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【超ショートショート】(64)~祈りの紙の鳥~☆BGM『笑って歩こうよ』☆

窓辺に 一枚のおりがみ

幼子(おさなご)が

本を見ながら おりがみを折っている

「ほら!できたよ!」

うれしそうな顔して

ただ折られたおりがみを

幼子は 横たわる人に 見せている

「なんで ほめてくれないの?」

1週間前

父の日にプレゼントした 手作りの肩たたき券

「早速 たたいてもらうかな?」

両手にグーを作り

左肩から タン

右肩には トン

タン トン タン トン・・・・・

「オッ!いい曲がひらめいたぞ!」

タン トン タン トン・・・・・

幼子が まだ おりがみを折っている

タン トン タン トン 鐘が鳴る

タン トン タン トン 時計が鳴る

タン トン タン トン スマホが鳴る

「ねぇ!もう夕方だよ!

早く起きなきゃ!みんな待ってるよ!」

幼子が 横たわる人の身体を揺すると

掛け布団が パタンっと ペッちゃんこ

「なんで?ボク いやだよ!(涙)」

窓辺に一枚のおりがみ

ハラリと風に遊ばれ

風の中で 鳥の姿になった

タン トン タン トン 鳥が鳴く

タン トン タン トン 幼子が泣く

タン トン タン トン 飛鳥が笑う

幼子が作った千羽のおりがみの鳥

コウノトリとなって

空を舞う 迷子の飛ぶ鳥を 守るように

横たわる人の元へ 連(つ)れてくる

タン トン タン トン あぁ~!

タン トン タン トン うぅ~!

タン トン タン トン よっ!

「おはよう!」

「ジィジ!(笑)」


(制作日 2021.8.6(金))
※この物語は、フィクションです。

今日は、散文詩。

設定は、
おじいちゃんと孫。

世代が違うから、
どこかで応援し合える関係を
築きやすいのではないか?

おじいちゃん子の孫が、
おじいちゃんの行く末を案じて、
心配して、祈るように、
まだ折ったこともないおりがみの鶴を作る。

でも、
おじいちゃんは、
どんなに鶴を作っても、
病院のベッドで寝たまま。

夕方5時を伝える鐘が鳴り、
目覚まし時計も同じ時間に鳴り、
スマホの時計も同じ時間に鳴る。

おじいちゃんはまるでマジシャンのように
ベッドからいなくなる。

孫が作った一番大きな鶴が
空を飛び出し、
後を追うように小さな折鶴が飛び出した。

鶴たちが、
空を一周して、
窓辺に戻ると、
ベッドに大きな鶴が掛け布団の中へ。

孫が驚くと、
ただ、胃カメラで麻酔をかけられ眠っていた、
イタズラ好きなおじいちゃんが、
マジシャンに扮して瞳を開けた。

オチのつもりの「ジィジ」は、
父の日のプレゼントがあるように、
孫には、おじいちゃんの事を、
「大きなお父さん」と呼びなさいと話していた。

でも、
孫は本当のパパとママから、
いつも「ジィジ」として教えられていたから、
つい「ジィジ!」と言ってしまう。

騙したつもりのおじいちゃんが
すっかり孫に一本取られる。

そんなような設定で書いてみました。
「ジィジ」に成り立ての頃の、
「ジィジ」という呼び名に、
ささやかな抵抗をする、
おじいちゃんたちのせつなさ。

今日は、
BGMとしてASKAさんの『笑って歩こうよ』を
選曲しました。
この曲の懐かしくせつない印象から、
孫とおじいちゃんの絵が浮かんでいたので、
今日のお話を書いてみました。


それから、
今日8月6日は広島の祈りの日。
あの公園には、
全国から届く千羽鶴が飾られているそうです。
その祈りの思いで、
あの日を忘れないと、
今日のお話に折鶴を使いました。


(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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〈本日のBGM〉
ASKA
『笑って歩こうよ』
作詞作曲 飛鳥涼
編曲 松本晃彦・澤近泰輔
(2021.7.14発売)

YouTube【ASKA Official Channel】
★Teaser(シングル発売告知用映像)
https://m.youtube.com/watch?v=lm2pslOPnG8
★Music Video(全編)
https://m.youtube.com/watch?v=CQDM28-WiYY

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