【超ショートショート】(61)☆HEART☆~僕のすべての君~第1話(全3話)
僕のすべては君だった。
僕らの出会いは、映画館。
当時、話題の映画として、
クラスメートの映画好きの友だちのために、
こっそり、わずかお小遣いをはたいて、
見に行った。
電車で向かう大きな街には、
チケットショップが立ち並んでいた。
ショーケースを見ると、
映画のチケットや新幹線の切符、
店の奥にはコンサートチケットや
野球のチケットもある。
その他、
サーティワンの商品券やテレホンカードも。
僕は、
これから見に行く映画のチケットを見つける。
「すみません!なぜこんなに安いんですか?」
少しでも節約になればと、
恥もへったくれもなく、
つい聞いてしまった。
どうみても、子供の僕に、
店員さんは丁寧に説明して、
「今から見に行く映画は、これ?(笑)」
すでに当日券より安いチケットを、
さらに100円おまけして、
僕に売ってくれた。
「このチケット、本物ですか?大丈夫?」
(店員)
「(笑ってうなずく)」
映画館の入り口、
僕は、チケットをチケット売場に見せに行くと、
(窓口の人)
「前売り券ですね!
このまま入場口へお持ちください!(笑)」
僕は、ポップコーンもコーラも買わず、
すぐに座席に座った。
(君)
「あの~、ここ私の席です!」
僕はあわてて、チケットを君に見せると、
(君)
「この席は指定席!だから、周りの席と違って、
頭にカバーが付いているでしょう。」
僕はすぐに後ろの席に移動。
君は怒りながら、
急いでポップコーンとコーラを置いた。
映画が始まると、
君がくしゃみをした。
その音に、前の席のサラリーマンが、
怒って注意。
僕は、入り口にあったブランケットを、
君に、君の後ろから落とし、
「これ、使って!」
僕のクラスメートが、
映画館で映画を見る時の心得10カ条
を力説して、僕をすっかり洗脳してくれた。
~心得その1~
映画は1人で見に行くべし!
~心得その2~
映画を見る時は、
ポップコーンもコーラも買わない!
~心得その3~
座席は、最前列に座るな!
~心得その4~
座席は、会場中央が見やすい!
~心得その5~
映画館には、ブランケットが用意されている。
必ず1枚、男でも借りるべし!
~心得その6~
ドアの場所を確認し、
その近くになるべく座らない。
~心得その7~
映画の座席には指定と自由席がある。
間違っても、通常料金で指定席に座るな!
~心得その8~
ポップコーンとコーラも持つ女性の側に座るな!
食べる音が気になるから。
~心得その9~
もし周りにくしゃみをする女性がいたら、
借りてきたブランケットを譲ってやること。
~心得その10~
映画が終了したら、
映画館をきれいにして帰ること。
映画に集中して見るための心得を切々と教えた。
この心得で、クラスメートは、
今の彼女に出会ったと話す。
(僕)
「前の彼女も初彼女も、
映画館が出会いだろう?(笑)」
映画が終わると、
また前のサラリーマンに怒られる君。
僕はサラリーマンが帰ったのを見届け、
君を見つめる。
(君)
「これ?あなた?」
(僕)
「はい。寒そうだったから!」
(君)
「ありがとう。(笑)」
僕が映画館に行ってから1ヶ月後、
ドラマにあの時の君を見つけた。
毎週、ドラマの君を見るのが、
僕の楽しみとなり、
いつの間にか、
君無しでは物事を考えられなくなっていた。
君と出会ってから、半年。
僕にも見たいと思える映画に出会う。
休みの日、
大きな街の映画館に行った。
もちろん、
格安前売り券チケットを途中で購入して。
映画館に入って、
君と出会ったシアター5の会場に入り、
入り口のブランケットを持って、
あの時座った指定席一列後ろの自由席に座る。
「こんにちは。やっと会えた!(笑)」
僕の後ろから声がしたので、振り返ると、
あの時の君で、
ドラマで見る君がいた。
(君)
「指定席、2人分取ったから、
ここに座って!(笑)」
(僕)
「いや・・・チケット代がもったいないよ!」
そう話していると、
君の横から男性が現れる。
(君)
「この人がその席に座れば問題ないでしょう?」
(僕)
「(小声で)誰?」
(君)
「事務所の保護者!(笑)」
僕は君の言うとおりに、
指定席の君の隣に座った。
(君)
「ドラマ、見てるの?」
(僕)
「そんなすごい人だって、
あの時、知らなかった!」
(君)
「じゃあ、写真集は?」
(僕)
「えっ?」
少し前に、クラスで、
(男子①)
「この娘可愛くない?(笑)」
(男子②)
「この娘、最近写真集出したんだよな!」
(男子③)
「すごく売れてるみたいだ!」
(女子①)
「うちのお兄ちゃん、買ったよ!」
(男子②)
「見たのか?」
(女子①)
「見たよ!(笑)」
(男子③)
「どんな感じ?」
(男子①)
「やっぱりヌードもあるのか?」
(女子①)
「うん?!(笑)」
(男子④)
「おい!おまえ・・・鼻から・・・(驚)」
(僕)
「何?」
と、鼻に手を当てると、液体に触れた。
「鼻水か?」
と、液体のついた指を見ると、
(女子①)
「鼻血だよ!早く止めなきゃ!」
すごい勢いで出る鼻血を、
周りのみんなからかき集めティッシュで、
鼻に当てた。
一時の鼻血パニックをティッシュの登場で、
押さえると、
(男子①)
「おまえ、今、何、想像したんだよ!」
(女子①)
「いやらしい~!(怒)」
(女子②)
「本当に!」
(君)
「その時、何を考えていたの?
やっぱり・・・エッ・・・チなこと?(笑)」
(僕)
「何も考えてないよ!
ただみんなの話を聞いていただけなんだよ!」
(君)
「でも、見たことあるでしょう?(笑)」
(僕)
「・・・・・」
君の写真集が発売されたとき、
いくつかの本屋で、
君がサイン会を開いていた。
僕も近くの本屋のサイン会に行って、
サインしてもらっていた。
(君)
「あの時、私、気づいていたのよ!
映画館のあの人が来たって!」
君はそれから、
僕に会うために、
お休みの日は、
ふたりが出会った同じ曜日の、
同じ時間に上映される、
シアター5で、
僕が来るのを待っていたと、
君が話した。
(僕)
「どうして、そんなこと?」
(君)
「わからない!
でも、あなたに会いたいって、
いつも思ってしまうの。」
君の事務所の保護者が持ってきた、
大きなふたり用のブランケットを、
映画が始まる前に、
君がふたりの脚に掛けた。
映画が始まると、
僕の左手と君の右手が、
ブランケットの下で重なりあった。
君が僕のためにコーラを用意。
僕の右手がコーラを持つと、
君の左手がポップコーンを持ち、
僕の口へ連れてきてくれる。
僕らは、この日の映画を憶えていない。
(君)
「ねぇ!この映画、見るでしょう?(笑)」
(僕)
「うん!あの時、ちゃんと見なかったからな(笑)」
(君)
「私に見惚れちゃって?!(笑)」
僕は、にやける自分の顔を隠すように、
君を強く抱きしめた。
(制作日 2021.8.3(火))
※この物語は、フィクションです。
今日は、
1994年8月3日発売、
CHAGE&ASKA
デビュー15周年記念シングル 三部作
『HEART』『NATURAL』『On Your Mark』
そのシングル1曲目の『HEART』を参考に、
お話を書いてみました。
またまたになりますが、
シングル三部作を真似て、
全3話のお話を、収録曲順に、
書いて見るつもりです。
今日の『HEART』は、
出会いの瞬間、自分の気持ちを確かめる前に、
心が「僕のすべての君」となる感じを書いてみました。
人を一瞬で好きになる時って、
出会ったその時から、
1日も相手のことを考えない日がない。
私が、
その証拠なのかもしれませんね。(笑)。
明日は、
三部作の2曲目『NATURAL』。
映画館で出会った僕と君、
どんなふたりになろうとするのか?
そんなテーマで書いてみます。
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
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参考にした曲は
CHAGE&ASKA
『HEART』
作詞作曲 ASKA
編曲 十川ともじ
(1994.8.3シングル発売)
☆収録アルバム
CHAGE&ASKA
『Code Name.1 ~Brother Sun』
(1995.6.28発売)
YouTuber
【CHAGEandASKA Official Channel】
『HEART』Music Video
https://m.youtube.com/watch?v=r585WXniqqI&pp=sAQA
『On Your Mark』Music Video
https://m.youtube.com/watch?v=3Obh9kg6o_U&pp=sAQA
『On Your Mark』ライブ映像
https://m.youtube.com/watch?v=58o1gIKYx-s&pp=sAQA