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1番の思い出のレース。

馬券が当たると嬉しくて、何回もそのレース見た経験がある人はいるのではないだろうか。   G1レースなら尚更で、僕には特に思い出深いレースがある。
2012年オークスだ。僕には自信がある馬がいた。
【競馬に絶対はない】
誰かの名言だ。その言葉の意味は十分に理解していたつもりだった。1998年スプリンターズS。この日でラストランとなる圧倒的1番人気タイキシャトルが、まさかの3着に敗れてしまうという現実を見せつけられたからだ。もっか、8連勝中で内G15勝。前年のスプリンターズS覇者。前走のマイルCSで2着馬につけた着差5馬身。当日の単勝オッズは1.1倍と誰もが勝利を確信していたに違いない。
直線、7番人気マイネルラブに競り負け、さらに外から天才ジョッキー武豊が乗るシーキングザパールにも差されてしまう。テレビから聞こえる悲鳴にも近い叫び声。競馬に絶対はないのである。
しかし。
しかし。
だがしかし。
僕にはどうしても自信がある馬がいた。「この馬しかいない。」
土曜日の夜、僕はロッテリアで競馬アプリを眺めていた。
「1番人気はミッドサマーフェアかぁ」
桜花賞1600m→オークス2400mと距離が800m延長になるため、前略戦であるフローラS(2000m)を2馬身半の快勝した事。競走馬の世界的なオーナーブリーダー所有馬という事もオッズに反映していたのだろう。
「う〜ん。悪くはないんだけど…」何かピンとこない。出馬表を眺めていた時、ある1頭の馬が目に止まる。
その馬の名前はジェンティルドンナ。後の生涯成績19戦10勝でG1レース7勝の3冠馬。
名牝との出会いである。桜花賞を2番人気で勝っているのに何故3番人気なのだろうか。
その疑問もすぐに解けた。当時トップジョッキーで桜花賞を勝利に導いた岩田ジョッキーが騎乗停止になり、G1勝ちはあるものの、どれも伏兵での勝利と大舞台で実績に不安ありと世間から評価されていた、若き日の川田ジョッキーへの乗り替わりだったのだ。
「川田かぁ。いけるかなぁ」
半信半疑だった自分は、何かこの馬の情報が欲しかった。必死に調べた。
岩田ジョッキーのコメントの様な記事にたどりついた時、この馬への半信半疑が自信に変わる。
岩田ジョッキー「この馬にはもう1段上のギアがある」
こう書かれていた。桜花賞も中団から差しきって勝っているのにさらに速い脚が使えるのか?もしそうなら府中は直線が長い。ぶっちぎるんじゃないのか。
「えらいこっーちゃー」
そこからはもうこの馬しか見えない。そうだ明日はジェンティルドンナの単勝を買おう。3番人気のままなら単勝勝負しよう。そう心に決めた。

日曜の11時頃。電車で中山競馬場に向かう。
場内へ向かう僕。胸を張り。ゆっくり。堂々と歩く。気分は勝ち戦に向かうサムライ。
やや早歩きで追い抜いて行くじいさんに「わりいなじいさん。今日はおれが勝たしてもらう」と余裕の笑みを浮かべていたのかもしれない。
オークスの発走時刻は15時40分。

早く着きすぎた。。。。

馬券は負け散らかしたのだろうが、そんな事はどうでもいい。軍資金の8割は残してある。あとは電車賃を残しててジェンティルドンナの単勝を買うのみ。

「たーたらたーたらたー♪」
G1レースのファンファーレが鳴り響く。
実況「全馬ゲートイン、スタートしました!」
ジェンティルドンナは後方4番手。1000m通過ラップ59.1秒と出た。この時期の牝馬には、けして楽ではないペース。
僕はジェンティルドンナと川田ジョッキーを信じた。
第4コーナーを周り最後の直線。
「川田ー!川田ー!」
必死で叫んだ。
いや、叫びたい訳ではないのだが興奮ではち切れていた僕。心の声が漏れてしまうのだ。なぜならば負けたら僕は電車賃しかないオケラ野郎。
岩田ジョッキーの声が聞こえてきた気がした。
「この馬はまだ本当の力を見せていない…」
そうだ!大丈夫だ!からなず伸びてくるんだー!
実況「アイムユアーズ、ヴェルシーナまだ前で頑張っている」
実況「ジェンティルドンナ、外からジェンティルドンナ、残り200m。先頭を奪う勢い」
勝利を確信した瞬間だった。
実況「先頭はジェンティルドンナ。圧勝でゴールイン。」結果5馬身だった。
勝った。勝ったぞーー!!!
今までの競馬人生で1番嬉しかった。
よほど叫んだのだろうか。
「あの人、気合入ってたね~。」
後ろのカップルのお姉さんがそうつぶやいていた。
払い戻しを終え家に帰る。
頭の中はオークスとジェンティルドンナでいっぱいだった。
何回も見た2012年オークス。元気を取り戻したい時など、今でもたまに見て当時を思い出します。
皆さんも自分にとって特別なレースはありますか?
コメントしてもらえたら嬉しです。

ではまた!日曜日に。

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