【超ショートショート】(63)☆On Your Mark☆~走りだした夢~第3話(全3話)
僕らの国は、
ほんの1年前まで、
水と緑にあふれ、
野菜も果物も魚も、
何でも作れ、取れ、
食べることに困らなかった。
暑い夏の夜空がきれいな夜。
それは突然現れた!
南の方角から、
円盤型の宇宙船が、
僕らの国の一番高い山へ
音もなく降りた。
翌朝、
僕らが起きると、家の周りが一変していた。
すべての自然が無くなり、
あるのは砂漠のような砂の世界。
僕は、宇宙船が降りた山へ、
一目散に走り、
彼らが何をしに来たのか?
確かめた。
(僕)
「ここに何しに来た?」
(宇宙船の宇宙人)
「我々は、この国の自然をもらいに来た!
我々の星は、隕(いん)石の衝突により、
空を奪われ、光も届かず、
自然が少しずつ死んでしまった。」
(僕)
「そんなこと、この国には関係ない!」
(宇宙船の宇宙人)
「いや、関係があるのだ!
この国の自然は、我々の自然と遺伝子レベルで、
同じなのだ!
我々の星を復活させるには、
この自然がどうしても必要なんだ!」
宇宙船は、
僕らの国の自然をすべて奪い尽くして、
また宇宙へ戻った。
その翌日から、
まず隣の街から、人々が、
身体に赤い発疹(ほっしん)をともない、
原因不明の高熱を出して倒れているという。
僕は、その隣の街にある
恋人の君の家へ急いだ。
(僕)
「すみません~!誰かいませんか~!」
(君のお母さん)
「ゴホン!ゴホン!はぁ〰️い!」
(僕)
「あの彼女は?」
(君のお母さん)
「2階で寝てるよ!」
僕は急いで2階の君の部屋まで走った!
僕がドアを開けると、
(君のお父さん)
「おや!君か!」
(僕)
「あの~、」
(君のお父さん)
「ほら!お前の愛しの人が来たよ!」
君はお父さんの呼び掛けで、
やっと瞳を僕に向けてくれた。
(僕)
「大丈夫?」
(君)
「うん、大丈夫よ!
ただの風邪みたいだから(笑)」
(僕)
「でも、どうして急にこうなったの?」
それから、この国の各地で、
似たような症状の風邪が流行り始める。
今までの風邪薬が、
まったく効かなかった。
最初の1人の国民の発症から1ヶ月後、
研究者が、この風邪についての論文を発表した。
~~~~~
風邪(Z-1)は、この星には存在しない、
未知のウイルスである。
1ヶ月前、富士の山に、
宇宙船が着陸したその場所から、
大量のウイルスを検出!
彼ら宇宙人は、
そのウイルスを富士の山から流れる
東西南北の川へ、大量に流したのである。
その結果、
富士の山に一番近い街の川から、
水道水として住民が飲んでしまった。
ウイルスは、
体内に侵入して24時間後に、
まず赤い発疹を全身に作り、
発疹が痛みだす、
さらに5時間後に、
高熱と極度の倦怠感の症状が現れる。
今、わが国の治療薬で
治せる物は存在しない。
このウイルスは、
人を死に導くものではないが、
おそらく一生、この風邪の症状のまま、
生き続けることになるだろう。
我々研究者は、ウイルスに勝つべく、
治療薬の研究を進めている。
~~~~~
僕は、
この論文を発表した研究者の博士に、
相談しに向かった。
(僕)
「先生!僕も同じ水を毎日飲んでいますが、
症状が現れません。」
そう話すと、
博士は、
すぐに僕の血液を取り、
身体のレントゲンを撮り、
発症しない原因を探してくれた。
(研究者の博士)
「これはスゴイ!
君の身体にも大量のウイルスはいるが、
MKキラー細胞が、ウイルスと戦って、
そのウイルスを食べている!」
(僕)
「どういうことですか?」
(研究者の博士)
「おそらく君の身体は、
未知のウイルスと戦える免疫を
持っているのだろう。
もし、この免疫を治療に使えたら・・・」
(部下の研究者)
「博士!ダメです!
彼の免疫をマウスに注入すると、
マウス自体に障害が現れ、
亡くなるものもいます。」
(研究者の博士)
「それは困った!」
博士は、
それから1週間研究を進めたが、
(研究者の博士)
「申し訳ない。成果は得られなかったよ!
でも、一つ、治療に結びつくかもしれないことを
発見できた。」
(僕)
「それは何ですか?」
(研究者の博士)
「それは、あの宇宙船の宇宙人の星へ行って、
その星の海の土の中にいる菌を採取出来れば、
治療薬が作れるかもしれない。」
博士によると、
富士の山に残された少量の海の土から、
新たな菌を見つる。
その菌が存在する場所にだけ、
ウイルスは一つも検出されなかった。
(僕)
「どうしたらその星に行けますか?」
(研究者の博士)
「あ~(笑)。
そう言うと思って、もう準備出来ているよ!」
博士から教えてもらった種の島の宇宙船発射台へ、
僕は向かうことにした。
それはちょうど、
恋人の家の窓から見える高台にあった。
宇宙へ出発する朝、
僕は恋人の君の家を訪ねた。
(君)
「ゴホン!ゴホン!(苦)
こんなに朝早く。(笑)」
(僕)
「うん、君に会いたかったから(笑)。」
(君)
「今から、どこかに行くの?
その服は、いつも旅に出る時の服よ!」
僕は君に、すべてを話した。
(君)
「戻って来れるの?」
(僕)
「あ~、大丈夫だよ!
じゃあないと、君を治すことが出来ない!(笑)」
(君)
「じゃあ、私のために行くの?」
(僕)
「そうだよ!だから怖くないんだ!
僕が君を必ず治してあげるからね!
だから待っててくれ!(笑)」
君は、涙をこぼし、
何度もうなずいた。
僕の両手を持ちながら。
僕らは、窓から見える
朝日に照らされた
種の島の宇宙船発射台を眺めると、
僕は君にお別れのキスをした。
(僕)
「必ず戻ってくる!」
(君)
「うん!(涙)」
僕は、
毎朝鳴る6時の教会の鐘を合図に、
発射台までの急な坂を駆け上がった。
どんなに砂で脚を取られても、
僕は何度も立ち上がり、駆け上がった。
☆☆☆☆☆☆
(男の子)
「パパ!このあとどうなるの?」
(女の子)
「パパ!(笑)」
(女優の君)
「あなたの話に、子供たち、
興味示したわね?!(笑)
これなら、次の作品も賞を取れそうね!」
映画館で出会って付き合って、
時々別れて、また付き合って、
ようやく君が30を目前にして、
結婚したいと逆プロポーズ。
ふたりの間に、
ふたりの男の子と女の子を授かった。
そして、夜の読み聞かせで、
一度読んだ絵本はつまらないと子供たちが、
寝てくれない。
君の提案で、
僕の子供の頃の夢の作家になったつもりで、
新しい子供ウケする話を考えた。
君がその作品をある賞へ送ると、
見事に大賞。
突然作家デビューの夢を叶えてしまった。
それから、
新たな作品を子供を審査員として、
君が待っている。
君の瞳が、
あすの物語の続きを熱い視線で、
僕にせがんでいる。
(制作日 2021.8.5(木))
※この物語は、フィクションです。
今日は、
1994年8月3日発売、
CHAGE&ASKA
デビュー15周年記念シングル 三部作
『HEART』『NATURAL』『On Your Mark』
そのシングル3曲目の『On Your Mark』を参考に、
前半のお話を書いてみました。
第3話の最後に、
一昨日ときのうの第1話、第2話の、
僕と君の恋物語の最終形として、
ふたりが結婚してからの様子を書いてみました。
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
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参考にした曲は
CHAGE&ASKA
『On Your Mark』
作詞作曲 ASKA
編曲 澤近泰輔
(1994.8.3シングル発売)
☆収録アルバム
CHAGE&ASKA
『CODE NAME.2~SISTER MOON』
(1996.4.22発売)
YouTuber
【CHAGEandASKA Official Channel】
『HEART』Music Video
https://m.youtube.com/watch?v=r585WXniqqI&pp=sAQA
『On Your Mark』Music Video
https://m.youtube.com/watch?v=3Obh9kg6o_U&pp=sAQA
『On Your Mark』ライブ映像
https://m.youtube.com/watch?v=58o1gIKYx-s&pp=sAQA