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2024年2月22〜28日 憂鬱な時は酒を飲んで

2024年2月22日

 京都に来てからずっと天気が悪くて、曇天と雨降りを繰り返していたけれど、今朝も喫茶店の近くを散歩していたら、久しぶりに晴れ間が見えた。太陽は久しぶりに見るととても驚く。梅雨が長引いたある年、久しぶりに太陽が顔を出した瞬間、文字通り腰を抜かしたことがある。
 歩きながら、もう誰も話題にしてないと思うけど「マルハラ」について考えていた。若い世代が句点に恐怖心を抱くという新しいハラスメントのこと。まず自分の文章を読み直してみると、SNSやメールでは句点を使用していたけど、プライベートなLINEでは使用していなかった。
 その後、友人たちからのLINEを読み返してみると、年齢が上で会社勤めをしている人は句点を使っていた(フリーランスの人はライターでも使っていなかった)。つまりこれは会社勤めをしている若い子たちが、上司からの連絡が届くと緊張して嫌な気分になるということなんだろうなあと勝手に納得した。
 私も仕事で年下の人たちと関わる機会が増えてきたけど、自分の世代では当たり前の思いもしなかったことで怖がられたり嫌がられたりするようになるのかと思うと、それはどんなことなんだろうと思う。全てのことは移り変わっていく。都市もアップデートしていく。でもこの建物には変わってほしくないなと、京都の町家を見ながら思った。私はすでに充分に古くてわがままな人間なのだろう。

 宿に戻って、島根県の安来市で取材したソトラバのいちご狩りの原稿を書き上げる。
 オンライン英会話で先生と一緒にエイドリアン・トミネの「SHORTCOMINGS」を読んだ。エリックが教えてくれて、ロサンゼルスで買ってきた漫画。まだ冒頭で、男女がひたすら言い争いをしているだけなのに面白い。私はギャスパー・ノエの「LOVE3D」とか、男女が密室で感情をぶつけ合っている作品が好きなのかもしれない。

 一昨日、ワインショップで選んだオレンジワインを持って、宿のオーナーさんの家に遊びに行く。京都最後の夜。キヌアのサラダと水餃子とスパイシーなラム肉の煮込みを振る舞ってくれた。ラム肉の煮込みはしっかりと辛くて、ビールもワインも進んで愉快な気持ちになる。あとからオーナーさんの友人も赤ワインを持って遊びに来て、賑やかな夜になった。

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