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【超ショートショート】(58)☆walking around the Xmas☆~7月のサンタからの贈り物~

12月生まれの渚(なぎさ)は、
いつもひとりだった。

渚が生まれたのは、クリスマスイブ。
家族でお祝いをしたことはなかった。

(記憶に残る大人の人)
「いいわね!クリスマスイブがお誕生日だなんて!
今日は家族でお祝いするの?(笑)」

渚の家族は、
パパとママだけ。
ふたりはいつもカレンダーのお休みにお仕事。

(近所の女の子)
「渚ちゃん!夏休みどこに行くの?
私の家(うち)はみんなでハワイに行くの!」
「渚ちゃん!冬休みはどこへ行ってきたの?」
「渚ちゃん!春休みは?」


渚が小学生になると、
夏休みの宿題に「絵日記」が出される。

渚の夏休みの毎日は、
学童クラブの往復。
朝は学校に行く同じ時間に家を出て、
夕方は5時になると帰る。
夏休みの終わり頃になると、
夜になるのが早くなるため、
暗闇になる前に急いで、
渚は、ひとりで帰る。

学童クラブがお休みの日。
ずっと家にいて、
いつもは見れないテレビをつけて見る。


ドラマの再放送。
変なふたりの男の人たちが、
ケンカしている。
そこに女の人が出てくると、
急に仲直りして、
笑っている。

ピアノを弾く男の人。

渚は、この時初めて聴く曲。

女の人が、ピアノを聴きながら泣いていると、
CMに入る。

渚は、あるふたりに釘付けになる。
そのCMは何度も流れていた。


その夜、パパが帰宅すると、
渚は、昼間見たCMのふたりについて質問する。

(パパ)
「あぁ~!今話題の~!(笑)」

そう話したっきり、教えてくれない。


(パパ)
「あした、ママとパパさぁ、
久しぶりに渚と一緒にお家(うち)に居れるんだ!
だから、今日は早く寝て、
あした、遊ぼうよ!(笑)」


翌朝、
パパとママが本当に一緒にお家にいる。

(渚)
「お仕事は?」

(ママ)
「今日はお休みよ!(笑)」

(パパ)
「パパもだ!(笑)」

(ママ)
「今日は、パパと話したんだけど、
近くの遊園地に行って、レストランで、
渚が食べたがっていたお子さまランチを食べて、
帰りに、渚の新しいお洋服を買いに、
デパートに行きましょう?(笑)」

(渚)
「うん!(笑)」


渚は、夢を見ているように、
楽しい1日を過ごした。

(渚)
「ママ!パパ!
今日は絵日記にどれを書けばいいの?
たくさんありすぎて、困っちゃう~!(笑)」


渚は、朝から忙しいお祭りのような1日に、
すっかり疲れきって、
帰宅前の電車の中、
パパの背中で眠ってしまう。

(ママ)
「渚!夜ご飯よ!」

寝ぼけたまま、人形と化した渚をパパが操り、
風呂に入れてすぐに、
ベッドに寝かせる。

(パパ)
「(小声で)ママ!これ喜んでくれるかな?(笑)」

(ママ)
「(小声で)大丈夫よ!
それが欲しかったんでしょう?渚は(笑)」


翌朝、渚が起きると、
パパとママはお仕事で、もう居なかった。

テーブルに用意された朝ごはんを食べると、
渚は、一枚のメモを見つける。

(渚)
「今日は何時に帰るのかな?
それとも、お使い?
またコロッケを買いに行けばいいのかな?」

~~~~~
なぎさへ

今日は月曜日だけど、
学童クラブはお休みだから、
お家にいるんだよ!
火には気をつけて。
もし、変な人や電話があったら、
出なくていいからね!
お昼ごはんは、
ママがお弁当を用意してくれたから、
冷蔵庫を見てね。

それから、
きのう、なぎさが寝たあと、
サンタクロースが来てね!
なぎさにプレゼントを置いていったよ!

見つけた?
まだなら、
もう一度、ベッドを見てごらん!


それから、
パパのラジカセ、
使わないと壊れちゃうって、
きのう話すから、
なぎさ、ちょっと使ってあげてくれないか?
使い方なら、ラジカセに貼ってあるから、
①~⑤のやり方でやると、
聴けるようになっているからね!
~~~~~

渚は、急いでベッドに戻ると、
ふとんをどかし、枕を投げ、
カバーを外しかけたとき、
プレゼントを見つける。

赤い可愛いリボンと
黄色い包装紙を丁寧に開くと、

(渚)
「あっ!この人たち!(笑)」

渚はラジカセを使い、
初めてCDを聴く。

(渚)
「テレビと一緒!(笑)」


渚は、プレゼントのお礼に、
サンタクロースに手紙を書く。
~~~~~
サンタクロースさんへ

プレゼントありがとう。
このCDが欲しかったの。
何で、それがわかったの?
~~~~~

渚は、
夜中に帰宅するパパを寝ずに待つ。


(パパ)
「おや?まだ起きてるの?
もう寝なきゃ、ダメだろう?」

(渚)
「パパ!コレ!」

(パパ)
「サンタクロースのプレゼントか?」

(渚)
「うん!(笑)
パパ!ありがとう!(笑)」

(パパ)
「パパはサンタクロースじゃないよ!」

(渚)
「うん!(笑)」


(制作日 2021.7.31(土))
※この物語は、フィクションです。

今日は、7月最後。
ふとクリスマスまでの日数を、
数えてしまいました。

そんな時に、
クリスマスソングなのに、
ウクレレで演奏された
ASKA
『walking around the Xmas』。
その曲を参考し、また、
「7月」にクリスマスを行う
オーストラリア。

「Christmas in july」
(クリスマス・イン・ジュライ)
として、冬のクリスマスを楽しむそうです。

以上の2つを参考に、
夏のサンタクロースがくれた、
素敵な出会いを書いてみました。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲は
ASKA
『walking around the Xmas』
作詞 ASKA・松井五郎
作曲 ASKA
編曲 鈴川真樹
ストリングス編曲 澤近泰輔
☆収録アルバム
『SCENE Ⅲ』
(2005.11.23発売)

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