![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118142605/rectangle_large_type_2_92674b77ab8b2e29a09f1321c80672ac.png?width=1200)
Photo by
suama_monaka15
きみは見なくていいんだよ。
益子在住の陶芸作家さんの個展に伺いました。
いつも通り、奥様もご一緒で
とても仲良しなご夫婦。
この作家さんのInstagramには
陶芸作家であるご主人の
とても美味しそうな夕飯の画像が投稿されています。
作品である器に盛られた
魚、野菜、果物など。
どれをとっても身体に良さそうな
そして美味しそうな
愛情あふれる料理です。
会場にいらした若い女性が
「いつも、Instagramのステキな食卓の写真を見てはため息をついてます」
と仰るので、わたしも横から
「そうなんですよ!とても美味しそうで羨ましい~!と思いながら見ています」と言うと
傍らにいた奥様は、不思議そうな顔で
「Instagramの料理の写真? あら、わたしは見たことないわ」
「えっ!見たことないんですか?素敵な夕食の写真ですよ」
女三人の立ち話の場所から
少し離れた丸椅子に座ってボンヤリと話を聞いていたご主人が
奥様に向かって間髪をいれずに言いました。
「きみは見なくていいんだよ」
「?」
「きみは見なくていいんだよ。ぼくと一緒にホンモノを見ているんだから」
わたしは声には出しませんでしたが
「愛だなぁ!」と心の中で拍手をしてしまいました。
きみはぼくの傍観者にならないでほしい。
という愛の告白に聴こえたからです。
Instagramに切り取られた食卓の風景は
おふたりの幸福であり
それを写真で確認する必要はありません。
投稿を見るわたしたちは、愛のおすそ分けをいただいて
新しい今日を生きていく。
なんか素敵だなぁ。
「愛のある空間」だなぁ。
そう思いながら
新作の器を観させていただきました。