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齧歯類ファンの交流会「ネズミまみれ」

日本では古来より、ネズミは田畑を荒らし、収穫物を食べてしまう害獣として嫌われてきた。
さらには家屋をかじる、病原菌を有する、汚い、しっぽが気持悪いなどといった理由もあり、今でもあまり好まれないほうである。
齧歯類=ネズミと捉えて顔を顰める人もいる。
しかしネズミというのは実に愛らしい姿をしており、賢く、逞しい。
小さくても、弱くても、嫌われていても、光の当たらぬ世界の片隅で必死に生きる姿は健気である。
そんなネズミに共感したり、ネズミを愛でたりする人々も世の中にはいる。
そしてついに、ネズミ(齧歯類)好きが肩身の狭い思いをせずに済む、ネズミ(齧歯類)好きのための交流イベントが開かれた。
ネズミまみれ〜あつまれかいぬし2〜
一齧歯類好きとして参加した記録をここに残す。

会場へGo!

 会場の最寄り駅は赤羽。埼京線、湘南新宿ライン、京浜東北線、上野東京ラインのすべての電車が停まるデカい駅である。ここから徒歩で10分弱くらいのところにある「コトニア」という複合施設の中のカフェが今回の会場らしい。
 赤羽駅西口に出たら、駅とJRの線路を左手に見ながら稲付遊歩道をまっすぐ進んでいく。そして遊歩道が途切れたところで左へ曲がるだけというので道は単純……なんて言いつつも、私は”遊歩道が途切れたところ”を見誤り、間違った道へ入ってしまったため、到着が少し遅くなってしまった。ちなみに正解ルートに行くと、本当に左折してすぐ目の前に「コトニア」の建物が見えるので、それさえ知っていれば道を間違えてもすぐに間違いに気づくことができるだろう。

受付

 13時ギリギリにコトニアに到着すると、入り口に人が並んでいた。ギリギリ到着仲間が思いの外いたことに安心した(笑)。
 受付で名を名乗り、参加費を支払うと、名札と参加者に配られるお土産、参加目的チェックシートのセットをいただいた。
 この「お土産」は、各参加者が現在お世話しているペットに合わせたものになっている。私の場合はハムスターなので、ハムチャン用のラインナップというわけである。複数種飼っている人、例えばハムスターとデグーだと、ハム用とデグー用の2種類が入っているようだ。ただしファンシーラットの場合は、そもそもファンシーラット用のエサというものがないため、ラット用のフードが入っているわけではないらしい。そういえば、ペットショップに行ってもラットのエサというのは見たことがない。そのため、ラット飼いの人々はハム用など他の種のごはんを代用しているそうで、一つ勉強になった。

▲いただいた試供品(ハムチャン用のラインナップ)
▲参加者へ配られるクリエイターグッズとチラシ
▲参加目的チェックシート(右上の「座席」はあらかじめ書かれていたもの)

 参加目的チェックシートは、今日どんな理由で参加したか、この場でどんな話をしたいかというのを他の参加者に見せる(知らせる)、簡単な自己紹介ツールのようなもの。必ずしもこのシートに従ったテーマで話す必要はなく、チラッと見て「何を飼っているんですか?」「グッズあるなら見たい」といった具合に、話のきっかけを与えてくれる。
 各参加者に配られるこのシートにはどの席に着くかの指示があらかじめ書かれているため(画像右上)、自分だけ輪に加われずぼっちになるということがない。また、一つのテーブルにつき最大4人という小規模のグループ談話形式なので、同席者の視界から外れることもない。これなら内向的、消極的な人でも安心して参加できるのではなかろうか。

開幕 ~ごあいさつと講演~

 まずはイベント概要、本日の配布物に関する説明と紹介があり、その後すぐに今回のゲストであり協賛でもある、株式会社キョーリンの方のお話へと移った。
 PowerPointのスライドを利用したガチなプレゼンや講演ではなく、今回の試供品や商品に関するご紹介のほか、主催者によるインタビュー形式での簡単な談話といった感じだった。お話の内容はどこまで明かしてよいのかわからないため詳しくは書けないが、社の強みや商品開発の流れといった会社に関するお話から、担当の方の経歴やペット歴といった個人情報まで、限られた時間内でさまざまな情報を得ることができた。個人的には「ひかりハムハム」のパッケージデザインや、ひかりシリーズのネーミングがなかなかシュールでツボなので、あのセンスは誰のものなのか聞いてみたかったが、オフ会が始まるとすっかり忘れてしまい、聞きそびれてしまった。

▲「ひかりハムハム」パッケージ(裏面)。ぶら下がっている写真や、毛繕いの写真を反省ポーズに見立てて「ごめんハム」などと言わせるなど、セリフや写真の使い方がシュールである。
初めて「ひかりハムハム」を見たときには笑ってしまった。

オフ会という名のトークタイム

 さて、ここからは参加者同士の交流会である。1回20分という時間制限を設け、それを3回のローテーションで各自回っていく。各参加者の席(テーブル)は3回とも、あらかじめ決められているが、席を移動した先でまた同じ顔合わせにならないよう工夫がなされていた。
 3回とも違うメンバーになるため、1テーブル3人(自分を除いたメンバー数)×3回で9人の異なるメンバーと会話できる。特定の人とずっと喋りたいタイプには向かないが、せっかくいろいろな人たちが参加しているのだから偏りなく交流できるこの形式はありがたいと思う。
 私が最初に着いたテーブルはデグー飼いが一人、あとは皆ハム飼いという構成だった。次に着いたテーブルは、デグー飼い、ファンシーラット&ハム飼い、ハム飼いと少しばらけた。最後に着いたテーブルは、ファンシーラット飼い、チンチラ飼い、ハム&デグー&モモンガ等々総勢30匹以上の猛者という驚きの組み合わせになった。どのテーブルについてもハム飼いはいたので、全体的にハム飼いは人数が多かったようだ。

 飼っているペットが同じでも違っていても皆、齧歯類という大きな括りでは共通のファンなので、自分がよく知らない種のことでも話が弾む。ペットの写真を見れば「かわいい!」と盛り上がる。20分という1回の持ち時間はあっという間に過ぎてしまう。何を話したらいいんだろう、という心配はいつの間にか消し飛んでいるのである。
 20分×3回なので、当然すべての参加者と交流できるわけではない。そこで3回のローテーションのあと、完全フリーの交流タイムが用意されている。主催者から、どういう目的で参加したか、何のペットを飼っているかの質問がなされ、参加者はそれぞれ挙手で応じ、誰がどこで挙手したかを確認し合う。そして目的が合致するグループ、同じペットを飼っている仲間をなど探してワッと集まり、すぐにいくつかの小グループが自然発生した。フリータイムになると、どのグループが何の話題で話しているのかわからなくなってしまうため、「ここは何のグループですか?」と聞きながら回るとよいだろう。

 フリーの交流タイムが終了すると、いよいよイベントも終了である。約2時間半にわたるイベントはあっという間だった。皆話し足りないのか、終了後も話し続けているグループがあったり、揃って帰路に就くグループも見られた。もうすっかり「はじめまして」の空気はなくなっていた。

反省:名刺は必要か

 さて、ここからは個人的な反省点である。
 実は名刺を作って持っていこうかどうしようか、前日までずっと迷っていた。しかしどうしても作る気になれず、名刺は持参しなかったのだが、これは失敗だった。思いのほか「クリエイターのグッズを見たい」という人が多かったのだ。「作品見たいです」と言ってくださった人もいた。その期待に応えることができなかったのは本当に申し訳なかった。また「SNSアカウントを教えてほしい」という声をいただいても、相手の方に慌ただしくメモを取らせることになってしまい、これも申し訳なかった。
 1回20分という短めの交流タイムで、こういった時間のロスはもったいない。席移動ギリギリのタイミングでも、名刺があればすぐお渡ししてスムーズに移動できただろう。本格的なものでなくても、クリエイターでなくても、SNSアカウントを記載しただけの簡素なものでも、名刺はあったほうがよいと反省した。

 ちなみに、なぜ名刺を作る気になれなかったのかというと、私はこれといった肩書もスキルもなく、イベントにも出ないので大量に余ったら時間も資源もすべて無駄になってしまう。そう考えると作る気がなくなってしまう。それならば積極的にイベントに出ていけばよいのだが、イベントに出るには金がいる。出展するための作品や、作品を見せるためのツールも必要になり、そうして自宅の物理的スペースも圧迫されていく。あいにく、積極的にクリエイター活動できるだけのリソースが私にはない。宣伝できるほどグッズ類も充実していない。そんな無気力クリエイターが名刺を作ったところでもらう人がいるだろうか? そんなふうに考えてためらった。
 作品を紹介しづらいというのもあった。基本的に私は変なもの・変なことしかやらない。かわいいものは大多数の人が作ってくれているので、自分が作る必要はない。私は私にしかできない、強烈な個性を発揮できるようなものを作るぞという信念に基づき、ウンコぷりっと出しているハムチャンのトートバッグやら、ハムチャンに食い破られたダメージ風Tシャツやら、我ながら「誰が買うんだこんなもん」というものばかりを世に出している。そしてnoteの最新記事は男の証などという下品な記事である。ネットや自分のスペース等で好き勝手やっている分には気にしないのだが、オフ会だと相手をドン引きさせかねない。場をしらけさせてイベントをぶち壊しかねない。
 こういった迷いが思考や腕を鈍らせた。名刺を作ろう、自分を売り込んでみようと思っても作れなくなってしまった。

 先に述べたとおり、名刺(らしきもの)はあったほうがよい。しかし、配り切れず余ってしまうのは困るという葛藤はある。名刺を配る予定が他になく、余らせたくない場合は、白紙の名刺カードか何かを持っていき、その場でサッと名前やSNSアカウントを書いて渡すとよいのかもしれない。
 そしてもし名刺を作るなら、迷いが生じる前にさっさと作って準備しておくほうのよい。「よし、名刺を作ろう」と思い立ったそのときに即行動、気が萎える前に完成させておけば「作っちゃったから配ろう。配るしかない」という気にはなるだろう。優柔不断で行動できないタイプ、クリエイターなどの自分を売り込んでいきたいタイプは自ら退路を断って突き進む姿勢も大事である。 

今後の展望

「ネズミまみれ 2」はこれにて終了だが、早くも来年に別の齧歯類関連企画・イベントが予定されているらしい。デグー好きのためのイベントのほか、齧歯類関係の同人誌即売会の案もすでに浮上しているとのこと。そしてX上では、別主催だがファンシーラットのオフ会案も浮上していた。
 齧歯類界隈が熱い。齧歯類界隈は今、波に乗っている。今後も目が離せそうにないので、齧歯類ファンは引き続きSNS等で情報をチェックしていこう。

 最後に、名刺を持っていかなかったことを後悔した私は帰宅後、急いで名刺代わりのチラシを作ったので、それをここにも載せておこう。

▲帰宅後に急いで作った、名刺(代わりのチラシ)のようなもの。


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