見出し画像

明るい人ってなんだろう?

明るい人、とはどんな人をいうのだろうか。

僕が好きな小説に、こんな一説がある。

好きというほどではない。僕にはもちえない華やかさと明るさに、少し憧れていただけだ。

本と鍵の季節/米澤穂信

 主人公が友達から、先輩に惚れていると指摘されたシーンだ。この言い回しからは、主人公からみた憧れの先輩への距離がひしひし伝わってくる。
「華やかさと明るさ」に惹かれて、少し厄介なことに首を突っ込んでしまった後悔も、だからといって、嫌いになりきってない感じも読めるいい表現だと思った。こういう形の恋情を覚えたことがある人は、案外少なくないんじゃないかという気がする。だから僕は、”明るさ”について考えたんだ。

日国で引いてみた

 日国で”明るい”を引いてみた。その中で、関連のありそうなものを抜き出してみよう。

(2)澄んでいて、はなやかな色をしている。明度、彩度が高い。
(3)ものごとが、はればれとしているさま。
(4)疑わしい点がない。身のあかしがたった。また、やましいところやさしさわりになるものがない。

日本国語大辞典 第二版 ①

 明るい人、という言い回しから想起される所と外れていない気がする。サイダーのTVCMに出るような雰囲気かなと僕は思った。
 じゃあ、なぜ人は”明るさ”やら”はなやかさ”に惹かれるのだろうか。

前置き

 僕が好きだった言説に、勿論今はあまり好んでないのだけれども、
進化心理学を援用したものがある。

進化心理学(しんかしんりがく、英語:evolutionary psychology)は、ヒトの心理メカニズムの多くは進化生物学の意味で生物学的適応であると仮定しヒトの心理を研究するアプローチのこと。適応主義心理学等と呼ばれる事もある。

ウィキペディア 進化心理学

 ドーキンスは人間を遺伝子の乗り物、生存機械とし、感情や心はソフトウェアなのだから、進化の理論を適用できるだろうと説明した。高校生の僕はこの言説を好き好んで喋っていた。だって複雑に見える頭の中を、簡潔な視点から考えることができるという点が、魅力的だった。こんな書き方をしたが、認知科学者などもこの考えを支持しており、荒唐無稽でもないのだろう。

 今回はこれらの考えを一旦無視しよう。巷に氾濫する、進化心理学的にわかる最強のモテテクニック10選、みたな記事にはゾッとしないからね。

誰かの笑顔で嬉しくなる様に
何かしらの線で繋がっているんだ

心象カスケード/koyori(電ポルP)

 

考察

明るさとは、気分だ。何事にも揺るがなくて、肯定する為の喜びに満ちていなくちゃいけない。そうした、生の肯定に芽生える雰囲気だった。社会を善くしたり、進展させたり、そういった発展に欠かせない燃料だ。そうやって周りの人を巻き込んでいく、天性の才能を上手に発揮し、社会から肯定されていく人が持つ性質だ。

 だからこそ、嫌になる。それを持っていないと社会に必要とされていない気がする。その性質の欠如が、人間関係や社会的地位に関する失敗の本質だと感じられる。陰気な人には、人生を幸福に生きる、ということすら傲慢に思えるものだ。だから僕は文章を書いていた。


 そんな事を考えて、ただ空を眺めていた。深い透明なそれは綺麗だ。こんな生活じゃ満たされない、本当に全部を捨てたいんだ。求めるのと同じくらいに、破滅したいんだって気持ちがずっとあって、だから憧れてしまうんだ。

過剰な期待に裏切られるとき、安心する

。また破滅や絶望に近づいたんだって感情が、どうしようもない悲しみを乗り越えさせてくれる。いつでも死ねるという事実ほど、希望を与えてくれるものはない。だから僕は、恒星にあこがれてしまいたいんだ。

 そろそろ結論を書かなくてはいけない時間だ。


明るさは憧れの対象となる性質全般だってことにしておこう。
なんというか、纏まりのない文章になってしまったけれど、秋の雲みたいに曖昧模糊とした文には、それはそれで魅力があると思う。だって理路整然とした人生なんて退屈だ。だから、こんな文章で僕は納得しようと思う。

 曖昧な話をするのは楽しい、気ままで自由だ。
だから僕は、どんどん破滅していきたいんだ。

僕の過去作かつエモ多め↓


引用した物


引用させていただいた本。ミステリとしても青春小説としても頭抜けて面白い話。

進化心理学 - Wikipedia

↓好きな曲です

いいなと思ったら応援しよう!