感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪178」
ガンガンオンラインのアプリにて、わたモテの最新話が更新されました。前回の更新から2週間、この日を待ち焦がれていました。この日のために今日まで生きてきたという人も、決して少なくないでしょう。心して読みましょう。
ちなみに前回のふりかえりとして、喪177の感想記事を載せておきます。
以下、最新話のネタバレ注意!
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さて、今回は引き続きネモとのお泊り回です。
・コンビニにお菓子を買いに行く二人
ホテルでお泊りといえば、お菓子ですよね。もこっちもネモもよく分かっています。というかこの場合、ネモがよく分かっている感じですね。さすがは元リア充、楽しい事に対して敏感です。
夏コミ帰りの男子とすれ違う二人。どこか夏を感じます。
そういえば現実ももう夏ですね。またわたモテの時間軸に追いつく季節になったと思うと、なんだか謎の寂寥感が押し寄せてきます。
さてもこっち、コンビニでアイスコーヒーを買っていました。ネモに「好きなの?」と聞かれて「なんとなく」と答えるもこっち。なんだかちょっと印象的ですね。
確かにもこっちはよくアイスコーヒーを飲んでいます。初めてそれが描写されたのは1巻の喪3、ゆうちゃん初登場回まで遡ります。ここでもこっちがネモの問いに対して素直に首肯せず「なんとなく」と濁したのは、その時点よりも前に特殊なエピソードが、もしくは喪3における苦々しい体験を自身で封印したいと思っているからか……といったところでしょうか。
いずれにしても伏線だとも思えない日常の一風景みたいな光景で、少し珍しい雰囲気でした。
・デリヘルの人
この「わたモテ」は非常に下ネタ成分が多く含まれている漫画ですが、ここまで直接的な18禁っぽい描写を挟んできたのは、おそらく初めてなんじゃないでしょうか。修学旅行の後にJK散歩をする制服の女子が登場した事はありましたが、今回のと比べるとかなりマイルドでしょう。生理的嫌悪というとかなり悪辣な言い方ですが、少し予想外で面食らってしまいました。
モブゆえか顔が全く描写されないのは、南さんことキバ子の友人サチノリマキを彷彿させますね。まさかそのうちの一人と同一人物……ではないとは思いますが。それならもこっちはともかく、ネモが気づくでしょうしね。
デリヘルの人とエレベーターで一緒になる二人。なんかこの辺り、無言のコマが多くてシュールですね。
さて、どうやらネモは「デリヘル」を知らないようです。見た目や内心の黒さに似合わず、随分純粋なものです。とても「大麻忍」をプレイしたとは思えない純情さです。
……というか伏字、いらないんですね。「デ〇ヘル」とかこういう表記になると思っていましたが……
そして「ウーバーイーツ」は駄目なんですね。やっぱり商標はアウトなんでしょうか。一時期は「クレヨンしんちゃん」すら伏字無しで出していた頃と比べると自重がちなのは、その一見で注意でも受けたのでしょうか。
・もこっち耳年増
デリヘルを皮切りに、もこっちお得意のネットで得たエロ知識のターンです。こういうのに拒否感を持たずに自然にネット検索が出来るもこっちって、相当な耳年増ですよね。さすがは元喪女、狭い方向に明るいものです。
しかしもこっちと対照的に、ネモはそういうのに疎いようです。そしてその方面の仕事や相手側の男性に対して、至って普通の嫌悪感も抱いています。「お金で女の人とそういうのするってなんかな――」というネモの意見は、まともな女子高生なら当然の思考でしょう。
ただ、ここでネモの主張というか考え方が明らかになります。もこっちが言う「オタクがお金でエロ同人を買う」という行為とデリヘルは、ネモの中では明確な線引きがされているようです。
この辺の意識が、のちのち禍根を発生させます。
・いらいらネモ
もこっちの挑発じみた言い分に、「Hなこと知ってたらエラいんだ」とやや強気に反撃するネモ。吹き出しの中で笑顔になるあのネモは、静かに怒ったときのものですね。
とはいえこの段階ではまだ売り言葉に買い言葉、ネモも煽り合いを楽しんでいる事でしょう。
思わぬ反撃にたじろぐもこっち。咄嗟に引き合いに出すのがゆりと小宮山さんで、しかもその二人を「一般人じゃない」と一括りにするのが笑えました。
確かに小宮山さんは超ド級変態です。何も否定する事はありません。
ただゆりに関して「ネクラむっつり」は酷い評価です。何より小宮山さんと一緒くたにされるとは不憫極まりないです。
本人はその場にいないし、もこっちも口に出しているわけではないので責められはしませんが、こここそがもこっちの悪質なところでしょう。悪人にはなりきれない程度の優しさを持ち合わせているもこっちですが、こういう内心容赦無いところが彼女の良い部分であり、悪い部分でもあるでしょう。
で、その勢いで一閃。
「枕営業」
何気ない口撃が、ネモの怒りに触れます。これは怒られても仕方が無いでしょう。
思えばもこっちは、ネモの夢が声優である事を知っていても、それがどういうものなのかを具体的に知ろうとはしませんでした。ネットで得た断片的な声優の知識だけを積み重ね、そのイメージのままに言葉としてネモにぶつけてしまったのでしょう。
でももこっちの持つ声優のイメージとネモのそれは、全く異なるものでしょう。
エロに対して嫌悪感を持つネモには、もこっちの認識が声優をばかにしているという風に見えても何ら不思議はありません。曲がりなりにも真面目に夢を追いかけているネモにとって、もこっちの言葉は夢を侮辱するに等しいものだったのかもしれません。
ネモの怒りは至極もっともです。むしろここで気まずくなるだけで済ませてしまうネモは、懐が広い方だと思います。
もともともこっちは、友達が出来ないコミュニケーション能力に難がある性格でした。修学旅行以降段々と周りに人が集まってきて、かなりコミュニケーション能力が矯正されてきたらしい彼女ですが、それでも他人と二人きりというシチュエーションはそれほど多くなかったのではないでしょうか。
そして二人になったとしても、相手側に怒る理由が無い場合も多かったのではないでしょうか。
ゆりは目立った趣味や目標が無く、吉田さんは元々失礼な事を口にする相手だと認識しているためか何を言っても問題にはならず、加藤さんにはそもそもあまり遠慮無しに喋る事は無い……といった風に、もこっちはこれまで他人を本気で怒らせないシチュエーションに恵まれてきたのかもしれません。
加えてネモは、岡田さんと2人でもこっちと絡むシチュエーションが多く、今回2人きりなのが相当珍しいパターンだと言えましょう。なので今回の衝突は、いずれ起こるであろう事が、起こるべくして起こった事故だと言えましょう。
少し穿った見方をし過ぎているかもしれませんが……そんな感想を抱きました。
・ネモの心情
ネモとしては、あそこで怒るのは不本意だったようです。もちろんネモだって喧嘩をするためにもこっちと二人きりで遊びに来たわけではないでしょうが、それでもすぐに怒りを収めてもこっちに謝ろうという姿勢からは、彼女の人間性の良さが窺えます。黒い部分の多いネモですが、やっぱり根はすごく素直で純で、優しいんですね。
で、覗きですか。
いや、そういう意図ではない事くらいわたしにも分かります。でも先に自分で覗くなと言っておきながらのあのムーブ、唐突過ぎて笑いました。
いや、まあ……自分が道化を演じる事で相手の毒気を削ぐというのは、仲直りとしては良い手だと思います。さすがは2年間リア充グループに所属してコミュニケーション能力を磨いたネモ。ただ致命的なのは、ネモ自身が温和な仮面を被っていたせいで、おそらくこれまで他人と喧嘩をしてこなかったという事。普通にこれだと、余計な火種を生みかねないのでは……?
ネモの視点から見ても、スカートを捲られただけで顔中を真っ赤にして恥ずかしがるもこっちが、裸を見られて平気な顔をしているとは思わないでしょうに……こういうところが、ネモもまた不器用だという事なのでしょうか。ギャグとしては滅茶苦茶面白いので最高ですが。
とはいえ幸いな事に、火種は生まれませんでした。
ちなみに口パクで謝ろうと試みているネモ、なんかすごく可愛いですね。表情や仕草があざとくすらあります。今回のベストネモと言えましょう。
・もこっちお風呂上り
お風呂から上がって早々、ネモにさっきの失言を詫びるもこっち。きちんと自分の失敗を認めて謝るもこっちは、確かに2年前より成長しました。すごく良いです。
でもそんなもこっちの謝罪よりも、ネモには気になる事があるようです。
・一緒にアニメを観る二人
「このキャラさ 髪の毛銀髪だね」
「下の毛もそうなのかな」
……あのさあ。
また下ネタ、実力ないの?(5巻あとがきより)
まだ銀を引っ張りますか。ここからの流れが普通に下品で笑えます。アニメキャラの下の毛ばかりを気にするネモ、着実に心情に変化をきたしていきます。
というかこの変化は、危険な兆候なのでは? いつぞやのうっちーみたいなムーブのきっかけになったりしないでしょうね……? もこっちの下の毛を気にするあまり「みつどもえ」の杉崎みたいな変態ムーブをかますようになったら、きっとわたしの腹筋は崩壊することでしょう。いや、そういうキャラがうっちーという前例で既に存在する以上、被らせては来ないとは思いますけれど。
最後に「変態が!!」とか言われる辺り、ネモ大暴走の回でしたね。
総評
もこっちがネモを怒らせてしまった事で、ほんの少しだけ空気が悪くは鳴りましたが、それを払拭してあまりある下ネタギャグ、今回も魅力的でした。
さて、次回の更新は8月6日……4週間後です。
きっと次回も面白いので、あと4週間は頑張って生きましょう。
喪178の満足度:94/100