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がんとトマト


たくさん採れたトマトで、自家製トマトソースを作ろうとトマトを切っているとき、10歳以上歳上の女性社員の方がなんとも言えない表情で近づいてきた。

さっきまでたわいもない時間をともにしていたから、何事かと思ったら、

がんが見つかったことの報告だった。
つい、1週間前の話らしい。

びっくりして、気の利いたことは何も言えなかった。
そしてすぐに、そのような状況にあると全く想定していなかった自分の言動を振り返り、失礼なことを言ってはいないか考えた。


私はがんの名医でもセラピストでもないので、すぐに役に立つ存在にはなれなさそうであるが、治療の成功を祈り、できることはなんでもやると意思表示し、 話は終わった。
これで合っていたのだろうか。

またトマトソース作りに戻って、トマトをひたすら切っていると、
見た目は綺麗なのに、中身は傷んでいたり、
逆に表面に傷がついているのに、中身は綺麗だったりするトマトたちをみて、
ああ人間も同じだなと思った。

なんでもないように生きている人の心が傷ついていたり、何かに悩んでいたり。
冴えない表情なのはこちらの思い過ごしで、本人はいたって通常運転だったり。

見えるものはすべてではないし、必要以上に想像力を働かせても意味はない。

自分が放った言葉や振る舞いは、なかったことにはできない。
何かあってから反省するのではなく、頭をフル回転させて、他人と接しなくてはならないと改めて学んだ。





どうか、先輩の治療がうまくいきますように。
本人が望む結果を手に入れられますように。

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