「心(シン)」と体
東洋医学では、心が体に及ぼす影響を
それこそ2000年程前から説いてきました。
こう考えると、人としての在り方は有史以来
あまり変わっていないのでしょう。
東洋医学では、心や精神は「心(シン)」と
呼ばれる臓器に座していると考えます。
また、心は血を巡らせる役目を持つと定義
されています。この辺りは西洋医学と同じ
考え方ですね。
心は五臓六腑の君主であり、まとめ役の
ようなものです。それゆえ心は神とも呼ばれ
血と精がそれを支えます。
血と精は精神活動を支えるものであり、血の
過不足や巡りは、精神状態や心に多くの
影響を与えると説いています。
「霊枢(東洋医学の原書みたいなもの)」
には、「悲哀憂愁すれば、心動じ、五臓六腑
みな揺らぐ」とあります。悲哀憂愁とは
ざっくり言えば現代のストレスですね。
よく言う、ストレスで髪が抜ける・突発性
難聴・生理が止まる・胃痛・歯がぐらつく等も
これら心がストレスを受けたために気や
血、精といったものが乱れ、過不足した
ために起こると考えられています。
ストレス・考えすぎは血精を消耗します。
現代の不妊症も、これが理由で気血精が
不足している人がかなり多くいると思います。
考える事が悪い事ではなく、答えの出ない、
心に負担がかかるような思考が、
気血精を消耗すると考えます。
時にいくら治療しても、すぐに血虚・精虚に
なる人の多くは、こういった心に負担を
かけやすい物の考え方があると思います。
健康に至るまで、体と一緒にこの「心」を
意識して治療に取り組むことで
劇的に改善された方がおられました。
ストレスとは何か。心の負担を取り除く事は
健康に生きる上で欠かせない事の1つです。
心も臓の1つ。自分の意識と治療次第で
改善に向かうと思います。
東洋医学は少し難しいところがあるかも
しれませんが、勉強すればするほど実に
人をよく観察しているなと感動します。
これらの知恵が、患者さんの健康と幸せの
一助になれば幸いです。