとのことでした。さすがは体育教師、荻野らしいサービスです。

しかし最後というのが、なんだか少し心にきますね。高校三年生の秋という事で、もこっちに残された高校生活があとわずかである事は分かっているのですが……作中でこうはっきりと言及されると切ないものがあります。

二学期はまだ始まったばかりですが……一話一話、楽しんで読みたいものです。

さてこの自由な席替えに、もこっちは珍しい表情で呆けています。いつも以上に目が大きくて可愛いですね。でもその心情は可愛くないようですが。

荻野が提案した自由な席替えを、もこっちはぼっちとしての目線で紐解きます。自由でありつつも、友達がいない人間には不自由極まりない……と。なんだか遠回しに荻野に文句を言っているようで、ちょっと笑えます。この場合はさすがに、荻野も悪くはありませんけどね。

しかしもこっち、もうぼっちではありません。むしろ友人に恵まれた立場にあります。だからこそ席替えが自由であるという事が美味しいです。つまるところもこっち争奪戦といっても過言ではないわけですからね。

・ゆりの主張

ゆりの要望はいつもの4人で固まる事。相も変わらずゆりの世界は狭いままのようです。修学旅行からおよそ一年、未だにその時のままの閉じた関係を望むゆりは、ぶれませんね。成長していないとも言えますが。

遠足や合宿なんかでは4人以外のメンバーと絡む機会もありましたが、元々ゆりは表層の浅い部分では誰とでもある程度話は出来るという、もこっちとは異なるぼっち性質ですし、それが成長に繋がっているかと言われると難しいところです。

とはいえここのゆりの希望はあくまで要望程度のもの。4人の閉じた世界でないと嫌だと言っているわけでもないので、その思想は別段非難されるべきものでもありません。ただもう少し4人以外の輪に興味を持ってほしいものですが。

・ネモの主張

やはりネモももこっちの隣に座りたいようです。

正直ネモに関しては三年連続隣だったわけですし、もういいような気もしますが……まあ人間関係というのはそういうのじゃないという事ですよね。

言及はされていませんが、さりげなく岡田さんを反対側の隣に据えているのが良いですね。ネモはゆりと違って誰とでも仲良く出来るタイプですが、その中でも岡田さんは特に大切な友人であるというのが伝わってきて、ちょっと嬉しくなりますね。

ついでにゆりにもアプローチをかけますが、普段通り軽くあしらわれます。先程「4人だったらどこでもいい」と言っていたのに、ネモに対してはツークッションを要求する辺り、またしてもひどいです。

とはいえネモは「冷たくあしらってくるゆり」が気に入っているようなので、傷つきはしないようですが。こう書くと、なんだかネモが滅茶苦茶厄介な人物に思えてきて笑えます。ネモ側が一切悪意を持って接していないので、優しい世界の範疇ですけれど。

・加藤さんの主張

登場はしませんが、やはりもこっちの隣に座りたいようです。

しかしもこっち、こうなるとモテモテですね。そして全員の要求を叶えるのがなかなか難しいです。

隣に座りたいのがネモと加藤さん、固まりたいのがゆり。それならゆりグループを背後に固め、両サイドにネモと加藤さんを置くかたちでなんとかなりそうではありますが……ネックになるのがゆりのツークッション発言。余計な事を言うからややこしくなるじゃないですか。いっそゆりグループは縦一列になって貰えばなんとかなりますか……

なんかパズルみたいですね。

・うっちーの主張

……

いや内さんは関係なくない!!?

スッとシームレスに登場するから笑えます。この神出鬼没さ、2年後半~3年前半の彼女を思い出させます。あ、でも和田さんと漫画読んでた時とかも突然瞬間移動していましたし、よくある事ですね。

さてうっちー、今日もエンジン全開です。

「半径5m以内なら同室にいるのと一緒だし気配は感じられると思う」

うっちーさあ……自分でおかしい事言ってるのに気づかないんですかねえ。とりあえずうっちーがノブナガよりも高度な念能力者である事が判明したのは置いておくとしても、気配を感じようとしているのはおかしいでしょう。もこっちも涼しい顔で応対していないで、もっと恐怖を感じてほしいです。こういうところ、良くも悪くも鈍感ですよね。

そして何故か唐突に打線を組みはじめるうっちー。野球知らないのにちゃっかりもこっちとバッテリーを組む図々しさ、大好きです、

そして打線と聞くやいなや飛んでくる節操無しの小宮山さんという流れるようなコンボにはお腹を抱える他ありません。うっちーとはほとんど面識ないのにこの気安さ、彼女もまたもこっちやゆりとは別ベクトルのコミュ障ですね。いや、ある意味コミュ強ですが。

やっぱ小宮山さんはこの節操の無さが魅力的です。ちんちんシスターズとしての活躍も好きですが、こういうギャグでこそ光る人物でしょう。良くも悪くも最高のギャグ要因です。ぜひ風夏と一線交えてほしいところです。

・真子の主張

とりあえず吉田さんと一緒なのはお互い既定路線のようでほっこりします。ついでにゆりともこっちの意見もきちんと聞く抜け目の無さ。真子の顔の広さの理由がよく分かる思考です。

どうでもいいですが吉田さん、なんでそんなに疲労してそうな感じなんでしょうか。二学期が始まったばかりで連休疲れでしょうか。普通に寝てばっかりいるだけかもしれませんが。

そういえば吉田さんと真子は夏休み中に確執があったはずですが……ちゃっかり解決していますね。この辺りは、19巻か20巻の単行本のおまけで補足されたりするんでしょうか。もこっちの一人称視点ではあずかり知らない場面はどうしても本編に落とし込みづらいでしょうし、直接語られはしないでしょう。

まあそれはそれとして。

・キバ子の主張

そういえばこの人もいましたね。夏休み中全然出てこないからすっかり忘れていましたが、目下真子の悩みの種的な問題児です。

真子はなんでキバ子と友達やってるんでしょうね。明らかに反りが合わない相手だと思うのですが……なまじ優しい性格が災いして、一度友達になった手前、そうそう見捨てられないのでしょう。

でも真子自身、キバ子の悪口癖に辟易するような描写はあっても、キバ子自身を嫌うような事はこれまでに一度もありませんでした。かなり特殊ですが、これはこれで一つの友情なのでしょう。

さてそんなキバ子は現在真子以外にクラスに友人がいないため、要望は真子の隣というだけです。

シンプルですが、キバ子には敵が多いため難しい配置になりそうです。特別な描写こそ無いもののナチュラルに「南さんは出来る限り(ゆりから)離して」などと言われていますし、加藤さんやネモ、岡田さん相手も出来ませんから大変です。

けれど南さんもふてぶてしいだけではなく、きちんと危機感を持った普通の人。焦り顔でなんとか真子を傍に置こうと必死です。「裏切らないよね」と、真子にとって禁句とも言える呪いの言葉で釘を刺していきました。

わたモテにおいて裏切りとは、真子の代名詞……というとあんまりですが、真子はそのくらい裏切り行為を働いています。よく言えば誰にでも優しく、だからこそどうしても八方美人な点がある真子らしいといえばらしいのですが、当人もそれを気にしており、一度はそのせいで嘔吐しています。だから彼女にとって「裏切り」という言葉はおそらくかなりのトラウマでしょう。こういう細かい部分で的確な言葉選びをするニコ先生、素敵です。

さて、いよいよ全員の主張を成立させるのが難しくなってきました。真子も頭を抱えます。

・真子イライラ

頭を抱える真子をよそに、さらに要望を挟み込んだ上で急かすゆり。真子相手のわがままというか内弁慶は今に始まった事ではないので、日常の光景でしょう。

ですがここで真子が苛立ったように言い返すのは、おそらく日常の光景ではないでしょう。意外だったのか、ゆりも驚いています。

こんな真子は珍しいですね。実は吉田さんとの確執は尾を引いているんでしょうか。実はこの部分、今後の伏線になるかもしれません。

思えば真子というキャラクターにスポットが当たる機会は、非常に少なかったように思えます。修学旅行から登場しているかなり古参のキャラでありながら、メイン回は喪99のみだったような気がします。しかもその回で定着したのが「ガチ〇ズ」さんという不名誉極まりない称号。キャラクターとしてあまりに不憫な彼女がついに報われる日が来たり来なかったりするのでしょうか。今後が楽しみです。

・吉田さんの主張

「どこでもいい」と言いつつ要望は二木さんの隣。

ゲーセンでの邂逅以来、吉田さんグループと二木さんは仲良しです。夏休みにはもこっちと一緒に海に行ったくらいですからね。真子のあずかり知らないところで、どんどん仲良くなっていく二人。素敵です。

さりげなく隣を要求する吉田さん、それに一瞬驚きながらも特段その真意を疑う事なく「うん」と違和感の無い返事を返す二木さん。これは良い。二木さん、可愛いです。

ただ、そんな事して真子さんが黙ってるわけもありませんよね。ふきだしのミニ真子さん、可愛いです。

まあでもこれは吉田さんが悪い。もうちょっと真子さんの置かれた状況を慮って、優しくしてあげてほしいものです。

・不自由を感じたもこっち

自由な席替えが混沌としていく様子に頭を抱えたのか、もこっちは一人教室を出ます。向かう先は、かつての思い出の場所でした。1、2年時……もこっちがまだぼっちだった頃にいた場所。

それらを巡りながら、もこっちは何を思うのでしょう。

続いて訪れたのは、図書室でした。小宮山さんがいる関係で修学旅行以前は足しげく通っていた場所でしたが、それも随分昔の事。けれどこの場所もまた、紛れもなくぼっち時代の思い出の場所です。

・小宮山さんと朱里ちゃん

図書室には小宮山さんと朱里ちゃんがいました。

(ちんちん!)

……

短いセンテンスでこれほど破壊力があるセリフはなかなかありません。そしてこの単語のみで二人の存在を認めた事が分かって面白いです。

しかし朱里ちゃん、小宮山さんと過ごしているんですね。黒木家訪問の際に阿玉に血が上っていた小宮山さんでしたが、結局二人は良い先輩後輩の関係を築いているようです。部活で一緒とかでもないのに休み時間まで一緒にいるなんて、相当親しい間柄でなければあり得ないでしょう。しかも小宮山さんのガチ読書に対して朱里ちゃんはいかにも集中に欠けた風に雑誌を開いて読んでいるだけ。ある程度暇を持て余しているようにも見えますが、それでも尚小宮山さんと一緒にいるというのは、朱里ちゃんがそれなりに小宮山さんを慕っている証拠です。

そう考えると二人の仲は単なる恋敵や共闘関係ではなく、もっと深い何かなのかもしれません。思えば小宮山さんはもこっちと非常に良く似た性質の持ち主で、他人に好かれるだけの魅力を持っていてもおかしくありません。現に伊藤さんは小宮山さんに尋常でない執着を見せていますし……

小宮山さん目線のお話が見たいです。ぜひとも見たいと思います。

・もこっちの主張

教室に戻ったもこっちは、独断で自由席に名前を記入します。その場所は、皆の要望を叶えるための最善手ではなく、本当にもこっちの希望だけを加味した場所でした。

やっている事は吉田さんと同じです。傍にいたいという皆の希望をはねのけて自分の主張を通したという意味では、ある意味投げやりな吉田さんよりもやや質が悪いかもしれません。

ですがもこっちは今回、そういうしがらみから逃れたかったのでしょう。友人が増えるごとに自由が不自由になっている事を感じたからこそ、敢えてその不自由さを無視して自由に振舞う……と。

ある程度成功して積み上げた先に自由を得るため、自ら積み上げた成功を崩すアカギみたいな思考でしょうか。そう考えると妙に神聖な行為に見えなくもないです。

とはいえ自分勝手なだけではなく、きちんとゆりに対して「隣じゃなくても一緒にいる」とアフターケアの言葉を投げかける等、きちんと周りも見ています。自由を求めた上で不自由な友人関係もしっかり維持するもこっち、とても良いです。

さてもこっち、ぼっちでなくなった上で敢えてぼっちとしての視点を求め始めました。これが一体どのような結末を招くのかは……現段階ではなんとも言えません。やや不穏な気がしないでもないので、安全な落としどころだけを願います。

・小宮山さんについて

ちょっと余談ですが。

小宮山さん、今回もこっちに対してやたらリアクション薄くないですか?

図書室で会った時は読書に集中していたという事なのでしょうが、席替え後には隣同士になったというのに、それに対して表情一つ変えないというのはさすがにちょっと不自然です。

極めつけは最後のページ、もこっちがネモと会話している時、もこっちに無関心そうに席を立つ小宮山さんの姿がわざわざ描写されています。

これ見よがしに小宮山さんの無関心描写。一体何があったというのでしょう。何も無いというわけは無さそうですが……

こうなると次回が気になって仕方がありません。

総評

席替え回というのは大抵、環境の変化による次回以降のための布石の回ですが……今回は今回単体で、もこっちのぼっち観が表れていて、非常に面白かったです。

そして気になるのはやっぱり小宮山さん。最後の席替えで満を持して隣同士になった同中の仲。

何かが起こる予感がします。

喪185の満足度:99/100


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