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kazushinakamura
ただいま
ただいま。
あ、また電話だ。
母にくっついて耳を澄ます。
なんだか不穏な空気。
恵美、行ったらあかんってちーちゃんのおばちゃんに言われていたとこに行こうって言ったん?
どういうこと?
大人の雑誌が散らばってるから遊んだらあかん場所にあんたが連れて行ったん?
ちーちゃんが行こうって言ったし行ったら、なんか雑誌が散らばっていた。
そこにはちょっと行っただけやけど。
そうか…
ちーちゃんの嘘。
私が何か悪いことをしたことにいつもなる。
ちーちゃんには5つしたのたけちゃんっていう弟がいてる。
すぐに泣くたけちゃん。
おばちゃんはたけちゃん、たけちゃん。
ちーちゃんは喘息持ちで学校も休むことが多い。
親同士が先に知り合って家が近いことが分かり、
お友達になってあげて、って言われた。
お友達がいないのは喘息のせいでも学校休みがちなせいでもないと思う。
ちーちゃんのおばちゃんのせいやと思う。
ちーちゃんが嘘ついたり悪いことしてるの知ってて怒らへんからちーちゃんは寂しいんやと思う。
怒られることは、弟の面倒みなさい!とか恵美ちゃんみたいにお手伝いしない!
そりゃ私のことが憎くなるし悪く言いたいよね。
でもね、私もしんどかったよ。嘘言わんといてって怒れなかったから。恵美が我慢したら済むことやからって。
ずっと我慢してたよ。ちーちゃん、なんで嘘言うん?ほんまは私と仲良くしたかったん?
いまだに分からへん。
だってこれから10年、あなたは嘘をつき続けたのだから。