みっくちゅじゅーちゅ
大森靖子のみっくちゅじゅーちゅを聴いた。
MVの女の子を見ていたら高一の潮干狩りを思い出した。
あれは五月のはじめだった。
その日は金沢八景駅に現地集合して体操服を着て熊手でアサリを探していた。
同じ中学出身の地味な同級生と一緒にダラダラと砂をかく。
アサリは三つしか取れなかった。
昼になった。
バーベキューの時間だ。
僕はまだクラスに馴染めて居なくて隅の方で紙皿を持って突っ立っていた。
クラスの一軍に所属する女子の群れから声がかかる。
そこの男子こっち来なさい。
はい。
ぞろぞろ。
紐のくつ君も食べなよ。
僕の紙皿にポンと美味しそうなお肉が置かれる。
あ、ありがとう。
顔をあげるとギャルが微笑んでいた。
出席番号5番Sさん。
下まつげの綺麗なギャルだった。
今で言うオタクに優しいギャルだ。
僕の記憶に鮮明に残っている。
ショートカットの似合う女の子だった。
Sさんはバイト禁止の高校だったにも関わらず学校に届出を出してケンタッキーで特例でバイトするほどの働き者だった。
いつも明るくてムードメーカーで周りを元気にさせてくれる人だった。
Sさんは2年生になってから一時期ダイエットにハマってカロリーメイトしか食べないという無茶をしてとても痩せてしまったことがある。
僕はSさんのことがとても心配だった。
3年になると元の健康なSさんに戻っていたので安心したのを覚えている。
1年の潮干狩り以降大した盛り上がりを見せない高校生活だったけど、僕はSさんの優しさのおかげで3年間乗り切れたのかもしれない。
1人のギャルが内気な少年を救ったそんなお話。
今日はこれでおしまい。
おやすみなさい。