漫画紹介「ムダヅモ無き改革」
「ムダヅモ無き改革」は竹書房「近代麻雀」連載の漫画で、作者は「大魔法峠」「機動戦士ガンダムさん」の大和田秀樹先生です。
数ある麻雀漫画の中でも飛びぬけて変わり種な漫画です。
・あらすじ
麻雀で政治が執り行われる世界。日本の首脳である小泉ジュンイチローは政策として様々な国の代表と麻雀勝負を繰り広げる。国家首脳クラスの豪運によって展開されていく大味な麻雀は次第にインフレしていき、ついに地球を賭けた世界戦争へ突入していく……
・魅力その1、超ド派手な闘牌描写
この漫画において、通常の麻雀漫画で重視されがちな「牌効率」や「場の流れ」などの要素はほとんどありません。国家首脳クラスの豪運の持ち主達の麻雀は常に超高打点で、超速攻役満の連続です。
主人公のジュンイチローが得意とする役は「国士無双十三面待ち」。現実では10000回麻雀をしたところで狙えそうにもない超レア手を、当たり前のように毎局連打する様は、大味で面白いです。
作中でジュンイチローの「国士無双十三面待ち」はルビで「ライジングサン」と振られ、すさまじいエフェクトと勢いで和了のインパクトが強調されます。ライジングサンに限らずこの漫画におけるほぼ全ての和了がそんな感じなので、もはやバトル漫画も同然です。
席に座ってそんな応酬を繰り返しているので、シリアスな笑いが生まれます。この漫画はギャグ漫画でもあるのです。
・魅力その2、自重する事を知らない登場人物設定
主人公は小泉ジュンイチローです。
見た目も名前も完全に、元総理の小泉純一郎にそっくりです。
絶対に許可を取っていないであろうこの完璧な人物設定は、それだけで笑えます。
実名はジュンイチローだけではありません。
衆議院議員杉村タイゾー、元総理麻生タロー、安倍シンゾー、菅ナヲト、鳩山ユキヲ……などなど。
どう考えてもご存命な人物を、しかも全員実物よりもはるかにエキセントリックに仕立て上げたこの漫画は、挑戦的と言わざるを得ません。このヤケクソみたいな設定が、ギャグをおかしな笑いへと昇華させるわけです。
・魅力その3、熱い麻雀
国を賭けた麻雀という事で、作中の闘牌は白熱します。ですがそれより熱いのが、ジュンイチローの愛国心から来る強力な闘志。やっている事は麻雀なのに、すごくかっこいいです。
熱さは感動を呼びます。この漫画におけるジュンイチローが辿る結末は、涙無しでは見られません。
総評
麻雀漫画でありながら少年誌的な熱さとギャグの両方が楽しめるという、やたらとお得な漫画です。クセの強さは一級品なので読む人を選びますが、ハマれば大好きな漫画になる事間違いなしです。
騙されたと思ってまずは一冊、どうぞ。
私的好感度:90/100、オススメ度:76/100