【超ショートショート】(34)☆ふわり☆~七夕のあかね雲~
僕らは、
高校の頃にバンドを組んだ。
ドラム、ベース、ギターの男3人と、
メインボーカルの君の4人組だった。
僕らは、
カレンダーのイベントごとに、
ライブをすることが好きだった。
大学3年のとき、
もう来年は就活でバンド活動は出来ないだろうと、
学生時代最後の記念として、
理由は何でもいいからと、
1年間ライブをし続けていた。
君の希望で、
君の親戚の田舎のライブハウスで、
ライブすることになった。
「私のおばあちゃんが七夕が誕生日でね。
どうしても聴かせたい歌があるの。
だから、七夕の日にライブしない?」
メンバー男3人、少し考えてから、
君にOK!を出した。
七夕の前日、
少し大きめのワゴン車をレンタル。
マネージャーのように、
僕らのバンドの世話をしてくれていた
あだ名は社長(男)が、
ハンドルを握った。
深夜の山道、
少しガスがかかり、
視界不良。
そんな時、
対向車が・・・・・。
僕が目を覚ましたのは、
病院のベッドだった。
「今日、ライブがあるんですけど・・・・」
(看護師)
「それは無理ね。
命があっただけ、良かったのよ。」
七夕の朝、
再び目を覚ますと、
メンバーのことが気になった。
「あの、ほかのメンバーは?」
(看護師)
「あっ!私からは言えないのよ。」
「どうして?みんな無事ですよね?」
(看護師)
「・・・・・(困)」
七夕のおやつの時間。
君の親戚という人が来て、
こう話していた。
「いや、大変だったね。
痛みはどうかな?」
「大丈夫です。」
「そう、それは良かった。
でも無理しないでね。」
「はい。」
「・・・・・」
「あの、みんなは無事ですか?」
「・・・・・」
「どれくらいの怪我ですか?」
「うん・・・怪我は大したことないよ。
男の子たちは・・・。」
「えぇ?」
「あの娘はね・・・・・」
七夕の夕方、
沈む夕日に、あかね色したあかね雲が、
君の笑顔のように温かく、
夜に向かう空にふわりと浮かんでいた。
あれから、何年かな?
君の願いを叶えるために、
僕らは、
七夕の夜は、
君の親戚のライブハウスで、
ライブを続けているんだ。
もちろん、
新メンバーは入れず、
僕がギターとメインボーカルを担当している。
これが、
君は信じないだろうけど、
僕の歌声も君のように好評なんだよ。
それから、
君が小学生の頃に、
おばあちゃんの家にあった
足踏みオルガンで作った曲に、
僕が詞を書いて、
新曲を作ったんだ。
あの七夕の夕方、
君と見るはずだった
あかね色したあかね雲が
夜に向かう空に「ふわり」と浮かんでいた。
その様子を歌ってみたんだ。
もう聴いてくれてるよね?
今日も七夕、
これからライブだよ!
一緒に歌ってくれよな!
(制作日 2021.7.7(水))
七夕なので、
もう1つ書いてみました。
こちらは、
Chageさんの曲『ふわり』を参考にしました。
『ふわり』の歌詞のストーリーは、
とてもせつない内容です。
今日の七夕でも、
そのようなせつない想い出を
懐かしむ人もいるかもしれません。
また、
長生きしていけば、
若い頃を、
そういうふうに懐かしむかもしれません。
『ふわり』は、
Chageさんのアルバム『&C』に収録されています。
配信は、こちら↓
https://music.apple.com/jp/album/1443143711
ぜひ、聴いてみてください。
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
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参考にした曲は
Chage
『ふわり』
作詞 Chage
作曲編曲 西川進
☆収録アルバム
『&C』
(2010.11.03発売)
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(歌詞の一部)
あの日の 風に吹かれ舞い上がる
今 見上げる空には
誰もが 胸の奥に閉じ込めたまま
過ぎ去りし日々よ
ありがとう 忘れないから 覚えてるから
あの約束は まだ守れない
どうしても 泣けてくるかな 誰のせいかな
沈む夕日に あかね雲が ふわり
もう少し ここで歌えば 誰か来るかな
君もどこかに 浮かんでる ふわり
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