ダンスライブの見えない敷居
世界的なダンスパフォーマンスグループ
シットキングスを推しているので
動画やSNSなどをよく見ています。
ライブのチケットが発売になると
コメント欄に
「わたしは全くダンスを踊れないんですが、ライブに行ってもいいのでしょうか?」という内容の質問を見かけることがあります。
これは他の公演
例えば、クラシックバレエやオペラ歌劇などでは思い浮かばない質問だと思います。
オーケストラの演奏を聴きに行くのに
「楽器を弾けないけれど行ってもいいのかしら?」
と質問する人はおそらくいないように思うのですが
ダンスライブとなると
「会場で自分の存在が浮いてしまうのではないか?」という心配が生まれるのはなぜなのでしょうか?
もしかすると、情報が少なく感じられるからなのかな?と思いました。
ライブの様子が分からず
何を着てどんな人が楽しんでいるのか想像しにくいからなのかもしれません。
クラシックバレエやオーケストラなどの様子は
時々公開される動画などで客席が映るので雰囲気が伝わり
舞台とお客様の間に距離感があることもわかっているので
気にするのは服装くらいで、それほど前準備は要らない感じもします。
当日、会場内がどんな様子になるのかを知らないから
なんとなく不安を覚えるのかもしれません。
皆がノリノリで立ち上がって踊ってるのに
「わたしムリ!」みたいな状況になると
楽しめそうにもない、と感じてしまいますよね。
わたしも以前
急にチケットが回ってきて
友人と歌舞伎を観に行くことになった時に
「わたし歌舞伎についてまったく知らないけれど大丈夫かしら?」
と質問したことがありました。
「着物とか、和装で観るものなの?」
なんて訊いてしまいました。
それと同じなのかもしれないですね!
経験の無い事には緊張します。
ちなみに、歌舞伎については
たまたま家の近所で
『歌舞伎の観劇講座』というセミナーの催しがあり
ご縁があって、スタッフとしてお手伝いをしたことがありました。
会場内で仕事をしながらセミナーの内容を聞いていたのですが
それによると
歌舞伎の演目や物語などは、あらかじめ勉強して行くよりも
そのままの真っ白な状態で
舞台上で起きていることを感じた方がいいということでした。
もっと知りたいと思う部分について、後で勉強すればいい。
そしてまた同じ演目を観て味わうと良い。
新しい発見があるかもしれない。
この繰り返しで歌舞伎を楽しんでもらえたら嬉しい、と。
なぜならば歌舞伎もほかの芸術と同じく
『学ぶもの』ではなく『楽しむもの』だから。
自分の五感を信じて、舞台を楽しんでください。
わからないからツマラナイということはありませんよ。
というような主旨のお話でした。
「なるほど!」と思いました。
高いチケット代を支払って、遠い会場に行くと決めた
自分の感性を信じてあげることが大切だと思います。
知識は必要だと思えば、後から勉強すればいいというのは
健全な考え方のように思います。
絵画展も
ゴッホやモネについて何を知っているわけでもないけれど
理屈抜きで感動する絵に出逢うために
美術館に赴くのですから
これからも
どんな敷居も超えて、自分の好きなものを味わうことを求めて
出掛けて行きたいものだと
あらためて思いました。