
ハイモジモジ10周年ふり返り(8期目)
ハイモジモジ代表の松岡です。
2010年4月28日に創業し、間もなく10周年を迎えます。そこで、この10年の歩みをふり返っていきます。今回は8期目(2017年)をまとめてお伝えしていきます。
雑誌「ねこ」でニーポン大特集
4月。
ネコ・パブリッシング社の雑誌「ねこ」のインタビューを受け、掲載号が発売されました。
猫にまつわるグッズを作っているクリエイターということで大きく取り上げていただいたのですが、とにかくその名も「ねこ」という雑誌ですので、主役は猫、猫、猫。
わが社の看板猫である「ニーポン」がモデルになって、誌面にどーんと載りました。
▲大写しするとちょっと問題なので小さめに
これまでハイモジモジとしてメディアに取り上げられることは幾度となくあったのですが、正直、ニーポンのことを紹介してもらえるのが一番うれしいです。看板猫であるどころか、すっかり稼ぎ頭で、わが社のエースだからです。
それに飼っている猫を「かわいい」と言ってもらえるのが猫飼いにとって何よりうれしいことです。ですよね、猫を飼っているみなさん。
▲当時のグラビア撮影時の風景
起業にまつわるストーリーや、モノづくりについてのあれこれはもう語り尽くした感があるのですが、猫取材についてはまだまだお待ちしておりますので、プレス関係のみなさんからのご連絡をお待ちしております。
銀座の蔦屋でGINZAとコラボ
マガジンハウス社の雑誌「GINZA」で、商品がいくつか取り上げられました。
「お仕事がんばる!GINZAガール」という特集だったのですが、お仕事に役立ちそうな指輪のかたちの付箋「RING-IT」と、スケジュール管理に長けた7分割できるブロックメモ「TAGGED 7 CUT MEMO」が紹介されました。
ここからが面白いのですが、この時期、銀座に新しい商業施設「GINZA SIX」がオープン。その中にテナントインしている銀座蔦屋書店で、雑誌「GINZA」とコラボレーション。誌面で紹介された商品が雑誌とともに販売されるという試みが企画されました。
もう、うれしくなって、すぐに現地を見に行きましたよね。
GOOD DESIGN STOREで販売開始
このころ、東京・丸の内にある商業施設「KITTE」の中に新しいお店「GOOD DESIGN STORE」がオープンしました。グッドデザイン賞を受賞した商品だけが集められた特別なお店です。
そして前年に同賞を受賞していた「TAGGED MEMO PAD」シリーズが店頭で取り扱われることになりました。
ある意味、殿堂入りのようなもので、誇らしい気持ちになりましたね。
ちなみにお店には文具のほかにも生活雑貨や家電など、魅力的な受賞作品が所狭しと並んでいて、そろえ始めたらお金がいくらあっても足りません。
「PAPER happy NOVELTY」開設
ハイモジモジがこれまで企画した商品に名入れをしたり、オリジナル・デザインで別注品を作れるサービス「PAPER happy NOVELTY」を開始しました。
それ以前にも「BIZ MOJIMOJI」という名で、法人向けのノベルティー受付専用サイトを開いていたのですが、より紙モノに特化したサービスとして装いも新たにリニューアル。ここだけのオリジナル・プロダクトも用意して、満を持してスタートしました。
が、これはうまくいきませんでした。
意図的に「ハイモジモジ色」を薄めて、いかにノベルティーとして有益なプロダクトであるかを伝えることに注力したのですが、どうも作り手の顔が見えなくなってしまったというか、血の通っていないサービスになってしまったことが失敗の原因かもしれません。
歴史の闇に葬ってもいい黒歴史ではありますが、今後の教訓としてここに記しておきます。
新製品の工場見学へ
7月。
とある新製品を量産化する前に、生産を委託している工場に見学に行きました。自分たちがデザインした商品がどういう工程で作られるのか、理解を深めるためにも、その目できっちり見ておきたいと思ったのです。
ふだんは関係者しか入れない、厳重に管理されたところも見学させていただき、とても貴重な機会になりました。
「WORKERS'BOX」がついに完成
そして8月。
みなさん、覚えておいででしょうか。前期に社内でケンカ別れして、仕事部屋をふたつに分けてしまった事件を(7期目のふり返り参照)。
この出来事をきっかけに「書類整理」の大切さを痛感した弊社デザイナーが「お片づけが苦手な自分でも使える書類整理用のファイル」を追求し、足かけ1年超の試行錯誤をくり返した結果、ようやく結実したのがそう、「WORKERS'BOX」という商品です。
ネットでもよく読まれた「開発エピソード」に事の経緯をくわしく書いていますので、こちらもよろしければ。
さて、商品はできあがりました。
「WORKERS'BOX」は私たちにとって「転換点」でした。というのも「ネット販売に注力することにしたから」です。
これまでのやり方といえば、まず商品を作り、プレスリリースを投げ、小売店さんや問屋さんに商品資料を送り、オーダーを受けて店頭に並べていただくのが当たり前でした。
しかし「お客さんとダイレクトにつながりたい」という機運が自分たちの中で高まっていたこのころ。ECサービスの充実やSNSの普及という時代的な背景も後押しして「ネット販売メインでもやっていけるのではないか」と考えていたんですね。
というのも、これまで色んなプロダクトを作ってきましたが、どれも「説明の要るもの」ばかりでした。ちょっとかわいくデザインしました、というものではなく「これは、こういうものです」と説明するところから始めないと伝わりにくい新機軸のものばかり作ってきたので、店頭にただ置いているだけでは「真意が伝っていないのでは」という懸念がずっとあったのです。
その点、ネットは「店舗のスペース」や「誌面の都合」といった制約がなく、必要な情報をすべて掲載することができます。なのでちゃんと理解して、納得してもらった上で、その先の購入ボタンを押してもらう流れがベストだと、このとき考えました。
そして「WORKERS'BOX」は、従来のやり方から大きく舵を切った商品でした。
バズって1日7,000冊を販売
まずは会社サイトに特設ページを設け、先行予約を受けつけたところ、さっそく1,000冊の注文が入りました。幸先のいいスタートを切りましたが、もともと単価が低い商品なので、利幅もかなり薄め。もっともっと売らなきゃダメです。
そこでTwitterに力を入れることにしました。
サイトに「開発エピソード」をしっかり語っているから、アクセスする人が増えればそれに比例して購入してくださる方も増えるはず。その入口となるものを作りたい。そうして、代表松岡の個人アカウントでこんなツイートをしました。
「散らかってるから片づけて!」
— 松岡厚志 / HI MOJIMOJI (@513MHz) September 26, 2017
僕の心の叫びから、妻がこんなものを作りました。最初はただの箱かと思ったけど、ほんとに机がきれいになってるし。
ズボラな人でも書類をポイポイ放り込むだけ。これで仕事がはかどる人が増えたらいいなあ。https://t.co/5efDfY1Hl3 pic.twitter.com/pxeUjoCAfs
4枚まで画像が貼れるTwitterの特性をいかして、わかりやすい4コマ漫画をアップしたところ、これがいわゆる「バズ」につながり、16,000リツイートを記録。
その影響でサイトへのアクセスもうなぎのぼりになり、なんと「WORKERS'BOX」が1日で7,000冊も売れるという結果につながりました。
ホームランではなくこつこつヒットを積み上げるような、派手さはないけど気づけばずっと売れている、そんな売れ行きを想定していたのですが、まさかの特大ホームランになってしまったのでした。
出荷作業を外部に委託
その後もすごい数のオーダーが入り続け、とうとう在庫スペースと出荷作業がパンクしました。
創業したばかりの2010年に「Deng On」をリリースし、毎日出荷ばかりしていた、ある意味うれしい悲鳴が続いたことがあったのですが、その分、新商品の開発が物理的にまったくできなかった苦い思い出がよみがえります。
そこで「出荷作業の外部化」を決断。これまで自分たちの手でひとつひとつの商品を検品、発送してきたのですが、ついに出荷業務を外に委託することにしました。
▲すでにその他の商品だけで在庫スペースがパンパンでした
はじめは「協力会社に委託」などと取り繕っていたのですが、実態は代表・松岡の母です。
手先の器用さと仕事の丁寧さには定評のある母が出荷のすべてを担ってくれているとという強力なバックアップ体制。個人的には「ハハモジモジ」と呼んでいます。家庭内手工業ここに極まれり、です。
トークイベント「どう食う会議」開催
年が明けて、2018年2月。
このころ、自分たちが企画した商品がSNSを通じて大きな反響を呼び、これからの生き方、働き方がガラッと変わる「時代の潮目」を感じたクリエイター仲間が集まりました。
最近、自分たちの身に起きたことを報告し、これから「どう食っていくか」を話し合う、そんなトークイベントを開催したのです。
Twitterでバズったのは自分だけではなかったこと、似たような経験をした仲間がほかにもいたことがとてもうれしく、お客さんも集めたトークは白熱。このイベントは翌年も開催されました。
当時の書き起こしがありますので、こちらも読んでみてください。モノづくりをしている方、これからしたいと思っている方に、たくさんのヒントがあると思います。
今ここで初めて告白しますが、「WORKERS'BOX」のヒットがなければハイモジモジはどうなっていたか分かりません。
未来の見えない中で手探りで、ぎりぎりつかみとった起死回生の逆転劇。精神的にタフにならなきゃ、会社というのは続けられませんね。
ハイモジモジ10周年まで、あと4日。
(つづく)
【ハイモジモジ PROFILE】
2010年創業。「Kneepon from Nippon!」を合言葉に、思わず膝を打つアイデア・プロダクトを日本から発信している。キーボードに立てる伝言メモ「Deng On」、耐洗紙のメモ「TAGGED MEMO PAD」でグッドデザイン賞を受賞。人気シリーズ「WORKERS'BOX」好評発売中。
Instagram >>> https://www.instagram.com/himojimoji/
Twitter >>> https://twitter.com/HIMOJIMOJI
note >>> https://note.com/himojimoji
Company >>> https://www.hi-mojimoji.com/
WORKERS'BOX >>> https://www.workers-box.com/
いいなと思ったら応援しよう!
