感想「賭博堕天録カイジ 24億脱出編 10巻」
今月5日、「カイジ」最新刊が発売されました。
ちょっとだけ語ります。
・漫画紹介
紹介記事をリンクします。
・前巻の感想
感想記事をリンクします。
以下、最新刊のネタバレ注意!
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なんだこの巻!?
紛う事なき遠藤巻です。中間管理録エンドウです。思い切った構成もあったものです。
・心労
前回、GMこと黒崎によって車に乗せられ、どこかへ向かう遠藤。まあ半ば強引な誘いでしたし、そもそも相手は帝愛ナンバー2。トップがあれだと考えると、邪推もしたくなるというものですよね。
実際、兵藤会長まで話は行きついているんでしょうか。債務者を使ってまで大掛かりな仕掛けに打って出ている以上、知ってそうなものです。少なくとも黒崎の耳に届いているなら、隠蔽されているという線は薄そうです。
和也の方はどうなのでしょう。ここまで徹底して彼の描写が無い辺り、一波乱ありそうなものですが……多分ここが明らかになるのはもっとずっと先のお話になるのでしょう。
っていうか遠藤のイメージ内での黒崎、なんで会長とサウナに入ってるんでしょう。遠藤は一体黒崎にどういうイメージを抱いているのでしょう。いや、この巻でこれでもかというほど明らかになりますが。
さて、突然の黒崎の来訪に制裁を思い浮かべて震える遠藤。正直、見ていて楽しいです。
24億脱出編に入ってからというもの、坂崎のおっちゃんへの理不尽な仕打ちに始まり、遠藤は徹底してヒールでした。部下に対しても面倒臭いムーブを連発して、いい印象はありませんでした。だからこそ、遠藤が弱っている様子は溜飲が下がります。カタルシスというやつですね。
・嗜虐
黒崎は遠藤がノイローゼになっている事に気が付き、気晴らしに誘ったようです。さすがは帝愛ナンバー2、抜け目がありません。こんな聡明そうなおじさんが会長にタックルかますなんてありえません。遠藤はスピンオフの設定を引っ張りすぎではないでしょうか。そういう処世術も含めての黒崎というキャラクターなのかもしれませんが。
しかし遠藤、全然気を抜きませんね。疑り深い性格が災いして、まだまだ彼を苛みます。本当に見ていて楽しいです。
っていうか遠藤、帝愛幹部にここまで悪印象を抱いておいて、よくカムバックする気になりましたね。仕事でミスしたら焼き土下座なんて超絶ブラックから足抜けした以上、絶対戻りたくないと思うのが普通だと思いますが。
もしかして遠藤、パチンコで稼いだ3億近い資金はもう使い切ってしまったんですかね? 身の丈に合わない大金を得たせいで破滅して、帝愛に戻るしか選択肢が無かった……とか?
・告白
黒崎、見事な誘い受けでした。
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遠藤さあ……
痛めつけられた姿を見せてくれるのは良いのですが、全部自滅なんですよね。なにこのおもしろおじさん。
そういえば遠藤、元々の金融業ではお金が払えない客に労働を斡旋していましたね。カイジは20過ぎていたから免れましたが、そっち系の縁もあったんですよね。そんな事に手出すからこんな誤解するはめに、いやハメに……
しかしこのアンジャッシュ感、嫌いじゃないです。遠藤と黒崎との間で上手いこと会話が成立しているの、ちょっと面白いですね。
そして内面は会長とは程遠い普通のおじさんの黒崎、強キャラ感が薄れた一方で、普通のおじさんだからこその有能さを感じます。黒崎は無限の可能性を秘めたおじさんですね。
・画餅
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まだ引っ張りますか、そのネタ。いや、誤解が解消されるようなイベントは無かったので当たり前なのですが……少々胃もたれがします。ネタがネタだけに。
でも……黒崎も悪いですよね。
「やっぱり男だよな!」と笑顔で言うのは悪いです。
とはいえ黒崎の落ち度(?)はそこくらいです。前回から急速にベールが剥がれた黒崎は、好感が持てるタイプのおじさんですね。
仕事がつらくて、家庭から孤立して、退職後に自由気ままに旅する事を夢見る社会人……素敵じゃないですか。
いちいち無粋なツッコミを入れる遠藤の器の狭さが悲しくなってきます。なんでこの人、いつもいつも上から目線なのか。キャラクターとして魅力的な憎たらしさです。もっと憔悴して欲しいところ。
それはそれとして。
ここに来てようやく話が一歩進みました。
そうですよね。黒崎の家族の事とか、キャンプ好きがどうのとか、遠藤が酷い目に遭ってるのとか、全部話の本筋じゃないんですよね。
全てはこの気づきのため。長い前フリでした。
・停留
はい。
前回ちょっと気力が復活した遠藤にフラストレーションを与えてキャンプ回の大オチにする遠藤いじめスタイル、良いと思います。
いや、それだけの回ではありますが。
・正鵠
なんか主人公みたいなカットで帰還した遠藤に笑います。
さて、捜査の方針はキャンピングカーに決まりました。債務者を使う方法は相変わらずとして、キャンピングカーの貸し出し業者への網張り……
キャンピングカーという可能性に行き当たった以上前回から一転、相当有効な手です。そもそもキャンピングカーなんて街中じゃそうそう見かけませんし、マークされたら相当厳しいでしょうね。
それはそうと黒服が抱く黒崎のイメージって、やっぱり会長寄りの人格なんですね。こっちのダークな黒崎もわりと好きです。
・肉薄
「コイツら本当悪い!!」
「コイツら本当悪い!!」
好きです。
チラシのカイジ達がすこぶる悪そうな顔しているのが個人的にツボです。写真の加工とか出来る時代設定じゃないでしょうに……
さて、地道な黒服の調査の結果、ついにカイジらがキャンピングカーを借りた業者に辿り着いた遠藤。キャンピングカーという存在に引き続き、車種まで割れてしまうのでしょうか。いよいよ逃亡編もクライマックス……
に、なりますかね?
総評
カイジ達、ほとんど出てきませんでしたね。とりあえず遠藤のリアクションが光る巻でした。
本筋の進行は……次巻に期待です。
10巻の満足度:61/100