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姫島の名前の由来となった「比売語曽」の神は、白い石から生まれたんです。
スーさんは、前回noteで紹介した灯台のついでに、歴史ある『 比売語曽神社(ひめこそじんじゃ)』にも立ち寄っていた。
日本に伝存する最古の歴史書「日本書紀」に比売語曽神社が出ている。日本が弥生時代の頃の話で、その内容は、SFのような不思議な物語だ。
現在の韓国南部地方の意富加羅国(おほからのくに)に都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)という王子がいた。
ある日、黄牛(おうぎゅう)に田器(農具)を背負わせて田舎に行くと、牛を見失ってしまった。探していると、老翁が現れて、「お前の探している牛は、この村に入った」と告げた。さらに「役人の館に行ってみるがよい。牛は殺されて食われているだろうが、代償はいくらかと訊ねられたら、財宝を所望してはならぬ。村に祀ってある神様をくださいといえ」といって去った。
阿羅斯等が、役人の館に行くと、何もかも老翁のいったとおりだった。阿羅斯等は代償を求め、この村に祀る神様をもらった。その神は、白い石であった。
阿羅斯等が白石を持ち帰って寝室に置くと、白石から美しい少女が生まれた。阿羅斯等はとても喜んで求婚すると、少女はたちまち逃げていなくなった。召使に聞くと「東の方に行った」という。阿羅斯等は船で後を追った。少女は海を渡って日本国に入り、難波に行き、次いで姫島に渡り、比売語曽の神となった。
白い石から生まれた比売語曽の物語は、平安時代初期につくられた日本の物語『竹取物語』に似ている。いや、比売語曽の歴史というか伝説が先にあって、『竹取物語』がつくられたのかも。ヒロインが生まれたのが白石から竹に変わり、求婚されて逃げた場所が東方の神秘の国の日本から月になった。
この『 比売語曽神社(ひめこそじんじゃ)』のすぐ隣にあるのが拍子水(ひょうしみず)。
途切れることなく冷泉が湧き出て池のようになっている。伝説では、比売語曽の神が、口をすすごうとしたが水がない。パチパチと手を叩いて祈ると、水が湧き出たという。拍子水の名前の由来だ。
「拍子水は飲めるのですが、鉄の味が強くて、超マズイです❗❗
でも、体にはイイみたいなので姫島に来たら一度はチャレンジしてほしいです( *´艸`)」
拍子水の冷泉は、アルカリ性炭酸水で、消化器の病気、皮膚病に効く。
拍子水が、地底から湧き出たときは透明である。「姫島史」では、キラキラと輝き、鏡のくもりをみがいてつやを出すことに似ている、と表現している。ところが、池の底の石や岩は黄白色に染まっている。そのため別名「赤水」ともいう。
「拍子水には温泉もあります。
拍子水は冷泉なので、沸かして温泉にしています。
子どもの頃はアセモに効くといわれ、夏になると連れて来られ、温泉と、外の冷泉に交互に入ってましたが、今は、外の冷泉に入ってる人は見かけません( ゚∀゚)」
と、スーさん。拍子水を沸かして温泉としている施設「健康管理センター」がつくられたのは昭和57年(1982年)のこと。
不思議なことは、スーさんの叔父である私の子どもの頃から拍子水の水は絶えることなく湧き続けていて、それがいつ始まったのかわからない。その水がどこからくるのかもわからない。拍子水は本当に伝説の水なのだ。
今回はスーさんのnoteとしては、観光宣伝色の強い固い内容になったが、時にはいいと思っている。
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