英検準1級 ナレーションの攻略 #1
こんにちは、英語研究家のHinaです。
このシリーズ「英検準1級 ナレーションの攻略」では、英検準1級の2次試験のナレーションを攻略するためのコツや練習方法を、6本の記事に分けてご紹介します。
第1回のテーマは、「重要ポイントを押さえて効率的に練習しよう!」です。
「ナレーションを攻略する上で、個別に練習すべき項目に集中してトレーニングすることが非常に効果的だ」、というお話をします。これを知ることで、どの部分に集中して練習をすれば良いかが明確になり、短期間で効率的に上達することができます。
ナレーションの概要
ご存知かとは思いますが、まずは、簡単に英検準1級2次試験のナレーションの概要を説明しますね。説明には、こちらのオリジナルサンプルを使います。
英検準1級のスピーキングテストのナレーションでは、「問題カード」に描かれた4コマ漫画に、どんな話が描かれているかを説明します。
最初に1分間の準備時間が与えられ、その間に指示文を読み、イラストを見て内容を整理します。
指示文には、背景情報やストーリーの冒頭の文が書かれています。
サンプルでは、背景情報として、「This is a story about a female CEO's attempt to solve the obesity problem of her employees.」と書かれています。また、冒頭の文として、「One day, a female CEO was looking at the results of her employees' medical examinations.」が書かれています。この冒頭の文から、1コマ目の女性が、CEOであることが分かりますね。
これらの情報を活用して、ナレーションを組み立て、2分間で説明するという流れになります。
4コマ漫画の流れ
4コマ漫画は、たいていの場合、起承転結の流れに沿って構成されています。
1コマ目では、現代社会にありがちな問題が提起されます。
サンプルでは、社員の健康診断結果を示すグラフが描かれていて、女性CEOが腕組みしながら、「We should improve our health.」と言っています。
2コマ目では、1コマ目の問題の解決策が提案されます。
サンプルでは、3人の社員が、ホワイトボードを囲んで、健康改善の具体策を話し合っているようです。ホワイトボードには、階段の使用と、自転車通勤の2つの案が書かれています。女性CEOとは別の女性は、ホワイトボードを指さして、「Promote the use of stairs.」と言っています。男性社員らは、しかめっ面をしています。
3コマ目では、解決策が実際に行われ、解決に向かいます。
サンプルでは、従業員だと思われる複数の人が、階段を使用しています。女性CEOは、その様子を満足そうに見ています。
4コマ目では、解決策をおこなった結果、新たな問題が起きてしまいます。
サンプルでは、まだ4時だというのに、社員がオフィスで居眠りをしています。階段の使用で疲れたのでしょうか?女性CEOがそれを不機嫌そうにみています。
ナレーションの流れをつかんでいただけたでしょうか?
こんな風に日本語で説明できれば、あとはそれを英語に訳すだけですが、慣れていないと途中で詰まってしまいます。
なので、ナレーションを攻略するには、途中で詰まってしまわないように、スムーズに英語で説明する練習が不可欠です。
ナレーションのポイント
次に、ナレーションの説明のポイントについて解説します。
1. ストーリーの把握
まず、1分間の準備期間で4コマ漫画のストーリー全体を把握し、どのように説明するか構成を考えます。ここで重要なのは、指示文に記載されている背景情報やストーリーの冒頭文を手がかりにすることです。これらのヒントを活用することで、4コマ漫画の内容を予測し、説明の流れを計画しやすくなります。
2. 時勢:過去形・過去進行形
ナレーションでは、4コマ漫画の出来事を振り返る形で説明するため、基本的に過去形や過去進行形を使用します。これにより、物語の出来事が明確に伝わり、話に一貫性が生まれます。
3. 時間配分:各コマ20~40秒
ナレーションの持ち時間は2分なので、4つのコマを説明する際は、各コマにつき20~40秒を目安にします。この時間配分を意識することで、話のテンポを保ちながら、重要なポイントを漏らさずに説明することができます。
4. 各コマの説明のはじめ
1コマ目は、指示文にある説明文から始めます。これにより、ストーリーの流れがスムーズに始まります。
2コマ目以降については、もしコマの左上に時間経過を示す表現(「数日後」、「翌朝」など)があれば、それを説明の冒頭に取り上げます。これにより、時間の流れや場面の変化が自然に伝わります。コマの左上に時間経過を示す表現がない場合、接続詞から始めます。接続詞としては、以下のようなものが挙げられます。
(1) Then(それから)
使用する場面: 前のコマの出来事に続けて、新たな行動や出来事を説明する際に使います。
(2) Next(次に)
使用する場面: 次の段階や行動が続く場合に使います。
(3) After that(その後)
使用する場面: ある出来事が終わった後に別の出来事が起きる場合に使います。
(4) However(しかしながら)
使用する場面: 前のコマの出来事に反する展開や、意外な展開を説明する際に使います。
(5) As a result(その結果)
使用する場面: 前のコマで起きた出来事の結果を説明する際に使います。
(6) In the end(最終的に)
使用する場面: 結末や物語の締めくくりに使います。
5. 説明すべき事項
各コマの説明では、次の5つの要素を時系列に沿って順序立てて説明します。
(1) 場面の状況(どこで何が起きているのか)
(2) 登場人物の行動(何をしているのか)
(3) 登場人物のセリフや考えていること(話している内容や考え)
(4) 新聞記事や看板に書かれた文字情報(重要な文字情報)
(5) 登場人物の感情(どんな感情を抱いているのか)
これらの要素を時系列に沿って説明することで、話の流れが整理され、聞き手にもわかりやすいナレーションになります。
6. コマごとの説明の流れ
ストーリーの進行を意識し、最初に俯瞰的な状況を説明し、その後に具体的な行動や感情を付け加えていきます。これにより、全体像がしっかりと伝わり、各コマがどのように物語の一部として機能しているかをスムーズに説明することが可能です。
この手法をしっかり身につけることで、ナレーションに一貫性が生まれ、試験や実際の場面での説明も自信を持って行うことができます。
練習方法
一般的な練習方法
ナレーションの一般的な練習法としては、4コマ漫画を使って全体を通して練習を重ねることが挙げられます。この方法では、4コマ漫画を順序立てて説明しながら、場面の状況や登場人物の行動、セリフ、感情などを意識してナレーションを行います。
一般的な練習方法の問題点
しかし、この通し練習には1つ大きな問題があります。それは、自分の苦手な部分を正確に把握しづらいという点です。4コマ漫画全体を一気に通して練習してしまうと、どの部分がうまく説明できなかったのかが曖昧になりがちです。その結果、何度練習しても苦手な箇所が改善されず、いつまでも課題として残ってしまうことがあります。
例えば、登場人物の感情を説明するのが苦手な場合、無意識のうちにその部分を避けてしまうことがあります。感情の表現を避けてしまうと、説明全体が平板になり、物語に感情的な深みが欠けてしまいます。それにもかかわらず、通しでの練習では他の要素(場面の状況や行動)に意識が集中し、感情の説明が十分に改善されないことがあります。
通し練習を繰り返すだけでは、特に苦手なポイントに対して的確な対策を講じにくく、苦手意識が残り続けてしまう可能性が高くなります。感情の説明や具体的な行動の描写がうまくできないまま練習を進めると、ナレーション全体の質が向上しないばかりか、自信を持って説明できる部分も揺らいでしまうことがあります。
おすすめの練習方法
英語を話すのがあまり得意ではないけれど、何とか合格したいという方におすすめの練習方法は、まず苦手なポイントに絞ってピンポイントで練習した後に、全体を通して練習する方法です。
ピンポイント練習のメリット
特定の弱点に焦点を当てて練習することで、確実に苦手ポイントを改善することができます。例えば、登場人物の行動を説明するのが苦手な場合は、その部分だけを集中的に練習します。短時間で集中的に練習することで、効果的にスキルを向上させることができるため、着実に進歩を感じることができるでしょう。
総合的な練習との組み合わせ
ピンポイントでの練習を行った後は、全体を通したナレーション練習を行うことが大切です。ピンポイント練習で改善したスキルを実際の試験形式で応用することで、バランス良く力をつけることができます。特に、4コマ漫画のナレーションでは、場面の状況や登場人物の行動、セリフ、感情など、各要素を繋げて説明する力が求められます。これを一連の流れとして練習することで、試験でも自信を持って対応できるようになります。
効果的なスキル習得
ピンポイントでの練習を繰り返すことで、各ポイントをバランス良く押さえたスキルを習得できます。英検準1級のナレーションは、限られた時間で多くの情報を整理して説明する必要があるため、特に弱点を補強しておくことで、全体的なスキルの安定感が増します。
この方法を実践すれば、苦手意識を持っていた部分も自信に繋がり、本番でも安定してナレーションを行えるようになります。
苦手ポイントのチェック
このシリーズでは、チェックポイントを、以下の4つに分類します。
状況・登場人物の行動の説明
登場人物の感情の説明
登場人物のセリフの説明
新聞、雑誌、掲示板、看板などの文字情報の説明
どのポイントが得意で、どのポイントが苦手か把握されていますか?
既に把握されている方も、そうでない方も、先ほどのオリジナルサンプル
を用いて、チェックポイントを説明できるかをチェックしてみましょう。
さきほど説明したナレーションのポイントを意識して下さいね。
では、行きますよ!
上の2コマ目について、以下の項目を順に説明してください。制限時間は、各10秒間です。
状況・登場人物の行動の説明
登場人物の感情の説明
登場人物のセリフの説明
新聞、雑誌、掲示板、看板などの文字情報の説明
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いかがでしたか?
どのポイントができていて、どのポイントができないかが明確になりましたか?
お悩み別おすすめ練習ポイント
状況・登場人物の行動、感情、セリフ、そして文字情報の説明という4つの要素をピンポイントで練習することは、4コマ漫画のナレーションが苦手な人が抱える5大悩みを解決するための効果的な方法です。それぞれの要素を練習することで、以下のように悩みを解消することができます。
1. ストーリーの全体像がつかみにくい
解決策: 「状況・登場人物の行動の説明」を集中的に練習することで、各コマで何が起きているかを明確に把握できるようになります。状況を理解し、登場人物がどのように行動しているかを正確に説明できるようになると、全体の流れも把握しやすくなります。
2. 時系列の整理ができない
解決策: 「状況・登場人物の行動の説明」の説明を時系列に沿って整理して練習することで、各コマの出来事を時間順にスムーズに説明できるようになります。時系列の整理が身につくと、物語全体の流れが自然に説明できるようになり、話の前後が混乱することが少なくなります。
3. 説明するべきポイントがわからない
解決策: 「状況・登場人物の行動の説明」、「登場人物の感情の説明」、「登場人物のセリフの説明」、「文字情報の説明」のそれぞれをピンポイントで練習することで、何を優先して説明すべきかを学べます。感情やセリフは登場人物の行動と深く関連しているため、これらを適切に説明するスキルを磨くことで、ナレーションの重要なポイントを自然に押さえられるようになります。
4. セリフや感情の説明が難しい
解決策: 「登場人物の感情の説明」、「登場人物のセリフの説明」を繰り返し練習することで、登場人物の気持ちや考えを的確に伝えるスキルが身につきます。感情の説明やセリフの間接話法の練習を通じて、キャラクターの心理状態をより正確に伝えられるようになり、話の深みが増します。
5. 説明に時間がかかりすぎる
解決策: どこに時間がかかっているかを明確にし、時間がかかっているポイントをピンポイントで練習することで、コンパクトに、要点を押さえて説明するスキルが向上します。余分な情報を削ぎ落とし、ポイントを絞ることで、全体の説明が時間内に収まるようになります。これにより、効率的なナレーションが可能になります。
まとめ
今回の記事では、苦手ポイントを特定しました。第2~第5回の記事では、4つのポイントをピンポイントで練習します。第6回の記事では4コマ漫画を通しで練習します。苦手なポイントを1つ1つ攻略していけば、確実に上達して、ナレーションを攻略できますよ!
次回予告
次回のブログ記事では、「状況・登場人物の行動の説明」という方のために、状況・登場人物の行動の説明をピンポイントで練習します。「状況・登場人物の行動の説明を攻略したい!」とい方は、是非チェックしてくださいね!
英検準1級に挑戦することで、新しい自分を発見し、目標に向かって一歩一歩進んでいく過程を楽しんでください。あなたの挑戦を応援しています!