整備日誌アラカルト

第2回 タイミング・ベルト交換

整備日誌アラカルト第2回目は、タイミング・ベルト交換の流れをご紹介します。
タイミング・ベルトとは、エンジンの駆動力をエンジン・ヘッドに伝えるベルトのことです。
エンジン・ヘッドでは何をしているかというと、吸気・排気バルブと呼ばれる部品があり、それらが働くためにエンジンの駆動力を利用しています。
このベルトが破断すると吸気・排気バルブがピストンと衝突するなどの破壊が起こり、エンジンその物が使用不能になる場合があります。

行う時期:走行距離10万キロ(車種によっては5万キロというのもある)
整備に必要な部品:タイミング・ベルト、アイドラー・ベアリング、テンショナー・ベアリング、テンショナー(場合によってはウォーター・ポンプが必要な場合もあり)
必ず整備要領データを揃える事。(タイミング位置や順序などがあるため)
万が一を考え、バッテリー+端子を外す事。ナビや自動車のセッティング情報などを消去したくない場合はバックアップ電源を確保すること。

作業①

整備要領書の手順に従い、クランク・プーリーを規定位置に合わせる。
補器ベルトを外し、クランク・プーリーを外す。
これはクランク・シャフトを露出するために必要な作業である。クランク・プーリー・ボルトは相当な力で締め付けられている場合があり、労力を要する。クランク・プーリーは落としたり、ベルトのかかる溝に傷をつけることはご法度です。
(直列エンジンの場合、ラジエーターファンを取り外す必要もある。電動ファンなら問題ない)

作業②

タイミング・ベルト・カバーを外す。
作業エリアは狭いため、死角になっている小さなネジなどは見つけにくい。
ソケット・レンチなどを使って外す。きちんと規定数のネジを外す事。
ネジの場所によって長さが違う場合があるので、メモするなど組付けに困らないようにする。

作業③

カバーを外したら、タイミング・ベルトの状態、オイル漏れ、水漏れの状態を目視で良く確認する。カム・シャフト、クランク・シャフトの位置が整備要領書通りに規定位置にあるかどうかよくよく確認する。

作業④

状態の確認を行い規定位置に問題がなければ、取り外し手順に沿って外してゆく。
テンショナーから外す場合が多い。この時、カム・シャフト、クランク・シャフトなどが回らないように気を付ける。

作業⑤

タイミング・ベルトを外し、交換部品を交換する。(オイル・シールも必要なら交換してしまう)。あとは逆順でタイミング・ベルトをかける。オート・テンショナーまたは規定値に張り調整を行い、手動でクランク・シャフトを2回転させタイミング位置が規定値通りか確認する。クランク・プーリーを取り付け、エンジンを始動させて回転に問題がないか判断する(タイミング・ライトなどを使用)

作業⑥

タイミングおよび取り付けに問題なければ逆順で組付けを行う。
クランク・プーリーの締め付けは規定通り行う。
ベルト・カバーかエンジン・ルーム内に交換時期ステッカーに走行距離を記入して貼り付ける。
試運転を行い、ネジなどの過不足、異音などがなければ整備完了です。

以上がタイミング・ベルト交換における一連の流れです。
これに振動防止のバランサ・シャフトなどのベルトが関係してくるとさらに慎重な作業が求められます。

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