【超ショートショート】(26)~夜中の訪問者~
モミモミ、ツンツン?
何かが・・・ふとんの中に・・・
ある日の夜、
私は人生で初めての金縛りにあった。
もともと霊感もない。
友達からはド天然と言われる程、
物事に対しての反応が、
あまりに鈍感な私にも、
この金縛りは、やっぱり金縛りとわかった。
瞳を動かすことが出来る以外は、
何も抵抗できず、声も出ず。
ふとんの中に何かが居るのはわかるが、
真っ暗で、そのものを確認できず。
首筋に冷たい風があたる。
それは次第に、身体を下の方へと降りていく。
「あっ!」
その冷たい風が、
何故か服の中へ・・・は・・い・・る・・
目覚まし時計が鳴る。
目をさますと朝だった。
確認のために、
着衣の乱れがないかと見ると、
変化はなかった。
夜中の出来事の途中で、
意識が遠退(とおの)き、
そのまま熟睡したようだった。
2日目
もう1日前の事を忘れていた。
夜12時に就寝。
心地よく旅の夢を見ていた次の瞬間、
足下に冷たいものが入ってきた。
目をさましたが、また金縛り。
きのうと同じ、身動きができなかった。
動けない私を確認すると、
その冷たいものが、
まるで、
冷たい氷をほんの少し私の肌に当てながら、
身体を上って行く。
そして腰辺りに来ると、
また服の中へと・・・、
今度はしっかりと侵入した。
「あっ・・・あっ?」
めざましテレビのニュースで、
目をさました。
夜中の出来事を確認するため、
また着衣の乱れを探したが、
変化はなかった。
でも、この2日間、
途中でどうして熟睡してしまうのか?
不安に感じた。
「もし、今夜また何かが出たら、
絶対に捕まえてやる!」
3日目
きのうと同じ行動パターンで就寝。
今度は、買い物の夢を見ている時に、
それは始まった。
金縛りになると、目を開ける。
何かが・・・入る。
きのうよりも大胆に、
服の中へ入ってきた。
私の意識は、
まだ熟睡させられずにあった。
だが、
ここで熟睡しておけば良かったと後悔する。
何かが・・・、
服の中で・・・、
アレを・・・、
ツンツンしている?!
「キャー!」
ZIPの水トちゃんの食レポ中に起床。
今回の夜中の出来事が、
あまりにも衝撃的過ぎて、
起きるなり疲れがどっと出てしまった。
いつものように、
着衣の乱れを探したが、
変化はなかった。
「おかしい!何が起こってるんだろう?(怖)」
4日目
3日間の反省点を考えて、
明かりを付けて寝ることにした。
そうすれば、金縛りにあっても、
瞳だけは動くので、
自分が何をされているのか?
しっかりと目撃できると思った。
明かりのせいで、
いつもより、寝付くまでに時間がかかった。
寝付いてからすぐ、
また金縛り、何かがふとんに入ってきた。
「よし!目撃してやるぞ!」
瞳を開こうとすると、
目の前が真っ暗。
私の魂胆がバレたのか?
瞳まで金縛りになってしまった。
自由なのは、呼吸だけになった。
3日目までと同じ行動をしてきた。
アレを、ツンツンした次は、
服から出ると、
キスをしてきた。
それもただのキスではない。
キスのついでに、
顔中舐(な)めまわしてきた。
「あぁ~あ・・・気持ち悪い(泣)」
朝の雨音で目をさました。
起きるなり、
身体中を確認!
何かされたのではないかと、
本当に恐怖心が芽生えた。
だが着衣の乱れはなかった。
5日目
もう寝ることをあきらめて、
朝まで、映画を見ることにした。
「寝なければ、金縛りにあうことはないはず」
しかし、夜中3時頃、
つい、うとうとしたすきに、
金縛りにあってしまった。
事の展開は、きのうまでと同じ。
顔中を舐められ、
鼻の穴から、耳の穴から、首筋まで、
今日は舐めまわされた。
そして、
何かが、私のアレの間に、
もし人間ならば、
その者の顔を置き、
スヤスヤと眠り始めた。
「うん?何だ?」
アクション映画の銃撃シーンの音で
目をさました。
「きのうは何だったのか?
もしかして人なのか?
もしそうなら、誰?」
6日目
やっと、何かの正体が判明する。
私が飼っている犬だった。
いつもこうした流れで、
私と寝ていたようだ。
だから、
今日ははじめからベッドで寝かせてみた。
そうすれば、
金縛りにもあわないだろうと信じた。
翌朝、
飼い犬に起こされ、目をさます。
6日目にして、初めて何も起こらなかった。
10日目
突然、旅行に行くと、
同居の両親が、
飼い犬を連れて出掛けてしまった。
だから、今日は、
家に私ひとり。
例の金縛りの出来事は、
5日目を最後にして、
そんなことを忘れていた。
夜1時に就寝。
テレビを付けたまま。
身体を覆うふとんの上に、
明らかに人間とわかる人が、
乗ってきた。
重さに耐えられず、抵抗するも、
金縛りで動けなかった。
怪しげな動きを繰り返しながら、
とうとうふとんの中へ。
テレビ画面は砂嵐になると、
無抵抗な私に、
その人が襲いかかった。
気がつくと朝になっていた。
夜の出来事を確認するため、
身体を見ると・・・(驚)
何も身に付けてはいなかった。
ただ、
腕や脚、首筋など、身体中に、
アザのようなものが、いくつも残されていた。
その日のうちに、
身体のアザを診てもらうため、
病院へ行った。
夜の出来事を女医さんに話すと、
「とりあえず、調べて診ましょう。」
女医さんが処方したお薬は、
アザの塗り薬ともうひとつ。
もうひとつの処方薬の理由を尋ねると、
(女医)
「過去にも何人かの女性が、
あなたと同じ経験をしているのよ!
その中のお一人が、
すぐに病院に来なくて・・したのよ!」
「でも、先生、
あれは、生きてる人ではないですよね?
だって、とても冷たかったんですもの。
なのに、
そんな心配をしなきゃいけないんですか?」
(女医)
「そうなのよ!生きてる人ではないんだけど、
そうなるのよ!不思議な話なんだけどね。」
「はぁ・・・(落胆)」
(女医)
「また、出るからね!」
「えっ?(驚)」
(女医)
「一度、経験した人の所へは、
何度も訪れるのよ!
だから気をつけなさい!」
「でも、気をつけようがないんです!」
(女医)
「そうね!
でも、もし本当に出てきてほしくないなら、
ちゃんと抵抗しなさい!
少しでも恋心を持ったら、
何度も来るからね!」
「恋なんかしませんよ!(苦笑)」
(女医)
「あら、そう!
なら大丈夫だけど(笑)。
でも、あなたって、
本当に今のお父さんの子なのかしら?」
「はぁ?(困)」
(女医)
「私の父が、あなたと同姓同名の赤ん坊を
取り上げたことがあるの。
その時、あなたのお母さんは、
あなたの父親は、
〈この世に生きている人じゃないんです〉
って話したそうよ!
その人のことがとても好きだってね。」
「・・・・・・」
(女医)
「あなたは、産まれてから、
ずっと今のご自宅?」
「えぇ!」
(女医)
「あなたのお母さんも、
今のあなたに似てお綺麗でしたからね。(笑)」
「母に会ったことあるんですか?」
(女医)
「小学生の時、
家庭教師の先生をしてもらったのよ!(笑)」
「そうなんですか。」
(女医)
「まぁ、とにかく、気をつけなさい!
恋心は厳禁!
恋をするのは生きた人間にしなさいよ!
じゃないと、あなた、
ホントに大変なことになりますよ!」
「え?(困)」
「親子同士っていうのは、
医者としてオススメ出来ませんからね!」
「・・・・・」
1年後
私は安定期を迎えていた。
(制作日 2021.6.30(水))
※この物語はフィクションです。
今日のお話は、
きのうの(25)がうまく書けなかった反省から、
ちょっと冒険したような、
夏の怪談話のような、
または、世にも奇妙な物語のようなお話を
書いてみました。
CHAGE&ASKAの曲で参考にしたものは、
今回はないと言っておきますね!
CHAGE&ASKAの曲で、
お化けが出てきたことはないですが、
まぁ~その~・・・
男女の恋仲的な物語はいくつかあるので、
子どもの時の聴いたドキドキ感のまま、
書いてみました。
いざ言葉に書いてみようとすると、
恥ずかしさが、まだ拭えない所を、
今は反省しています。(笑)。
今回のお話のオススメのBGMを1曲だけ、
下記に書いておきます。
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
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オススメのBGM
CHAGE&ASKA
『BELIEVE IT ?』
https://m.youtube.com/watch?v=HIfar4OnnLg
★収録アルバム
『RHAPSODY』(1988.3.5発売)
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