【超ショートショート】(22)☆着地点☆~帰りたくないの僕~
よく女性がデートの帰り際に、
「帰りたくないの私」という台詞を
ドラマで見たりする。
もし、この台詞を男性が言ったら、
果たして、どうなるだろうか?
かつて、
存在していたという音楽集団。
名前を、『バンド・ヒヒ』と言っていた。
名前の由来は、さておき、
その『音楽集団バンド・ヒヒ』は、
デビューまもなく、初ライブツアーを開催。
知名度もまだないにもかかわらず、
全国ツアーを組み、
チケットは、全会場即日完売!
翌日の新聞一面を賑わすほど、
彼らの疾走ぶりが話題となり、
さらにファンを集めた!
ツアー自体、何度も何度も何度も、
追加!追加!追加!と公演数が増え、
全100本目でやっと、
本当のツアー最終日を迎える。
その最終日のことだった。
メインボーカリストが・・・、
音楽集団バンド・ヒヒの中でもNo.1のモテ男が、
突然ライブ終了間際に、
「まだ・・・帰りたくないの・・・僕」
と突然囁(ささや)くのだ!
はて?・・・と困り果てたメンバーたちは、
彼のもとに集まり、
それぞれにアドバイスした。
(ドラム・江(こう)さん)
「どうしたんですか?」
(ベース・メッケン)
「僕がアイスクリーム買って来ますから、
とりあえず帰ろうよ!」
(ギター・真さん)
「はっ!はっ!はっ!
ホントに楽しかったから、
1人になるのは、ちょっと寂しいよな!」
(コーラス・西(せい)さん)
「大丈夫ですか?先輩!」
(コーラス・滝姉さん)
「男のクセにしっかりししとうと!」
(ピアノ・岡ちゃん)
「僕、早く終わらないと、
グラントピアノを背負って帰れないんすけど(笑)」
(キーボード・松さん)
「うん・・・(悩)」
(マニュピュレーター・森さん)
「・・・(笑顔)・・・」
(ギター・是(これ)兄貴)
「先輩っ!オレ、最後まで付き合いますよ!
とりあえず、一杯飲みますか?(笑)」
(ボーカリスト・棟梁(とうりょう))
「いや~、オレお酒飲めないから、
それは大丈夫だ!(苦笑)
でも、もう1曲だけど、
やってもいいかな?(願瞳)」
(バンドメンバーみんな)
「・・・・・(考)」
(ボーカリスト・棟梁)
「どうしても、最後にもう1曲だけ、
このみんなと演奏したいんだ!
今日最終日だし、
だから、頼む!(懇願)」
(バンドメンバーみんな)
「(笑顔)OK!」
(ボーカリスト・棟梁)
「(満面の笑顔と涙を浮かべた)」
2021年の今、
この音楽集団バンド・ヒヒは、
どこかで、音楽活動を続けているという。
だか、
衝撃的なデビューの疾走ぶりのイメージを、
後に重く背負ってしまったため、
この世に、本当に存在したのかどうかも、
これまた伝説になってしまっている。
今は、ありとあらゆる諸説が、
ヴィッキペッギュアに、
日々、新情報が更新されている。
男性が「帰りたくないの」という瞬間は、
女性のそれとは違い、
1人になる孤独が嫌なのだろう。
そして、
楽しい仲間とも別れたくないという
ほんのささやかな抵抗と、
わがままに過ぎない。
だが、
時は残酷に、
その男性の思いに割って入り、
別れの寂しさを与えるのだった。
ボーカリスト・棟梁がのちに、
その寂しさを、
どこへ着地させたのかはわからない。
でも、
棟梁は、
「点と点をあわせてしあわせ」
という自身の作った座右の銘があるように、
点の寂しさや点の孤独を合わせることで、
しあわせの円の上にあることに、
後に気づくのだ。
それで書いた曲が・・・・・・である。
(制作日 2021.6.26(土))
※このお話はフィクションです。
今日のお話は、
1997年6月26日(木)
ASKAソロ初コンサートツアー『ID』
最終日、
真駒内アイスアリーナ(北海道)での
ステージの様子を参考に書きました。
あの日のASKAさんは、
「帰れない」というオーラを、
ライブ終わりに近づくと、より強く発していました。
ソロツアー初の重圧から、
少しずつ助けてくれたのが、
当時のバンドメンバーです。
このステージでの相思相愛ぶりは、
ホントに美しいものでした。
それが、今の2021年にも続いています。
もし、
よければ、いつか、
ASKAさんのコンサートへ遊びにいらしてください。
よろしくお願いいたします。
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
~~~~~~~
参考にした曲は
ASKA
『着地点』(1997年)
作詞作曲 ASKA
https://m.youtube.com/watch?v=LRpU6-EZoxY
★収録シングル
『ONE』
(1997.4.28発売)
★収録アルバム
『THE BEST』
(1999.3.31発売)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?