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ひと夏の小さな出会い
ご無沙汰しております、ユキマチです。
今回はひと夏の小さな命との出会いについてご紹介させて下さい。
是非この思い出が色あせない内にnoteにまとめないと!と思いつつ、はや11月になってしまいましたが…
事の発端は母からのラインでした。
母「庭の洗濯ばさみにケロッピがいる😭」
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なんという事でしょうか、まごう事なきケロッピです。
私の母はカエルが死ぬほど嫌いで、その昔手の上に落ちてきた際に気絶したほどです、これは大変なことになりました。
この時は仕事中だったので家に帰る頃にはもういなくなっているだろうと踏んでいました。カエルだけに!
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家に帰宅すると居ましたね。
なかなかなサイズの二ホンアマガエルです。
我が家では横に用水路が流れていますので恐らくそこから遊びに来たものと推察されます。
なんでこんなところに上ったのかは不思議ですが調べてみると、二ホンアマガエルは樹上性(木の上とかで生活したりする)なので木の代わりに物干し竿に上ったのですね。
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早朝、ベランダのお花に水をやるべくカーテンを開くと…
まだおるやんけ!!
翌日には姿を見かけなくなったのでもうどこかに行ったかと思いきや…
不思議なことに再び物干し竿に止まっていました。
一体何が楽しくてこんなところに止まっていることやらと思いつつ、お花に水を上げて仕事へと出かけました。
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おや…ちょっと水分が抜けたせいか…気持ち不細工になりました?
背中が丸々としていましたがちょっとスタイリッシュになってました。
お前…まさか1日中ここにいたのかい…?と思わざるを得ませんでした。
ところでこの不思議なケロッピの記録をtwitterことXにちょこちょこと投稿していましたが、思いのほかいろんな方に反応していただけました。
「もしかしたら別個体じゃないか」「飼育しているのですか?」等など…
気象条件までしらべて考察してくださったりで、調べるうちに少しアマガエルについて詳しくなってきました。
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おそらくここまでのいいサイズの個体に加えて、ケロケロ鳴いているのを聞かない、お腹が真っ白な事を勘案すると恐らくメスではないかと分かりました。背中の模様も日によってバラバラですが、アマガエルの肌は保護色と言い、緑だったり土の色に似せたりと変化するみたいです。
加えてお気に入りの場所を見つけるとずっとそこにやってくるみたいで…
うちの物干し竿がお気に入りですか( ´∀` )
お気に召したようで何よりですが母が「洗濯物が干せない」と嘆いていました。
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さも”当然である”という様な顔でたたずむケロッピ。
まるで神社に鎮座する狛犬のように、その目はどこか気高かった――
とテロップが付きそうな表情をしていますね。
ほぼ毎日物干し竿に上っています。
実はこのケロッピは夜になると居なくなってしまいまして…
日が落ちて21:00をすぎたあたりでどこかへとお出かけします。
そして早朝にはいつのまにか戻ってきているのです。
本当に不思議なケロッピですね。
しかしそう思っていたのも束の間の事で、
この日を境にケロッピはパタリと現れなくなりました。
1日居ないのならともかく、待てども暮らせども現れることはなく…
「もしかして…カラスに襲われたかな?」
「それともオニヤンマに捕まってしまったのかな?」
「まさか横の道路でロードキルとか…」
日がたつと共に比例するように大きくなる不安を胸に、それもまた自然の摂理かなと考えておりましたが5日後の事でした。
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何食わぬ顔で戻ってきたケロッピ、そしてどこか誇らしげでもある。
無事に帰ってきたようで何よりです。
体に土がついてるみたいなので、恐らく横の田んぼでパーティーロックアンセムをキメてきたのかもしれませんね。
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ところで僕はふと考えました。
「名前つけてあげてもいいんじゃないか…?」
ここまでほぼ毎日顔を出しているケロッピですが、流石にケロッピ呼びは味気が無い様な気がしてなりませんでした。
そして僕は名前を付けたのです。
命名:トマル
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物干し竿に↑トマルと書いてあったのでトマルです。
ちなみにこの反対には↓ユルムと書いてありました。
不思議なもので名前を付けてしまうと愛着がわいてしまいました。
よくよく見てみるとクリクリとしたお目目、きゅっと結んだ手。
白玉団子のようなお腹、ずんだ餅みたいな色。
ぷくぷくと動く鳴嚢(喉のところ)
所でですが、一度「もしかしたらコイツ降りれないんじゃないか」と思い捕まえて下におろしてあげたのですが…
大の字にジャンプしながら空中で小便をして、目の前の植木に逃げていきました。
怖かったのですね、ごめんなさい。
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少し飛んで29日です。
TwitterことXでもトマルの事を気にかけてくれる人が増えだしてなんだか自分の事の様に嬉しかったです。
しかし連日の様に続く猛暑にトマルもややダウン気味の様で…
見てください、このやる気のない感じを!
慶應通信のレポートで悩んだ時に自分もこんな感じになるので気持ちはよくわかります。
そしてこの猛暑もあってか、物干し竿が中々に熱くなってしまい…
この時はもう洗濯ばさみの方にしがみついている事が多くなっていました。
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これが最後にトマルを見た写真です。
洗濯ばさみから顔をだして外の光景を眺めていますね。
ふっくらした体が洗濯ばさみの溝にピッタリとフィットしています。
この日を境にトマルを見ることはもうなくなってしまいました。
そして僕は考えたのですが、あの小さなカエルにも何か考える事があったのではないかと。あの小さな体で何を感じ、何を思い、その目に映る光景はもしかしたら僕らとはまた違ったものだったのかもしれないと。
7月の頭に突然庭に遊びにきたケロッピが物干し竿を気に入り、ほぼ毎日の様に同じ物干し竿に鎮座したり、洗濯ばさみをベッド代わりにしたり…
自分たち人間とは違う生物ではありますが、近くに住むお隣さんであり、意識していない所で人間の生活に壁一枚隔てて、彼らもまた同じく生きているのです。
最後にみせたあの後ろ姿を見ていると、小さな心臓を動かして、物事を美しいと感じたり、楽しい、嬉しい、と感じる人間と何変わらぬ喜怒哀楽の心がもしかしたらトマルにもあったのではないかと思ってしまいます。
「30過ぎたオッサンがなぁに寝ぼけたこと言ってんだw」
と突っ込みを入れられそうな感じですがw
その昔、花鳥風月を表現するため様々な和歌や俳句にも唄われる様に、慈しむ心や想像力を欠いてしまうというのは少しもの寂しいものです。
少しだけ、心で寄り添ってみると彼らの世界がわかるのかもしれませんね。
ほんの1か月ほどの小さな出会いでしたが、トマルから学ぶことも多々ありました。
あのとても小さな哀愁漂う背中にも、もしかしたらトマルの哲学があったのかもしれませんね。
また来年も元気な姿で遊びに来てくれると嬉しいですね。
さようならトマル。
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・・・でも何も考えてなさそうですね!
おしまい。
追伸:布団ばさみは母が「気持ちが悪い」と捨ててしまいました。