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【超ショートショート】(186)~母さんの接待~

「ほらっ!BIG BOSSを見てごらんなさい!」

「そんなヤツ見て、どうするんだよ!」

「今話していたでしょ?試合で負けた時こそ、
楽しむんだって!(笑)」

「門限破る話でしょ!」

「そうよ!」

「だから何が言いたいの?母さんは」

「少しくらい友達に嫌なこと言われたって、
凹む必要はないんじゃないの?」

「別に凹んでなんかないよ!」

「いいえ!凹んでます!」

「うるさいよ!母さんは!」

「いいのいいの(笑)
うるさいのが母さんってものよ!
あんたの頑張りを母さんはちゃんと見てるのよ!
一度くらいうまくいかなかったからって、
いじわる言う友達がいかんのよ!
あんたは頑張ってる。」

「本当にうるさいな。」

「今度、その友達を連れてきなさい!
母さんが接待してあげるから(笑)」

「接待?中学生に接待って何?
母さんがどこかのお店のママになるんか?」

「ママじゃないのよ、それが・・・うふふ(笑)」

「ウワッ!気持ち悪ッ!」

「ちゃんと胸元が開いたドレスで
お出迎えしてあげるから連れてきなさいね!」

「真冬の肝だめしじゃないか!」

「それでもいいのよ!」

「何で?友達に笑われるだけだろう、俺が」

「それでもいいのよ!母さんが笑われて、
お前も笑われたら、いじわる言うことも
くだらんって思ってもらえるんじゃないかしら?」

「何で?」

「だって、お前にいじわる言ったって、
もれなく母さんが付いてくるわけだから。
うふふ(笑)」

「やめて~気持ち悪い(笑)」

「さぁ~そんなことより、
こんな時間なんだから、
早くご飯食べちゃいなさい!」

「は~い」

そんな母と息子の会話を、
父はテレビの前で一人晩酌しながら聞いていた。

「父さん!私あの子に変なこと言ってないわよね?」

「いいんじゃないか?母さんのやりたいようにしたら」

「もう~いつも人任せなんだから。
もう少し何か言ってくれてもいいのに。」

「すまん。すまん。
でも母さんだから、僕は安心して、
こうしてお酒が飲めるんですよ!
あなたが僕の息子を見守ってくれるから。」

「まぁ~(嬉)」

「僕はね、母さんと結婚できて、
本当に幸せです。」

「私も(笑)」

ふたりは、テレビの前で肩を抱き寄せ合った。

その様子を、
息子が見てるなんて、
計算ずくで、
いつもこうしてラブラブするのが、
この夫婦のルール。

小さい頃の息子なら、
父から母を奪いに来る子供だったのに、
中学生にもなると、
父にジェラシーが湧くものの、
父と母のふたりの幸せを思ったら、
早く自分が自立することがいいんだと、
親離れの覚悟を募らせたのである。

(制作日 2021.12.6(月))
※この物語はフィクションです。

今日のお話は、
先ほど放送されたバラエティー番組
『しゃべくり007』(日本テレビ)に、
日本ハムファイターズの監督
新庄剛志さんがゲストに登場。

特にファンということはありませんが、
監督就任までのお話を聞いていると、
自らに「引き寄せ」した結果が出たと感じました。

確かなことも何もないのにも関わらず、
「そうなるんだ!」という信念のもとに、
野球の勉強をしたりする行動力。

たとえその信念が叶わなくても、
思った信念をやり尽くすことで、
一定の経験や成果として受け入れようとする覚悟。

何よりも、
現役時代、試合に負けた時こそ、
楽しむことをしたというお話。

とてもふつうの人とは
違う感覚のように思えますが、
すべてが理にかなっていると感じました。

ルパン三世PART6の次元大介の
「ガンマンは生き方」という台詞の
リアルな姿を見ているようです。

どんなふうに自分の生き方にするのか?
人に何と言われようとも、
自分の生き方さえはっきりと持っていたら、
凹むことも楽しみに変えられるのかもしれません。

お話の設定は、
これも日本テレビのドラマ『サムライカアサン』を
参考にしました。
TOKIOの城島茂さんの昭和が漂う
昔のお節介な母親像が、
どんな時代にも必要なのではないかと、
ドラマ『相棒』では「暇か?」の台詞で有名な
角田課長の中西惇さんが登場した
お話を見て思いました。
お節介だからこそ、
人を応援できる人。

新庄さんや城島さんのお話から、
ASKAさんを思い出します。
ASKAさんも「引き寄せ」の人ですし、
自分もまわりも楽しませることが大好き。

昔話になりますが、
1994年の今日12月6日、
フジテレビの『歌謡祭'94』に
CHAGE&ASKAがゲスト出演。
この日はChageさんのMULTI MAXというバンドが
札幌でコンサートがあったため、
歌は事前収録、トークは、
札幌、東京、歌謡祭の会場と3元中継。
このトークでも、ASKAさんは楽しそうに、
Chageさんにボケることを求めて、
それはそれでテレビを見ている
ファンを楽しませていました。

凹むことには勇気も信念もいりませんが、
楽しむことには、
上記の方々のように信念を持ち、
意識することが大切に思います。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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