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きみはひまわりのようで。 1
いつかの7月。わたしの勝手な思い込みが、がひめを私の元から連れ去ってしまいました。遠くの空に、虹の橋を渡って。
それはわたしにとっては突然のことでした。きっと、今思えばサインはずっとあったのだと思います。
ですが、わたしの不注意でそれに気づきませんでした。
ほんとにごめんさい、愛しいひめ。その贖罪も込めてひめとの日々を書き記していきます。
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私とひめの出会い
私とひめとの出会いは遡ること13年以上前にもなります。ある時、私は何を思ったか、どうしてもワンコが欲しい!と思いネットで検索しブリーダー?のような人に早速会いに行くことになりました。
そのブリーダー?のような人のところに向かうと、質素な応接セットに通されました。不安と期待で心臓が高鳴りながら、椅子に座っているとそのブリーダーらしき人が私に質問してきます。
「どのような仔をお探しで?」
私は検索した時からずっと心に決めていたことがありました。
白と茶色が混ざったチワワが欲しい。それもロングコートで。
ブリーダー?らしき人は、うんうんうなづきながら、そのオーダーにあれこれ思案していましたが、そうだと徐に部屋の奥の扉に入っていきました。
3匹のチワワ
そうすると一分もしないうちに、とても白くて可愛らしい子が私の目の前に現れました。ですが、私はその子をみてもピンと来なかったのです。首は縦に振りませんでした。
すると、そのブリーダー?らしき人は、そそくさに2匹目の子を出してきました。その子も白くて1匹目に負けて劣らずの可愛らしさ。ですが、何故か元気がなくその子に対しても私は首を横に振るばかりでした。
ブリーダーらしき人も少しイライラしたのか、またパッと消えて、パッと現れました。そして、ついに私の相棒がそこに現れたのです。扉が開いた瞬間に、わかりました。女の直感とでも言いましょうか、稲妻に打たれたかのような感触に私は、
「あ、この子です!」
そうなんです。もう、ひめは最初から私の元に来ることが運命づけられていたんです。前の2匹は私の前でしゅんとしていましたが、ひめだけは違いました。ひめは私を見た途端、アピールを必死にしてきます。もぉ、そんなにアピールしなくても、ちゃんとお家に連れて帰りますよーだ。その時、私の耳にははっきりと、
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「まってたまってたー、わーい! まってたのー!」
と聞こえてきました。そして、
「今すぐお金おろしてきます」
とブリーダーらしき人に言いました。
お金を渡し、抱っこさせてもらい「幸せにするからね〜」とひめに語りかけると、ひめは尻尾をプリんプリんプリんと振りました。
それをみたブリーダー?のおばちゃんが「やだ、この子尻尾振って返事してるわ〜」と笑っていました。
私はこの時(この子返事したんだ、じゃ、幸せにしなきゃ)と心に誓いました。
そうして、私とひめは家路についたのでした。
翌日、ひめはトイレを覚える。
帰宅したその日、本当は段ボールに入れておかなければいけなかったのですが、何度も脱出をしてくるので仕方なく私とひめは一緒のベッドで眠ることにしました。
ひめの温もりが私の心を癒してくれる。本当に私の元に来てくれてありがとう、そう思いました。
翌日、トイレを覚えたひめでした。この時私はこの子がとても頭が良い子だったと思いました。さらに、私がシャワーを浴びていると、
「ワォ〜〜〜〜〜ん!!」
と遠吠えし、寂しがっていたようです。このように、ひめと私は最高の相棒として門出を迎えることができました。
しかし……、
ひめの受難
そんな楽しい日々もたった二日で終わりを迎えます。
翌々日、ひめは黒くびちゃびちゃした便を出してしまったのです。
ひめは2匹目だったのですが、それでも初めての出来事で私は若干狼狽、すぐに病院に行くことにしました。ですが、その時はまだ事の深刻さに気づいていませんでした。今だから思いますが、深く反省しなければいけない出来事の一つです。
病院について、急ぎ診察をすると「これは血便だね。もしかすると、伝染病かもしれないので、調べましょう」と緊急入院することになりました。
採血して調査をすると、あらゆる数値が低く早急に輸血しなければ大事に至るとのことでした。
「えぇぇぇぇっ!!!!」とびっくりしました。まだ連れて帰ったばかりなのに……
交換するの?しないの?
この状況に買ったブリーダー?へすぐに連絡しました。
「そんなはずはないんですけどねぇ? なんだったら替えますぅ?」
とすっとぼけた声で、はいはい難癖つけられてもねぇみたいな感じで返されました。しかしこの時の私は
(替えますぅ? え、替えられるの? ど、どうしよう?)
と、恥ずかしながらこんな事を一瞬でもよぎっていました。ですが、
(あたしはいいけど、この子はどうなるんだろう? 返したらきっと病院に連れて行かれないんだろうな……)と頭をよぎり、交換はしませんでした。
もういいや、私が引き受けようと思いました。3日も一緒に過ごせば情も移ります。そうして、重病のひめは動物病院でしばらく過ごすことになりました。
お見舞い
翌日、動物病院から電話が来ました。
「ぜひ、お見舞いに来てください。1日一回でも顔を見せてあげたら安心しますから」
たった数日しか一緒にいないんだから顔なんか覚えてないでしょ、と疑心暗鬼でしたが、行ってみるとそれは杞憂でした。
「ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅーん」
私の顔を見た途端ひめは管を繋がれながら、鳴き出しました。この子は私を飼い主だとわかってくれてるんだ、ということに驚きました。
そうして、先生達の尽力で無事数日後には退院することができました。
いよいよ、私とひめの13年にわたる生活がようやく始まります。
つづく