【超ショートショート】(179)~遠くても愛してる~☆MULTI MAX『I MISS YOU』☆
月明かりが夜の人影を作る。
自分のその影は、誰?
わたし?それとも、あなた?
あなたは、
あの月明かりの夜に、
大きな港から大きな船に乗り、
月明かりのきらめきの波を起こしながら、
とても遠くへ旅立った。
わたしとあなたの出会ったその日、
お互いの夢を話していた。
まさか、
ふたりが付き合うなんて、
露にも思わずに、
ビジネスの話をするように、
難しく話し合った。
「僕はいつか海外で
人道支援をしたいと思っています。」
「私はいつか自分のブランドを立ち上げて、
女性の社会進出を支援したいと思っています。」
わたしとあなたは、
それから知人となり、
お互いの近況報告会を開いて、
ふたりだけで会っていた。
12月、
めずらしく都会に小雪が降った、
ホワイトクリスマスイブ。
ビジネスチックな知人が、
小雪のイタズラで、
わたしの折り畳み傘で相合傘。
ふたりの、
わたしは右肩、あなたは左肩、
小雪が積雪して、
コートを濡らしていた。
あなたが傘をわたしに譲ろうと、
わたしの右肩を抱いて、傘のなかに入れた。
わたしは、
自分が濡れることなんて、
どうでもいいって、
あなたの手のなかにある傘の柄(え)を
あなたに傾けた。
ちょっとした小競り合いを、
折り畳み傘1つでやり合う姿が、
お互いツボに入り、
ほほえむと、
わたしの肩をまたあなたが抱いて、
傘のなかに入れるように、
あなたのコートのなかへ入れた。
ふたりの周りに、
小雪の草原ができるまで、
ふたりはお互いのぬくもりを、
雪に残す足跡のように、
ふたりはぬくもりの愛跡をお互いの身体に残した。
それから1年後、
あなたはあなたの念願の夢の切符を手に入れ、
わたしから遠くへ旅立つ決意をした。
「僕らは、離ればなれになるけれど、
僕らの愛は変わらない。そうだろう?」
わたしは、
あなたの夢を縛るつもりもなかった。
あなたが、
わたしを自由にさせてくれるように、
わたしも、
あなたを自由にさせてあげたい。
1月、
快晴の日の月明かりの夜、
わたしとあなたの別れを迎えた。
「どこに居てもわたし、あなたを愛してる。
あなたは?」
「僕も君を愛してる」
あと30分後のふたりの景色を想像しながら、
今、目の前に居るわたしとあなたを、
終わらないように、
忘れないように、
離れないように、
出航の合図があるまで、
抱きしめ、唇を重ねた。
あの日から、
まもなく3年。
来年はやっとあなたが帰ってくる。
毎日、連絡はしていたものの、
本物のあなたに会えるなんて奇跡ね。
(制作日 2021.11.29(月))
※この物語はフィクションです。
今日は、
1989年11月29日発売 アルバム
MULTI MAX『HEAVEN』
発売から今日で「32周年」
MULTI MAXとは、「マルチ マックス」と読みます。
Chageさんのバンドとして、
メンバーに、村上啓介さんと浅井ひろみさんの
3人で活動していました。
今日が発売記念日のアルバム『HEAVEN』の
6曲目『I MISS YOU』を参考に、
今日のお話を書きました。
〈MULTI MAX〉and〈CHAGE&ASKA〉
のタッグで制作された贅沢な名曲『I MISS YOU』
ご紹介できるMusic Videoがないので、
少し歌詞を書いてみます。
~~~~~~
夢だけ追い掛ける それがあなたの海だから
言いがた変えてまでも 舟を出す
輝いた月のように あなたを照らすから
どんな嵐が来ても みちびいてあげる
I miss you 愛されてること
それだけは忘れないで
遠く離れても 側にいるから
もう少しこのまま あなたを感じていたいの
目の前に映る目のものは 白い冬
(1番)
~~~~~
I miss you 重て唇の ぬくもりを忘れないわ
二人の間に 終わりはないから
(2番サビ)
~~~~~
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
~~~~~
参考にした曲
MULTI MAX
『I MISS YOU』
作詞 CHAGE
作曲 ASKA
編曲 村上啓介
ボーカル 浅井ひろみ
☆収録アルバム
MULTI MAX
『HEAVEN』
(1989.11.29発売)
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