怪談(わたし編)
〜プロローグ〜
子どもの頃から怖い話が好きだった
血筋だと思う
夏に親戚で集まると部屋の電気を消しロウソクを立てて怪談話が始まる
風邪で学校を休んで寝てると退屈しのぎにと母から渡されるのは楳図かずおの「へび女」とか「ミイラ先生」などのホラー漫画
「あなたの知らない世界」という心霊番組を家族で見るのが夏休みの恒例
なんばにあったお化け屋敷「恐怖の蝋人形館」が母のお気に入り
ドラキュラやフランケンシュタインに扮した人が働く恐怖カフェ「サタン」に連れて行かれた時は従姉妹がギャン泣きして大変だった
わたしが小学生のときに初めて買った単行本は「日本怪談集 幽霊編」
とにかく心霊写真や怖い話が大好きだった
いつか幽霊を見てみたいとずっと思ってた
〜はじめての恐怖体験〜
その日は何の前触れもなくやってきた
高校2年のテスト期間中だったかな
早く終わって時間があったので仲良しの友達と2人で遠出しようということになった
行き先はわたしの父方の田舎にした
水道も通ってない山の奥の大きな一軒家
電車とバスを乗り継いでバスを降りてからは山道をひたすら登って行く
小さい頃から何度も来てるので道に迷うことはない
途中にあるお寺で少し休憩した
後ろにはお墓がびっしり
ちょっと怖かった
少しずつ日が落ちてきたので急ぐことにしてふたたび歩き出す
家に着いた時は日はとっぷりと暮れあたりは真っ暗
田舎の農家の夜は早い
もう就寝してるらしく家の電気は消えていた
もともと突然だったし家を訪ねるつもりではなかったのでそのままUターンして今来た山道を下っていった
山の緑の匂いが濃厚だ
星が出てたかどうかは覚えていない
お喋りしながら急ぎ足でどんどん下って行く
山道を抜けてやっと国道に出たものの最終バスは出たあとだった
距離はあるが仕方ない 駅まで歩こう
左側にはは山がそびえ立ち、右側には大きな川が流れてるその真ん中を街灯に照らされた国道が真っ直ぐ延びていた
最終電車に間に合うようにわたしたちは走り出した
その瞬間
それは現れた
国道を照らす街灯の下に女の人が立っていた
普通じゃなかった
身長がものすごく高いのだ
どう見ても2メートル以上ある
黒い服黒いスカートで白い紙袋のようなものを胸に抱えてる
今思うとぜったい変なのにその時は電車に間に合わせることで頭がいっぱいで
必死に走りながら(めちゃめちゃ背の高い女の人やなぁ)とぼーっと思っただけだった
こちらに向かって歩いてくるその女性とわたしたちの距離がだんだん近づいてくる
おかしい
確かに女の人だったのに今はズボンを履いた男性に見える、、、
おかしいのはそれだけじゃなかった
こちらに近づくにつれ背が低くなったり高くなったりしてる、、、
(えーっ?!男なん女なんどっち?!なんで背ぇ高なったり低なったりすんの…!!!)
どう考えてもこの時点で怪しさMAX 発狂してもいいレベルなのに(変やなぁ???)と思いつつまだ走ってた
だって、足がないとか血まみれとかじゃ全然なくてまぁゆうたら普通の人にしか見えないんだもの、、、
いや、だから、普通ってなに!!性別や身長が変わりまくってるのにおかしすぎるやろ…
頭の中は、最終電車に間に合わなければ!が90%占めてたので
変やな変やな思いながらも兎にも角にも走るのに必死だったのだ
そしてとうとうその「人」?はわたしたちの真ん前まで歩いてきた
わたしと友達はおそらく同じことを思って走るのをやめた
(通り過ぎた瞬間にはっきり見て正体を確かめよう!)と。
しかしそれは叶わなかった
なぜならその人がわたし達の横を通り過ぎた瞬間に
消えてしまったから
目の前には街灯に照らされた国道が真っ直ぐ延びてるだけ、、、
????????
「今の見た?!」「見た(号泣)」
わたしと友達は泣き叫びながら猛ダッシュしてその場から逃げた
一体何が起こったのか分からず駅まで走り続けてなんとか電車に間に合った
帰りの車内では、
めちゃくちゃ怖かったけどやっと見れた!と、
初めて見た幽霊?に感激してレポート用紙に詳細をイラスト入りで書いた
翌日はクラスの女子を集めてそのレポートを発表してウケた
〜結論〜
怖すぎてもう二度と見なくていいと思いました
おわり。
(画像は楳図かずお先生の「へび女」表紙です)
【次回予告】
怪談(すずやん編) お楽しみに!
わたしはこの1回のみだったけどなんとすずやんは何回も見える子だったのです。。。怖いな〜怖いな〜