歪んだ鏡
商店街のお祭りに
友人の経営している小さな居酒屋も
露店で参加するというので、遊びに行って来た。
友人の居酒屋に向かう途中
古着屋のフリーマーケットを見つけたので
ブラブラと洋服を見ていたら
居酒屋にいる友人からメールが入って来た。
「あなたのことを、hirokoさんがお待ちです」
ん?
hirokoさんが、なぜわたしを待っているの?
一気に蘇る記憶。
hirokoさんは、確かわたしのこと、あんまり好きじゃなかったはず。
会社で最後に別れた時も
なんだか微妙な雰囲気だったのを覚えている。
あれから何年経ったか忘れたけど
嫌いなわたしを待っている理由っていったい何だろう?
楽しみでルンルンだった晴れた空のようなわたしの心に流れる
不穏な雲。
店に向かう足取りは、少しゆっくりになってしまったが
それでも商店街に到着し
友人の居酒屋の屋台に近づいて行くと
「ふーちゃん!ひさしぶり!」
とhirokoさんの声がした。
最後に会った時のままのhirokoさんがそこにいて
満面の笑顔だった。
二人で居酒屋の中に入り
hirokoさんと飲みながら食べながら話をした。
「ふーちゃんと話してたら楽しいから、ビールおかわり!」
「じゃ、わたしもなにか食べちゃお」
「そうよ、ふーちゃん、食べなさいよ~」
あれぇ?
おかしいなぁ?
hirokoさんってわたしのこと
あんまり好きじゃなかったはずなんだけど…
ここ数年、会わなかった時に何をしていたとか
これからの10年、どんなふうに生きていきたいとか
仕事の事、音楽の話、スポーツの話と
話題は尽きることなく
楽しい時間を過ごすことができた。
「ふーちゃん、またね!」
hirokoさんを見送った後
わたしは、ひとり、もの想いに耽ってしまった。
もしかすると
hirokoさんとわたしの関係が
「うまくいっていない」と感じていたのは
わたしの心の鏡が曇っていたせいなのではないだろうか?
あるいは
歪んだ鏡に映っていたのは、わたし自身の姿だったのかもしれない。
何か心にわだかまりがあったのはわたしの方で
そんなわたしの姿が映し出された鏡を見ていただけだったのかも。
誰かに対して
微妙な空気を感じてしまったら
まず、自分の心の鏡がクリアな状態なのかどうか
確認した方がいい。
たいていのことは
思い過ごしなのかもしれない。
もし思い過ごしでなく
それが現実なのだとしても
あんまり深く気にしない方がいい。
関係というのは、いい意味で風化していくし
それ以上に変化していくものなんだ。
そんなことを
色々と考えさせられる出来事だった。
ところで
このhirokoさんは
仕事に関して、わたしに興味深い話を聴かせてくれた。
その話には夢があり
大きな励ましをくれるものだった。
どんな話なのかは、また後日。
ここに書かせていただきます。