まもってあげたい
雨の日に思うこと。
私が少し前に住んでいた、農業の盛んな町の貸家の前は、玄関を出てすぐ3メートル道路になっていて、向かい側は民家の塀だった。
そこには、住民がいた。
カタツムリだ。しっかりした殻の大きめサイズ。のんびりと塀を這って、日差しが射すと、とどこかへ消えてゆく。
彼らは移動範囲が狭いため、だいたい住民は固定されている。私はすぐメンバーを覚えた。
困ったことに、彼らときたら、何故か道路に這い出てくるのだ。私は、そんな彼らを、"うっかりカタツムリ" と、名付けた。
早朝なら車も少ないため、轢死を防ごうと、梅雨の時期は、早朝すぐに外に出て、うっかりカタツムリをレスキューするのが日課になった。
カタツムリの人生は厳しい。生まれたては、アリに襲われることもあるし、天敵をやり過ごしても、車に轢かれたり、子供にいたずらされたりする。
だからこそ雌雄同体で子孫をのこすが、生息範囲のせまさゆえに、場所が開発されてしまったら大打撃だ。
3〜4センチに育つのは、もはや運かもしれない。
そう思うと、私は、立派に育った、塀のメンバーを、いっそう愛おしく思うのだ。
もし、あなたが、うっかりマイマイをみつけたら、道路のはしにそっと寄せてほしい。
ひたむきな命に思いをはせて。
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