留学、そして就職〜私がドイツに導かれるまで
ドイツで貴重な2年間を過ごした。
大学、語学学校、寮生活、めくるめく日々だった。
お散歩しても学生食堂もスーパーマーケットも鳴りわたる教会の鐘も
ぴんと張り詰めた空気もいつまでも明るい夏と冷凍庫で暮らすような
冬の暗さもクリスマスも何もかもが珍しくキラキラ輝いて見えた。
あっという間の2年間だった。
日本に帰った後もなんだかふらふら夢のつづきにいるような気分が続いた。
どれだけドイツが好きだったんだろう。今も好きだけど。
帰国1年後、不思議なことに再びチャンスが巡ってきた。
ドイツで就職することになったのだ。
海外就職口を探していたのではない。仕事でドイツ語が使えたらいいなと
思っていたことは確かだが、世の中それほど甘くないとわかっていたし
それほどの実力もない若き日の私。あれよあれよという間にお膳立ての方が
整っていく。誰より驚いていたのは私の方だった。
「引き寄せの法則」などと人は言う。あの頃そんな言葉はなかった(と思う)
けれど、何か運命のの「流れ」にとらわれる瞬間をこれまで幾度となく
経験してきた。
「きた!」と思ったら流れに身を任せた方がいい。それはきっと心の奥底の想いが
起こした風に違いないのだから。