WALRUSというバンドがいたこと
2000年前後によく聴いていて既に解散してしまったバンドがサブスクにきているのを知った。それはWALRUS(ウォルラス)という日本のバンド。
去年の夏ぐらいに解禁されてたみたい。
高い知名度があったかというと残念ながらそれほど知られていない。でもフジロックには出ていた。新作がCDショップの試聴機に入っていたりもした。だから人気がなかったわけではないしそれなりの評価もされていたと思う。
ジャンルでいうとシューゲイザー。
ひずんだギターが空間を埋め尽くすような多重レイヤーと密度で鳴る中、細いボーカルが儚く美しいメロディで歌うというスタイルが多い。それゆえ最近の海外ではDREAM POPなどと呼ばれることもある。WALRUSも例に漏れない。
それほどこのジャンルに詳しいわけではないけど、もっとも有名なバンドはマイブラことマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。日本で有名なところだとスーパーカーがシューゲイザー的な曲をやっていた。「White Surf Style.5」とか。
このところ海外でシューゲイザー人気が高まっているようで、さきほどのナタリーの記事にもWALRUSの説明として「UKギターバンドの流れを汲むサウンドで海外からも高い評価を受けている」とある。
えっ海外で高い評価?本当に?
日本でも決して高い評価があったとはいえないのに…と思ってRYMを確認した。ここ最近の海外におけるフィッシュマンズ人気もここが震源だったから。すると「光のカケラ」というアルバムが2000年のアルバム54位に選ばれていた。(2024/02/22時点)
世界の音楽好きが集まるサイトで2000年のアルバムランキング全世界54位。なかなかのものである。同時期に出たPRIMAL SCREAMの「XTRMNTR」より上位だ。いつからこの位置なのか、サブスク解禁からなのか、現在進行形で人気が出ているのかは分からない。
シューゲイザーのオールタイムランキングだとなんと15位(2024/03/04時点)。
https://rateyourmusic.com/charts/top/album/all-time/g:shoegaze/
活動中はもっと評価されるべきと思いながら聴いていたしCDもほとんど買っていたが、いまいち抜けきらないまま解散してしまった印象をずっと持っている。人気が出なかった理由はわからないけど、ジャケットデザインのセンスのなさとか、音の悪さとかはちょっと気になるところではあった。(初期とラストアルバム時期は良かったと思う)
なお解散時、ボーカルの人が最後に出したコメントには「歌詞が書けなくなった」とあった記憶。苦しんでいたのかもしれない。
ともかく20年以上経ってようやくまっとうな評価がされているようで素直に嬉しい。サブスクによってもっと広まるとさらに嬉しい。さらに再結成とかに繋がると嬉しいが無理はしないでほしい。
いずれにせよリアルタイムで聴いていた当時の自分のセンスが間違っていなかったという自己肯定感に包まれていて満足だ。
なお曲としての最高傑作は「DYED」という曲だと思う。轟音につつまれ気づけば粒子となって宇宙に放り出されてましたみたいな凄い曲。
1度だけライブを観れる機会があって、タイトル画像にしたチケットがそれ。なにせ四半世紀も前だからあまり覚えていないけど、複数のバンドが出演するWALRUS主催のイベントだったみたい。WALRUSのアルバムにも参加しているJOUJOUKAも好きだったので2マンライブかと記憶してたけど5組も出演してたみたいだ。演奏がどうだったかも朧げだけど、DYEDの冒頭でミスがあって演奏を仕切り直したのは覚えている。
今回サブスクには降りてこなかった後期のアルバム2枚も期待したいところ。AVE MARIAのカバー(?)がめちゃくちゃいいんだ。