楽しさと切なさの二律背反(あんちろちー、解散に寄せて)
お気持ち表明ブログがつまらなく思えて
一切根拠のない、個人的実感ですが、一昔前に比べると、アイドルオタクと呼ばれるような人々が自分の好きなグループに対して、Twitterなどの短文投稿プラットフォームではなく、Noteやはてブロなどのブログサービス、もっと言えば数百~数千文字程度のある程度まとまった内容の文章を記録できる媒体にて発表することを目にする機会が増えました。それ自体はとても歓待すべきことというか、やはり様々な人の様々な考えが可視化されるというのはとても意義のあることだとは思うのですが、一方でちょっとあまりにも半径数メートル程度の射程で満足しているというか、あまり遠くまで届くような書き方や、構成をしていないように思えることが多々ありました。(もちろん、このような言及はいうなれば人の日記を勝手にみて文章を品評するようなある種の悪趣味に立脚していることに由来することは重々承知しています。)
そんな中で、私の「推し」と世間的にはカテゴライズされる(そもそも、推しについては個人的には対象となる事物を見たときに自分の心に浮かぶ表象を対象に引き付けた言い方で表現するという倒錯の表現でしかないと個人的には思うので、便宜上使用しますがあまり納得しておりません)朝比奈るのさんの所属しているグループ「あんちろちー」の解散ライブが先日、2022/10/07日に代官山UNITでありまして、メンバーに「ブログ書いてよ」と言われてしまいました。
上記の問題意識がある身としては、どうやって書くべきなのかをそこから2昼夜ほど悩みまして、暫定的な結論としては、事象としてのグループ活動は終わったもののコンテキストは終了後も紡げるし、何なら演者ですらできないオタクの特権であるということ(神は自己を解釈できない)、なのでこの文章によって彼女らをコロナ禍での文化空間にアンカリングすることを目的として筆を執ろうと思いました。
そもそも、あんちろちーとは
もうグーグールルについては過去記事参照の一言でよいと思いますが、そのグーグールル解散時のメンバーである瀬戸杏奈、遠藤遥、朝比奈るののメンバーが、もともとはクリスマスの余興的に再度グーグールルの楽曲を三人でやるというグループです(2021年夏ごろ新グループとして始動するはずが人材集めに難航してポシャったことによる余波で冬のライブに三人で出ることになったのかなと邪推しています)
ずっと新グループ開始までの暫定グループとして活動を行っていましたが、新グループプロジェクト凍結並びにあんちろちー活動終了に伴い、正式グループ化し、シングル「あんちろちー!」をリリースしました。
オリジナル楽曲はそのシングルの表題曲である「あんちろちー」のみで、それ以外はグーグールルの楽曲を演じていました。
余談ですが、あんちろちーのシングル、あんちろちー!のあんちろちーは、サビであんちろちーというワードを連呼するのが特徴的です。(マリリン・マンソンがマリリン・マンソンから脱退表明した時の文面のような味わいが出ます)
シビアな社会に対するアジールとして、あるいはダンスマカブルとしての
グーグールルとあんちろちーの一番の違いは、「アンバランスなまでの楽しさ一辺倒のステージング」にあったような気がします。
グーグールル時代は、「Picked」に代表されるような切なさを前面に出した楽曲をアクセント的に使用するのが特徴的でしたが、あんちろちーではちょくちょく「GOOD LUCK」を挟んでいたものの、基本的にはアップテンポな楽曲しかやっていなかった気がします。これは個人的な深読みなのですが、これは2020年ごろから続くCOVID-19の流行に伴う社会的な変化に対するバランス取り、カウンターパート的な在り方だったんじゃないかなと思います。グーグールルでは、「毎日パー↑ティー↑」というコンセプトがありましたが、もはやそのようなことを言っていられない状況で解散し、また見通しが見えない中新グループを待ち、それもうまくいかなかった中での、彼女らなりの(社会とか、現状とか、田中とか、田中とか、田中とかへの)賑やかな反抗だったんじゃないかなあと、ふと考えていました。
空が代わりに泣いてくれたので
で、最終日の感想をつらつらと書いておこうと思います。
まず、当日はめっちゃ強い雨で、排水溝周りに川ができている中で「Rain Rainじゃん」とか開場前にオタクと軽口叩いていたのを思い出しました。
しばらくして開場し、中に入ると普段の界隈から少しはみ出して色々なオタク・演者の人をお見掛けしまして、これはひとえにこの三人の人徳というか、業界関係者がこういったライブを見に来ること自体は珍しくもなんともないですが、そういったビジネスライクな関係というよりは「友達たちが集まりました」みたいな雰囲気がとても居心地よかったです。
ライブについては、ハッピーな空間という意味では一つの極点だったんじゃないかなと思います。全然湿っぽい感じにならず、全体的に笑顔で終わった印象です。映像も撮るには撮って居たっぽいので、思い出としてどっかに公開されてほしいなあと思います。
ざっと思い返せたのはここまでです。ちょっと後悔といいうか、当日までにメッセージを用意しようと思っていたのですが時間が間に合わなくて、手ぶらで参加してしまったのは痛かったなと思いましたので、ここに書いちゃおうと思います。恥ずかしいですが。
出し忘れた手紙を、おびただしい誤配とともに
瀬戸杏奈さんへ
まず、貴女はこれを最後に表舞台から退くということなので、今後の演者ではない人生のご多幸をお祈り申し上げます。
まじめな雰囲気の中に、湘南のバイブスが見え隠れするのが、逗子出身としてはとても落ち着く、そんな方でした。
ちゃんと個対個で接する機会が増えたのはそれこそコロナ禍以降のように思えますが、その中で個人的に調整係的な気質を感じました。(他二人が希薄ということかもしれませんが)
あんちろちーが仲良し三人組にとどまらず、グループとしてきゅっとしていたのは貴女のおかげなのかなと思います。
お疲れさまでした。
遠藤 遥さんへ
これからもソロ活動を続けられるとのことなので、今後のご活躍をお祈り申し上げます。
自分も内向的なので、接触に行って沈黙の時間が結構あった時に、なんて話を振ればいいのか互いにテンパっていたような気がします。でも、その温度感にはシンパシーを感じてました。
一転して、スイッチが入った時のエンタメ全振りの姿は、単純に面白かったし、またその中のアイデアには素直に感心することも多々ありました。(特に印象的なのがDJイベントの盛り上げ方ですね)
ステージに立つ限り、お会いする機会はあるでしょうから、その時はよろしくお願いします。
お疲れ様でした。
朝比奈 るのさんへ
ブログ何書こうかとかあれこれしていたらSAKA-SAMA加入のニュースを見ました。これからもよろしくお願いします。
もう、大体のことは言葉にしてしまったような気がしないでもないくらい、貴女とは人生のうちそれなりの時間を共有していると思います。
最近とみに思うのは、ステージの上の力もそうだけど、ソロ活動を通じてトータルのタレント力がついてきたんじゃないかな?と思います。特にトークとか、結構面白い切り口と切れ味を持ってきているのかななんておもいます。
今後のSAKA-SAMAも楽しみにしています。
オツカレサマでした。
筆のおき方が思い出せないまま。
「楽しさと切なさの二律背反」というタイトルは、自分の率直な感想をもとに名付けました。二律背反というのは、どちらも正しい、もしくはどちらも間違っていることが証明できてしまう矛盾のことを言っていますが…やっぱりネタバラシを自分で書いてしまうにはこの余白は狭すぎるので、やめておきます。
ともかく、グーグールルから含めて自分にとって最も長く見続けたグループの終わりに際して、自意識をチラ見せしつつ書いてみました。実際の執筆には2週間弱かけてシーケンシャルに進めていますので、今見直したところ前書きに書いていることを大体無視しているのがわかってしまい辛いです。でも、たまにはドリフトする筆の行く先を漫然と煽ってみてもいいじゃない。
一応それっぽく言い訳しておくと、記憶の記録が、いつかキラキラしたものとして、自分や、もしかしたらほかのだれかに立ち上がってくるように。もしくは全く知らなかった誰かが、これをきっかけに彼女らのグループへの想像を膨らませるきっかけになれればいいかなと思います。
あんちろちー、お疲れ様でした。
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