見出し画像

足洗邸(あしあらいやしき)

 本所七不思議のひとつ。本所三笠町にある屋敷の天井からギガンティックな足が降りてきて「足を洗え」と強要し、従わないと家屋を破壊し暴れまわるという七不思議業界きっての武闘派。七英雄でいうとダンターグといったところ。
 ちなみに海外の掲示板の足洗邸スレでは、この妖怪について「モンティ・パイソンみたいだな」「スーマリ3のワールド5に出てきた大きな足みたいだな」などといったクールジャパンな論評がなされておりました。
http://www.reddit.com/r/todayilearned/comments/1t0u7n/til_in_japanese_myth_theres_a_creature_called_the/

 本所七不思議ではありませんが、他の地域にも次のような類話があるそうな。
 嘉永年間の六番町。番町といえば怪異の殿堂みたいな土地柄で、泉鏡花のような怪異オタが好んで居を構えておったところです。その六番町の、御手洗主計という旗本の屋敷の蔵の扉がとつぜん開いたかと思うと中から野趣あふれるマッシヴな足がドジャーンと飛び出す。なんだかよくわからんけど、とにかく汚い、臭い、毛むくじゃらの3Kで見栄えが悪くてかなわん、というので使用人がせっせと洗ってみたところ足は引っ込んだ。しかし安心したのもつかの間、もう片方の汚い足がまたもドジャーンと突き出し、こいつがまた坂上忍が見たら発狂するんじゃないかというくらい汚い。使用人がしぶしぶ洗ってやると足はすっと引込み、何事もなかったようにバタンと扉が閉まるという、まさしくモンティ・パイソンみたいなシュールぶり。

 この謎の怪足、刀で切りつけてもダメージを与えられず、祈祷師による魔法攻撃も効果がないどころか祈祷師のほうが踏み潰されてしまう始末。使用人たちは困り果て、あるじの御手洗さまにおうかがいを立てましたところ、主人は当代にはめずらしくよゐこのシュールコントなどを好んでご覧になるようなお人であったため、怪足のシュールぶりをむしろ称揚し、手厚く世話するように指示。やがて怪足は蔵に盗みにはいろうとした賊を踏みつぶすというファインプレーを披露し、その後は御手洗家の財宝を守護するという要職を担うようになり、「御隠居さま」と呼ばれ一目置かれるようになりました。怪足は毎日足を洗ってもらえるし、御手洗家はセコム要らずだしで、まさにwin-winの関係だね! いえーい!

 しかしながら、時が経つにつれ足のやろうは次第に増長し、かわいい女子に洗ってもらわないと満足できないようになり、次第にそのキモさを増し、御手洗家には女子の使用人がなかなか居着かなかったんだってさ。

いいなと思ったら応援しよう!