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ゴールドコーストの夜明け

noteを始めてみた。
書きたがりなので何か投稿したくなったのだけど、特に思いつかなかったので7年ほど前の写真を。
Mという友人と行ったオーストラリア旅行での一枚だ。
もとは野生動物を見にケニアに行きたくて計画を立て、ビザの取得や申し込みまでしたのに、親に「娘がライオンに喰われる……」と泣かれ、ライオンに喰われる可能性はそりゃゼロではないかもしれないが観光客がそんな目に遭うことはまず有り得ない(というかライオンに会える可能性自体が高くない)と何度も説明したものの聞く耳を持たず、なりふり構わず反対してくるさまを見て呆れ果て、結局こちらが折れたのだった。

旅行用の休暇も予算もとってあったわたし達は、急遽行き先をオーストラリアに変更した。何も考えず、ケニアと同じ南半球だからというだけで選んだ旅先だった。「カンガルーに蹴られる」と泣かれるかなと思ったら、さすがにそれはなかった。
カンガルーにもコアラにも興味はなかったのだが、ゴールドコーストの空港からまっさきに連れていかれたのはコアラ保護区、動物園だった。(パッケージツアーのオプションだった)
内心では「動物園のコアラじゃなくて、野生のキリンを見たかったなあ」と思いながら入った動物園で、わたしたちはあっさりとカンガルーとコアラに夢中になった。
カンガルーに餌をやることができ、コアラは抱っこすることができた。

かわいい。かわいいじゃないか。
カンガルーの口元に餌を持っていくと、もふもふと食べた。口や舌の感触がくすぐったい。
コアラはぎゅうっとしがみついてきて、Mなどは急に母性本能が芽生えたらしく、数分前まで「ゾウに会いたい」と言っていたのに恍惚とした顔で「コアラを産みたい」と言った。
オーストラリアはその独立した地形のとおり、かなり独特の進化があり自然がある。生き物に触れることは、そこにしかない営みに触れることであり、その点ではケニアの草原に決して劣らないものがあった。

その晩は早めに休み、夜明け前にゴールドコーストのビーチに散歩に出た。暗いうちからサーファーが波に乗っていた。
見事な朝焼けだった。
海を背に、砂浜に高層のホテルが立ち並ぶゴールドコーストを眺め、予定外ではあったもののこれはこれでよい、と思った。
南半球は秋、ティーシャツのお兄さんも毛皮のコートのご婦人もみんなサングラスをかけて楽しそうに笑っていた。

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