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思い出がひとつもない夏なんて 昔は 毎年のこと 同窓会でも憶えていなくて 話を合わせた もう行かない 画面を観ながら 涙が溢れた こんな場所へ 何度も行って 笑ったり泣いたり 幸せになったり そんな当たり前があったんだ 今年は 夏の思い出ができたよ ひとりの部屋だったけれど そこには 君や たくさんの人がいて 隅っこに 自分も居たと感じる 倹しい生活 ずっとだけれど これからも変わらないけど 月のヒカリが いつも探してくれている そう 信じられるようになった 夜は 月
写真で見る星空は どこに存在するのかと思う 撮影場所 地名 方角 フィクションみたい 言葉が紡ぐ世界と どれくらい 違うのかと思う 想像 希望 思いを馳せ 人の数だけ 生まれて消える 君が 存在している それすら 信じられないと思う 映っていても 聴こえても 名前を知らぬ人 いつか すれ違うことがあるのかな
内廊下に響く 頼りない雨音は 玄関の薄いドアを 簡単に通過する 部屋の奥では 眠る猫の近くで 窓ガラスを通過した 激しい雨音
起きているときに夢を見て そうありたいと強く願った 呪いは 長く続いて 花束と ドレスと 打掛だけがゴール 道端で 生えてきた雑草 アスファルトの隅に咲いた たんぽぽ 無視して いつも歩いていた たぶん 記憶が足りない理由 筋肉が無いのに 走り始めたり やりたいことがわからずに 起きたり 自分で なにも決められなかったから 知らなかった ことに 気づいた スーパーの入り口の3本入りガーベラ 最近 2本に減ってしまった 花を買うようになったころには 人生の だいたい62.
とんでもない揺れ方だったはずなのに まったく憶えていない それくらい 行きついてしまって 一度だけ 頼りました
そんなものが嫌いだった もっと美しいものを 見せてよ だって あなたがそうじゃないから できないことは 望まないで
ずっと ずっと降りっぱなしで 寂しかった 悲しかった
暑そうな緑でも レースカーテンの向こう ときどき響いてくる緊急車両に 気を取られながら
一度も 見えたことのない 自分につながる光
新しい年度になって 初めて訪れた 小さなビルの5階 オドオドしながら チャイムを鳴らす勇気を出した