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鳥の王国ではネコも豆を食らう

2008年12月、新婚旅行で中米コスタリカを旅しました。

当時日本人の多くは「コスタリカ?どこにあるの?」という反応がほとんどで、私の認識もその程度でした。しかしオットで函館出身の宮田にとって、コスタリカは特別な土地。

北海道民にとって、かの国は聖地なのです。そして、聖地を訪れる信者は北海道を超えて、どんどん増えつつあります。

その信者とは「水曜どうでしょう教信者」のこと。(今は私もすっかり信者です)

念のため説明すると「水曜どうでしょう」とは北海道のローカル局HTB制作のテレビ番組です。大泉洋と事務所の社長・鈴井貴之とディレクター2人の計4人で、無駄に過酷な旅(企画)に挑むことが、番組の特徴であり目玉。

その番組の企画で、彼らは「世界一多様な生物のいる国」としてコスタリカを選び、世界で一番美しい「幻の鳥」を撮影するというミッションに挑んだのです。

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番組で「バズーカ」と呼ばれた巨大なレンズを抱えて激写する大泉さんはフィギュア化されるほどの人気。

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世界一美しい鳥を見る旅


コスタリカを旅することになったのは、宮田の意向だけではありません。

無類の鳥好きの私は、彼の「世界一美しい鳥を見に行きませんか?」という誘いにうっかり乗ってしまったのです。

世界一美しい鳥とは、この鳥「ケツァール」。マヤの守り神で、見ると幸福になれると言います。

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旅行会社からは「ケツァールを見るチャンスは8日間の旅行で3回ありますが、絶対に見られるとは思わないでください。運です」と念を押されていました。

何とか遠巻きに見ることができ、デジスコ(デジカメを望遠鏡に取り付けて超望遠で撮影する手法)でこうして写真に収めることができたのは、ラッキーな方なのでしょう。

しかし、この旅の置き土産はそれだけではなかったのです。


「水どう」以外にあの人気番組もコンプリート


コスタリカではガイドを雇い、フリープランで旅することになりました。旅行会社の人が言うには「カリスマガイドのフリオを手配しているけど、ダメだったらリカちゃん(リカルド)になる」とのこと。

フリオとは旅行会社の人たちが「森男(もりお)」と呼ぶほど、コスタリカの雲霧林に精通しており、彼がガイドをしてくれたらケツァールを見られる確率はグッと上がるといいます。

無事ガイドを務めてくれたフリオはこんな風貌。

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確かに100人力。彼がいてくれたおかげで、安心して旅ができました。

だって、ケツァールを見るには、こんな道や

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こんな道や

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こーんな道を行かねばならないのです。

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フリオがいなかったら、見ることはできなかったかもしれません。とにかく過酷な旅でした。あまりにしんどくて、時間さえあれば眠っていたほど。

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フリオは「僕はNHKが撮影に来るときにはいつもガイドをする」そうで、コスタリカを代表するガイドと言っても過言ではないスゴイ人。

全然偉ぶらず、温かい優しい人でした。私たちはコスタリカの公用語であるスペイン語どころか英語も怪しかったのですが、彼は日本語も上手で会話にはほとんど困りませんでした。

それでも、私たちは彼のことを全然わかっていなかったのです。


帰国後フリオが、あの「イッテQ」にも出演していたことを知りました。 NHKだけじゃないじゃん!

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フリオは、珍獣ハンターイモトにスカンクぶつけたり、やりたい放題の茶目っ気あるガイドとして登場。そしてこの番組を見て、彼の本職はガイドではなく「動物学者」であることを知る我々。

そんなわけで、まさかの超人気2番組コンプリートの旅となったのでした。


まさかのリカちゃん!


さらに驚いたのは、最初に旅行会社からガイド候補に挙げられていた「リカちゃん」ことリカルドも日本のテレビに登場。

その番組とは当時放送していた「関口知宏のファーストジャパニーズ」(NHK BS1)です。

世界中の「一流」と呼ばれる様々な分野において、日本人の第一人者として活躍している若者たち(ファーストジャパニーズ)を、毎回追跡する番組。

リカちゃんは、コスタリカ在住の探検昆虫学者である西田賢司さんの同居人として登場。まさしく日本語ペラペラで気のよさそうな人。フリオでなかったとしても、楽しい旅になったかもしれません。

それにしても、旅行会社、引きが強すぎ。。。


コスタリカの謎


このコスタリカ、鳥の楽園です。

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それだけでなく、カエルなどの両生類や虫類もたくさんいます。そして移動の街中ではイヌの姿をよく見かけました。

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滞在中不思議だったのが、イヌの姿は見かけるのに、ネコは全く見かけなかったこと。飼いネコは家の中にいて、野良ネコがいないせいだったのかもしれませんが。


話は飛びますが、コスタリカ料理として有名なのが「ガジョ・ピント」。

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見た目は黒っぽい赤飯といった感じですが、だしのうまみの効いた豆ごはんという感じで、私たちはすっかり気に入りました。

毎朝、ガジョ・ピントと目玉焼きと焼きプランテーン(甘くないバナナ)とカリカリに焼いたパンが出てきましたが、全く飽きずに食べていました。

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フリオが言うには「ガジョ・ピント」には缶詰があり、それを使えば誰でも同じ味に作れるとのこと。それ、欲しい!今思うと、やっぱりスーパーに連れて行ってもらえばよかった~。

コスタリカ滞在中は毎日山登りや川下りなど、かなりハードスケジュールで、休憩時間はずっと寝ていた我々。とても街歩きする余裕はなかったとはいえ、残念です。


話をネコに戻すと、先日、テレビで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のダイジェストを見ていたら、コスタリカのネコが写りました。(コスタリカ編、すっかり見逃していたのですね)

「ネコ、いるんだね!」と言いながら見ていたら、なんとそのネコ・・・

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ガジョ・ピントを食べていたのでした!

「ネコも食べるんだね!」
美味しいものは人もネコも同じ、ということでしょうか。


コスタリカ絵日記


「ガジョ・ピント」には懐かしい思い出があります。

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前述のように、このコスタリカのポピュラーな料理をすっかり気に入っていた私たち。しかしフリオは親切に、旅の後半は日替わりで各国料理のお店へ連れて行ってくれました。

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フリオには申し訳ないのですが、私たちはガジョ・ピント、毎日食べたいくらい虜になっていたのです。

辛いもの好きな人はメキシカンなどの南米料理のほうが合うかもしれませんが、我々のように薄味を好む人は、たぶんガジョ・ピント、口に合うと思います。

写真:S=ホセ・ソニオこと宮田雄平 H=陽菜ひよ子



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陽菜ひよ子 / インタビューライター&イラストレーター
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