レトロニムでしばらく遊んでいる
大学時代のサークルの先輩たちとはいまだによく遊ぶ。
彼らは軒並み「考えること」で遊ぶことができるおもしれ〜人たちだ。
そのうちの何人かと、ここ3年近くずっと使っているおもちゃが「レトロニム」だ。
この流行病が猛威をふるい始め、だれも外に出られなくなっている時に、大学生だったのはぼく一人だけだった。ちょうど就活中で、使ったこともないオンライン会議ツールにあたふたしていた。そこで、その会議ツール(まあzoomとかね)の練習につきあってもらったりしていた。
その時ふと思った。
「オンライン面接」が出てきたことによって、従来の面接にわざわざ「対面」ってつけるのって、面白くないですか?
そこがぼくらの長い遊びの始まりだった。
有線LAN
回らない寿司
紙の本
有観客ライブ・・・
似たようなジャンルの言葉を出すのが面白かった。
「この概念に名前がついているはずなのだけれども、それがなんだったか思い出せない」という状態のまま時間が経って、あるとき一人の先輩が「レトロニムという単語にたどり着いてくれた。
それからというもの約3年間、レトロニムっぽいワードを見つけては報告しあったり審議したりしている。
レトロニムの面白いところは、それが本当にレトロニムかどうかを調べる必要があるところだ。結構コンテクスト依存の遊びなのである。
だれかがレトロニム稟議を起案しても、その人だけがそのジャンルに強いとなかなか稟議が通らない。知らんウィキペディアをたくさん読んだ。
そのうちに
「作品につく”オリジナル“」とか
「旧」とか
「公式」とか
それがついたらそりゃレトロニムだろ、という単語を「チートワード」と呼ぶようになった。
遊んでいるうちに概念が追加されていくのも面白かった。
これでよく3年間も遊べるなと思う。
ぼくはこういう人たちとものをつくって青春をすごしてきた。というか、過ごしているのだと思う。
最後にぼくが好きなレトロニムを三つ紹介する。
①回らない寿司
それ自体はすごくかっこいいし格式高いのに、「回らない」というアホみたいな修飾ワードでレトロニム化しているのがたまらない。
②普通のブルー
でんぱ組.incの藤咲彩音さんのツイッタープロフに書いてあるメンバーカラーだ。
現在でんぱ組には、ピンキー!さん含め3名の「ブルー系メンカラ担当」がいる。いわゆる一般的な「青」を担当しているのは、青系のなかでもっとも長くでんぱ組に在籍しているピンキー!さん。ずっとでんぱ組を支えてきているその背中のデカさが伝わるレトロニムである。
③非公式切り抜き
YouTubeの動画などをダイジェスト風にまとめている動画を「切り抜き」という。
もともとファンが非公式でやりはじめたことだったが、ここ数年、クリエイターが切り抜きを公認することで共存するという文化が生まれてきた。
本来、「公式〇〇」というのがレトロニムになりがちななかで、本来非公式だったものを公認することにより、非公式なものを再命名するという稀有な現象が起きている。これは面白い。
この遊びはこの後もしばらく続く。
技術の進歩が早ければ早いほどレトロニムは生まれ続ける。
あとM-1グランプリを録画している人は、去年のダイヤモンドのネタを見返してきてください。