漫画家とイラストレーター、似てるようでこんなに違う
フリーライター&イラストレーターの陽菜ひよ子です。
わたしはこのnoteで、「全く違うのに混同されている仕事」「よく似た仕事の違い」の解説シリーズを書いておりまして、まぁまぁ好評を得ています。
今までは、「仕事内容の違い」「表現方法の違い」などについて解説して来ましたが、今回は「仕事相手からの扱われ方」「報酬の支払われ方」の観点で書いてみたいと思います。
◎イラストレーター×画家×デザイナー
◎作家×ライター
「担当編集」の意味
メディアで仕事をすると必ず仕事ごとに「担当」がいます。作家がよく「担当編集さん」「担当さん」などと呼ぶ方々です。
わたしは2006年からイラストの仕事をしていますが、「担当編集」がついたのは、2013年に出版社(KKベストセラーズ)の運営するWebメディアにライターとして寄稿したときです。
「え?それまでにも編集さんと一緒にイラストの仕事をしていたんじゃないの?」と尋ねられそうですが
同じように編集さんと仕事をしていても、
編集者 と イラストレーターの関係と
編集者 と 作家や漫画家 の関係って
全然違うんです。
イラストの場合、その「仕事を担当する」編集さんから仕事を「依頼される」というイメージで、自分自身に「担当編集が付く」というものではないのです。
順番としては、
のいずれかの上で
という感じです。
「著者」になると何が変わるのか
イラストだけを受けていた頃には、この違いに気づきませんでした。2015年に「漫画家」として「担当編集」さんがついて、その違いに愕然としました。
漫画家、つまり「著者」になると、扱いが変わります。具体的にいうと「先生」と呼ばれるようになるか、それに準ずる扱いを受けるようになるんです。
もちろんすべての仕事・担当者でこうだというわけではなく、人にも案件にもよります。
またこれって結局「数字を持っているかどうか」。この人が絵を描けば必ず売れるような人気イラストレーターなら、当然「先生」扱いされるんだと思います。
ただ、わたしのように特別売れていたイラストレーターでなくても、本を出すと一段階ステージが上がるんだな、とは感じました。
(念のために書いておくと、本を出しても、受注量が倍になったりすごく儲かるようになったりするわけではありません)
「印税」と「イラスト料」の違い
イラストの場合、仕事(案件)を担当する編集さんから仕事を依頼されて、その仕事が終われば、すみやかに「イラスト料」が振り込まれます。
たとえ本一冊分のカットイラスト(挿絵)を描いても、基本的にイラストレーターに支払われるのは「イラスト料」一回きりです。どれほど重版がかかっても、それ以上支払われることはありません。
ただ絵本の場合は、文章(作)と絵の両方が著者とされるので、印税として支払われます。
「印税じゃないと損じゃないの?」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、印税って、本が売れないと儲からないんです。そして、そう簡単に本は売れません。
イラスト料として定額受け取れば、本の売れ行きに関係なく、相場の金額が受け取れます。本が売れなかった場合も仕事した分は受け取れるし、本が売れれば自分のイラストが世間に広まるわけなので、イラストレーターはどちらにしても損はしないという図式です。
「作家」や「漫画家」など本の「著者」には、「印税」が支払われます。これは本の売れ行きによって最終的に受け取る報酬が変わります。
一般的な部数刷れば、初版で最初に数十万はいただけます。しかしその後重版がかからなければ、それっきり。実は今出版される本のうち重版されるのはほんの一部。8割以上は重版がかからないんだそうです。
本日も、熟成下書きでした!(2019年11月)