あたしたち『本気の趣味』だから。
ママ友のMiちゃんは
リコーダーのサークルに所属しています。
年に2回、最寄りの駅前の小さなホールで投げ銭のコンサートを開いていて
わたしも行かれる時には毎回聴きに行っています。
演奏される曲はディズニーソングやアニメソング
童謡など。
リコーダーの音色に合った優しい曲調の演目が多く
心癒される素敵なコンサートです。
木琴やトライアングルを演奏する人も含め
女性ばかり6人~8人で演奏しています。
このサークル、もともとは
子どもたちのブラスバンドのサポートをしていたお母さんたちが
「子どもの卒業後に音楽に携われなくなって寂しい」
「自分たちも何か演奏してみたいね」
と話していたところ
保護者の中にいた音大卒の女性が
「楽器未経験者でも、リコーダーなら音楽の授業で習っていたから吹けるでしょう?リコーダーのグループにしませんか?」
と、提案。
指導を引き受けてくださり
楽器の初心者ばかりで立ち上げたサークルなのだそうです。
小さなコンサートを重ねるうちに
必ず来て下さるかたの数も増え、今は会場いっぱい。
中には、メンバーの名前を憶えて応援するファンもいたりして!
演奏はいつもあたたかく
笑顔と幸福感に包まれています。
Miちゃんから
「わたしたちのグループは、栗コーダーカルテットみたいなバンドになるのが目標なの」と聞きました。
そうか!
グループ全体の、明確なヴィジョンがあるんだ…
確かに、彼女たちのコンサートに行ったとき
「好きだから趣味にしているリコーダーの集まり」という感じではなく
全員が何か一緒の景色を見て進んでいるような
ふんわりと伝わる一体感がありました。
たぶんそれは、音大卒のかたの計らいで設定するように促したヴィジョンなのかもしれません。
年に2回、決まった時期に同じ会場でコンサートがあるので
演奏する側も聴きに行く側も
いつしかそのコンサートがあるのは日常になっている。
ペースとしてはユックリだけど、気づけば着実に回数を重ねている。
方位磁石を見ながら、進路を確認しているような雰囲気も感じます。
進む方向にある景色を具体的には知らされていない観客にも
自然とその意識は伝わり
彼女たちと一緒に、小さな旅をしているかのような気持ちにさせる演奏会なので、リピーターが増えていくのかな?とも思いました。
Miちゃんは重ねて
「あのね、わたしたちの合言葉は『本気の趣味』なの」
と、教えてくれました。
サークルの仲間と一緒に
目標にしている憧れのバンド、栗コーダーカルテットのライブに行ったとき
「君たち、複数で来てるってことは、バンドなの?」
と声を掛けられ、それをきっかけに単発のレッスンをしていただき
栗コーダーカルテットと一緒に演奏した日には
「夢が叶った!」と震えてしまったそうです。
『本気の趣味』!
ここ数年間、わたしはその言葉を遠ざけていたので
ハッと心を突かれたような気持ちになりました。
「本気の趣味なの」
と、言葉にして誰かに伝えたら
「へぇ、本気でやってても、そのレベルなんだ!」
と思われてしまう。
それが怖いから予防線を張っておく。
テキトーにやってるうちは、馬鹿にされないですむから…
そんな悲しい選択をしてきた自分に向き合い、ショック!
Miちゃん、カッコいいよ~。
音楽的なレベルとか関係なく(プロアマ関係なく)
その覚悟に胸を打たれる。
うーん!
ほんとに、わたしって、まだまだだし、ダメな奴!
だけど今、身近にこんなステキな友だちがいるんだから
わたしも意識を変えていこう。
ひゃー!
意識を変えるだけでも勇気いるなぁ。
ひと汗かきますよ。
なぜ汗をかくのかというと
こんなわたしでも
本気の趣味を持っていた頃があるのです。
(今、やめてしまっているのは残念だとMiちゃんに指摘され!)
『本気の趣味』の楽しさも知ってるけど
努力の階段が長いのも知っているから
言い訳してダラダラしている方が楽なのよ、確実に。
だって仕事もあるし
家庭もあるし
親も自分も歳は取ったし
あれもこれも、と。
にしても、せっかく生まれて来たんだ。
ここでもう一回、一汗かこうかな。
希望や夢も彩が変わり
新しい景色を見られると思うから。