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【超ショートショート】(244)~白い月の向こう~☆CHAGE&ASKA『モーニング ムーン』☆

私はその日、
初めて午前五時、
初めて眠ったベッドで、
鼻先にキスされて、
瞳をさました。

昨夜の余韻は夢の中のように、
朝の冷たい空気が、
現実へと戻そうとする。

不馴れな寝室を出ると
リビングがあった。
窓の向こうのベランダで、
ひとりの黄昏たような姿で、
湯気ののぼるマグカップのコーヒーを飲んでいた。

私が、
どうしたらいいか・・・
声を書けるべきか、
自分でコーヒーを持って歩み寄るべきなのか。

もじもじしている私の気配がばれ、
もじもじを笑いながら、
コーヒーに砂糖とミルクを入れ、
ベランダへと運んでくれた。

コーヒー入りのマグカップを渡すと、
寝室からブランケットを持ち出し、
まだ肌寒い朝の空気から
二人を守るように包んでくれた。

こんなふたりだが、
恋でも愛でもない関係に、
昨夜の出来事から、
答えが必要なのかと、
それぞれが自問自答していた。

すっかり、
慌ただしい朝の景色になると、
ふたりはリビングへ戻り、
慣れた手付きで、
食パンをトースターへ入れる人。
それを微笑みながら、
まだブランケットにくるまる人。

朝のちょっとしたラブラブが
楽しくもあり、
これからのふたりはどうなるのかの不安を
隠すものでもあった。

そんな迷いの気持ちに、
すっかりトースターの火加減を忘れた人。

少し焦げた匂いが漂うと、
慌ててトースターから食パンを救出!

綺麗なまでに
黒塗りギャルになった食パンは、
ふたりの大切な想い出となる。

「こんなに上手に食パンを日に焼けさせるって
すごいテクニシャンじゃないん?!(笑)」

「ハッハッハ(笑)バカ言うじゃないよ(笑)」


俺はその日、
ほんの弾みで、
そうしてしまった。

恋でも愛でもない、
ただ大事な人ではある。

でも、
ただそれだけだった。

ふたりでいることは、
男女を越え仲間のようで、
楽しいものだが、
女として見るのは、
やっぱり少し違う気がする。

昨夜の君は、
ひとりで雨の中を泣きながら歩いていた。

俺が何があったかと尋ねても、
何も答えず、
泣いてばかり。

突然胸に、
泣いている女が飛び込んできたら、
男って・・・
俺でさえ・・・

何があったかは聞かないが、
昨夜のことは、
誰にも話さないでくれ。

まだ、
恋でも愛でもないのだから。


ふたりは、それから、
良き友として互を大切にした。


今日も午前五時、
ふたりはそれぞれの場所で、
朝の空に浮かぶ月を探した。

それが、
ふたりだけの
I Love Youだった。


(制作日 2022.2.6(日))
※この物語はフィクションです。

今日のお話は、
きのうが発売記念日でした
CHAGE&ASKA『モーニング ムーン』 (1986.2.5発売)

この曲の歌詞をあらためて、
冷静に読みますと、
複雑な男性の心境が歌われているようです。 


~~~~~~~
愛だとは呼べず 恋と決めず
ただ黄身を 想から大事に思った
~~~~~~~

「大事だけど、愛でも恋でもないの?
でも朝まで一緒だったんでしょう?
それてってどういう意味?」

そんなつぶやきが頭に浮かび、
この曲のコンサートでの楽しさが、
本当は違うのか?
なんて思ってしまいました。

歌詞をじっくり読んでいたつもりが、
先日の『恋人はワイン色』のように、
どこかで勘違いして、
歌のストーリーをインプットしていたようです。

こんな書き物をした、
ひとつの成果なのかもしれません。

それよりも
『モーニング ムーン』のふたりは
どんな状況なのか、
これからどうなるのか、
そんなことばかり気になり、
夜も寝れそうにありません。
午前五時のモーニングムーンを見るまでは(笑)

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

~~~~~~

参考にした曲
CHAGE&ASKA
『モーニング ムーン』
作詞作曲 ASKA 編曲 佐藤準
(1986.2.5発売 シングル)

YouTube
【CHAGE and ASKA Official Channel】
『モーニング ムーン』ライブ映像
https://m.youtube.com/watch?v=xSI_Iozr5DY



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