韓国でフォトウェディング
11月でうちの娘が入籍して1年。
今年度、娘は部署異動があり、今後また数年は動かないだろう。
結婚式あげてないし、ここらでいっちょフォトウェディングでもやるかということに相成った。
フォトウェディング。
写真結婚式。
いわゆるフォト婚ってやつである。
これから記すのは、フォトウェディングを行うまでの準備などアレやコレやの備忘録である。
これからフォト婚を考えている方の何かしら参考になれば幸いである。
数十年前、結婚式場でアテンドのアルバイトをしたことがあった。
その頃はフォト婚とかフォトウェディングなんて小洒落た言葉はなかった。
街の写真館ではウェディングフォトだけ撮るカップルもいたかもしれないが、私がいた結婚式場ではだいたい挙式と写真をセットで行っていた。
新郎新婦と、その家族だけの小さな結婚式の後記念撮影をしたり、2人の写真を撮ったり。
その施行を我々は「挙写」と呼んでいた。
まぁそれはともかく、その写真もとりあえず新郎新婦が並んで立つか座るかしてすまし顔で撮っていたように思う。
ウン十年前に私がとってもらった結婚写真など改めて開くのも恐ろしい。
和装の写真など、ドラマティックの欠片もなく、しいて言うなら「おてもやんの花魁道中脱線からくり人形劇」なんていうNHKのEテレ15分番組にしてもよさそうな出来栄えで、台紙をボンドで貼り付けて二度と開けなくしたいくらいハズカシいシロモノである。思い出しただけでも「ぅわぁァ〜」と叫んで両手で顔を覆い台所に走って逃げたい。
まさに黒歴史という言葉は我々世代の結婚写真のためにあるような言葉である。
とまぁ、昔の結婚写真なんてそれがスタンダードだったし、他の選択肢なんて考えもしなかった。
それに比べて、まるで映画のワンシーンのようなドラマティックな今どきの結婚写真!
室内スタジオのセットも野外の自然の中やアーバンな街中での1枚も、新婦心を遠慮なくワシヅカミにする破壊力である。
モーレツに羨ましい!
とはいっても、そんな写真をダンナと撮りたいとはこれっぽっちも思わないので、人間に生まれ変わってまた機会があればぜひそんな写真も撮ってみたいと言えばいえなくもないようなないような。
さて、うちの嬢に話を戻すと、そのウエディングフォトを福岡の糸島で撮ろうと思うとのこと。
いいんじゃない?と鼻をほじりながら聞いていたけど、なんかえらい費用がかかるっぽい。
やれドレスがどうとか。
カット数がどうとか。
打ち合わせがどうとか。
そんな時ふと韓国人と結婚した友人の新居に飾ってあったウエディングフォトのパネルや、見せてもらったアルバムを思い出した。
「韓国で撮るっていうのは?」
考えるより先に口から出た。
頭の回転も口の回転もそんな早くないが、言いながら「ナイス考えやんけ」と思った。
友人が韓国のフォトスタジオで撮ったその写真は、最近のウエディングフォト事情を全く知らなかった私にはビューティフルでびっくりであった。
嬢も韓国に行って友人の家に泊まった時にその写真を見ていたので、食い気味に「えっ、アリー!」と目を輝かせた。
わたしめっちゃ冴えてるやん。
どうせ結婚写真を撮るならオシャレでエモいやつを撮りたい。
しかも韓国で撮るなら遅ればせの新婚旅行も兼ねていい思い出が出来そう。
釜山にそんなスタジオがあるなら、交通費だってそんなにかからない。
そんなわけで私たちは、「韓国 釜山 結婚写真」で検索を始めた。
日本で韓国風結婚写真が撮れるスタジオや、韓国のフォトスタジオを紹介するとともに、送迎や通訳など、新郎新婦とフォトスタジオのコーディネートを行うエージェントなどがいくつかみつかった。
しかし日本で韓国風結婚写真を撮るっていうのはちょっと違う。
韓国旅行をしつつ、現地の室内野外で写真を撮りたい。
エージェントにコーディネートしてもらえれば、スタジオとのやり取りや通訳をつけてくれたりしてコトバの心配など面倒が少なくて済む。
でもエージェントを挟むと料金がバカ高い。
ちなみに友人が韓国のスタジオで撮った写真は、トータルで20万いかなかったくらいだといっていた。
そもそも韓国でも釜山なら構えて行く所でもないし、土地勘もある程度出来ているので入国後に現地まで移動するのに送迎の手を借りるのはわずらわしい。
私はGoogleマップを使って「결혼사진(結婚写真)」を調べた。
釜山は海街なので、景色の綺麗な広安里海水浴場の近くにいくつかのフォトスタジオがあるのがわかった。
早速メールを送ってみた。
韓国のケンチャナヨ文化で、メールの返事は忘れた頃に来るだろうと呑気にしていたが、翌日にはしっかり返信が来た。
「日本人でも結婚写真の撮影ができますか。韓国語は話せません。」と、ハングルで送ったのに対して、1件はハングルで「もちろんです。撮影したい日にちはいつですか?」と返事が来た。
なかなかいい手応え。
そしてもう1件は
「始めまして。お会いできて嬉しいです.日本人もウェディング撮影が可能です。
スタジオ撮影はいつ頃計画していますか?
日程を教えていただければチェックいたします~
スタジオ+屋外ウェディング撮影金額は160万ウォンで、
ヘルパー費用は10万ウォン別途追加料金があります。
合計170万ウォンです。」
と日本語で返事が来た。
費用の目安まで書いてあり、好感度高い。
ここでちょっと韓国のフォトウェディングについて、友人から聞いた話をしようと思う。
友人が撮ったスタジオでは、メイクとヘアセットを別のところでしてもらい、それからスタジオへ行きドレスを選んで室内撮影したらしい。
スタジオに撮影セットがいくつもあり、特に何も言わないでいたら、カメラマンが独断でカップルに似合うセットに案内して撮るそうで、「ハィ今からここ!次はココ!そして次はココ!」
というようにアレヨアレヨという間につれていかれたとか。
その間、新婦の世話をするのがヘルパーの女性。
友人はイモと呼んでいた。
イモとはなんぞや。
韓国ではお店にいる店員のおば様をイモと呼んだりする。
元々イモとは母方のおばをさしていう言葉で、よそのおば様は本来アジュマだったりアジュモニと呼ばれたりするそう。
ただ店員さんに対してはアジュマと呼ぶよりイモと呼んだ方がニュアンスが柔らかくなるようで、皆様も韓国で食事をする機会などあれば「イモニ〜ム」と呼んでキムチのオカワリなどおねだりしてみて欲しい。
で、そのイモが撮影中とても甲斐甲斐しく世話をしてくれるのだそう。
髪が乱れたら直したり、ドレスを整えてくれたり。
友人はスタジオのInstagramを見た時に、図書館のようなセットで撮った写真を見ていて、てっきりそこで撮れると思っていたのに、そのセットでは撮影しないまま終わってしまった。ドレスを脱いで髪を解きかけた時に「図書館みたいなセットで撮りたかった…」と呟いたところ、イモが「ぜひ撮ろう!」と言って解きかけた髪をなぜかイモが再びセットしてドレスを着せてくれて、カメラマンに伝えてくれて無事に希望のセットで撮影出来たと言っていた。
偉大なるイモ。
美容室が別のところにあり、ヘアセットとメイクが済んだら美容師の手が離れてしまうシステムのためか、その後の新婦の装いはイモに全権を委ねられているということらしい。
偉大なるイモ。
友人の場合は撮影に払うお金とは別に、ヘルパー費用をイモに直接払うシステムだったようだが、今回日本語のメールで返信をくれたスタジオは、イモへの費用は込みのようである。
ただ、イモにはちょっとした小遣いを渡しておいた方がより一生懸命お世話をしてくれるとの事なので、5万ウォンくらい包んだら良いだろうか🤔
友人からは「最後にお礼として渡すのでは意味が無いので、必ず先に渡すように」と念を押された。韓国ではそういうものらしい。
病院でも「お世話になります、よろしくどうぞ」と言って入院する時に渡しておいた方が、心情的に良くお世話をせざるを得ないから、退院する時に「お世話になりました」と言ってお菓子を渡すのでは時すでに遅しということらしく、友人が出産して退院する時に菓子折りを渡すのを見たシオモニ(義母)が「先に渡さなきゃ意味が無い」と教えてくれたと言っていた。
そんなわけで、日本語メールをくれたスタジオと日程の調整をすることになった。
そのスタジオは釜山の広安里という海に近い所にあり、Instagramにはビーチで撮っているカップルのウェディングフォトがたくさん載っていた。
ビーチで撮影いいじゃない⤴︎︎⤴︎︎(撮られるの私じゃないけどw)
金曜日に渡韓し、土曜日に撮影したいとメールしてみた。
しかし、屋外で撮影するのは平日でないと難しいらしい。ビーチなどでは人が多いからだろうか。
それなら仕方ないので、木金で有休をとり渡韓し、金曜日に撮影することでまとまった。
日程も決め、契約することになった。
やっぱり何事もやろうと思ったら勢いが大事。
契約にあたり、まず契約金として10万ウォンを振り込んでください。
残りの代金は撮影が終わったら支払ってください。
とメールが来た。
え、10万ウォンでいいの?
残りは当日でいいの?
へぇ。
他のスタジオでは、契約金6万円(ウォンじゃない)で、期日までに残りの支払いを完了させてから撮影をするというのを見てたので、日本円で1万円弱の契約金がとても良心的に思えてくる。
とりあえず10万ウォンを払ったら契約完了らしい。
払う払う。
払うけど。
海外送金ってどうやるの。
ネットで調べてみるけど、なかなかややこしそう。
まず窓口に行かないといけない。
そして、海外送金が必要なことを証明する何か書類が必要とか。
さらに手数料がバカ高い。
え、ほんとに?
もっと簡単にワンクリックで送れたり出来んのかい。
契約は手の届くそこまで来てるのに、10万ウォンの振込みでつまづいてしまった。
韓国に嫁にいった件の友人に「海外送金についてやり方を教えて欲しい」とLINEした。
彼女は韓国に留学する時に授業料を前もって日本から振り込んでいるはずだから、プロいはず。
すぐに返事が来た。
「私の口座から代わりに振り込んどきます〜」
神か😇✨
その日のうちに友人は振込みをしてくれた。
ウリ銀行の口座を持っている友人は文字通り「ワンクリック」で振り込んでくれたらしい。
こんな時に力になって助けてくれた友人の優しさと経験とフットワークの軽さに感謝しつつ、人との繋がりって大事だなぁと実感。
スタジオからもすぐに「入金確認しました〜。LINEかカカオトークで繋がれますか?」と返事が来た。
そっちもワンクリックで確認したんだろうなーきっと。
娘のLINEのIDをメールでお知らせしたのち、スタジオのスタッフと娘がLINEでメッセージの交換ができるようになった。
ここまで向こうのスタジオとやり取りしていたのは私である。
娘のLINEでは新郎新婦それぞれが当日までに準備するものなど、細かい打ち合わせが始まっていた。
やっと私の手を離れて当事者同士が繋がった様子を見て、なんだか私、一端のコーディネーターだったじゃん⁉️と感慨深く不思議な自信がみなぎっていた。
しかし最後にお金を立て替えてくれたのは友人であって、彼女の手柄の方が遥かに偉大である。
スタジオから娘へのLINEでちょっと面白かったのが「ワキ脱毛症必須‼️」という文言。
ワキ脱毛症🤣
願ったり叶ったりやん🤣
と面白がっていたら、友人が「何らかのワキ毛の処理をして来いって事だよ」と教えてくれた。
外国には処理しない文化の人もおるみたいやけね…
だそうである。
娘がLINEで「うちの母が撮影を見学してもいいですか」と聞いた所、「もちろんです!お母様も記念撮影してあげます」と返事が来ていた。
ヤバい。
ドレス…… (っ・д・)≡⊃) ̄▽  ̄)∵ブフォ💨
今回撮影を契約したスタジオは、「コミュニケーションは翻訳アプリでいいですか?」と向こうから聞いてくれた。
韓国語で細かいコミュニケーションをとるのは私には難しいので、正直通訳を探さないといけないかと思っていたので、この申し出は大変ありがたかった。
そして余談になるが「イモ」のイントネーションについて。
「芋」 ではなく「イモトアヤコ」の「イモ」の部分のイントネーションである。
参考までに🙂