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HD-2D版ドラクエ3、旅の記録と評価

かねてより期待の高かったHD-2D版ドラクエ3(ドラクエ3リメイク)。
しかしその期待に反して(あるいは期待があまりに高すぎたからか)
ネット上では批判も多く、評価が割れているようである。
その原因はわからなくもないが、なぜそんなに批判が集まったのか、
私も自分の旅の記録をもとに評価してみた。
※本記事はネタバレあり要注意(一部ドラクエ11のネタバレも含む)


1. 評価者について

1.1. ドラクエ歴

 プレイしたことのあるドラクエシリーズはDQ1~DQ9とDQ11(3DS版)のみで、派生作品はノータッチ。派生かどうか微妙だが、漫画『ダイの大冒険』は読んだことがあり、昔「アベル伝説」というアニメも見たことがある程度。実際に自力でクリアしたのはDQ1、DQ2以外すべてで、この2作品は人のプレイを見るほうが多かった。
 そんなわけで、DQ3(ファミコン=以下FC版)は私が自分でプレイして自力でクリアできた初のドラクエ・初のRPG作品である。スーパーファミコン(以下SFC)で出たリメイクもプレイ済みだが、FCとSFC以外はまったく知らない。
 DQ3は十分遊び尽くしたので今回のHD-2D版も買う気はなかったのだが、発売前情報を見て興味がわいてきたので買うことにした。
 好きなドラクエのシリーズは3・5・8・11。プレイスタイルとしては、AI操作を使わない派(自分で考えて意思決定したい)。攻略情報も見ない派(クリア後に答え合わせで使う程度)。のんびり寄り道しながら進める派

1.2. ゲーム歴とゲーマーレベル

 ゲーム歴自体は長いが、プレイしたことのあるゲーム本数自体は多くないライト~ミドルくらいのユーザーである。1年間にやるゲームは多くても2~3本程度で、ゲーム事情に詳しいわけでもない。現在の所持ハードはSwitchと3DSのみなので、PSやSteamの作品には触れていない。
 不器用なのでアクション、シューティング、格ゲーは苦手(FF6のマッシュも使えなかった)。頭も悪いのでシミュレーション系も苦手。マリオやモンハンはできるが、下手(ティガレックス恐怖症)。昔からRPGしかまともにできなかったが、それでも上手いほうではないと思う
 やったことのあるRPGはFF3~9、聖剣伝説2・3(SFC)、ロマンシング サガ1~3(SFC)、サガフロンティア(PS)、ロマンシング サガ ミンストレルソング(PS2)、サガ エメラルドビヨンド、ヴァルキリープロファイル(PS)1・2、スターオーシャン2・3(SO2はSwitch版も済)、オクトパストラベラー1・2、女神転生1・2(FC版は少しだけ、SFC版はクリア済)、真・女神転生4・4F、ペルソナ1・2罪(PS)……と現スクエニのタイトルに偏っている。テイルズシリーズはファンタジア(PS)のチュートリアル戦闘で挫折した。

2. 旅の記録

 評価にあたって、どういう旅(行動)をしたかは重要なので(メンバー編成や攻略ルートによって難易度が変わるため)、まずは旅の記録をざっと記していく。ハードはSwitchで、難度設定は標準レベルの「バッチリ冒険」

2.1. パーティー編成は、あの作品から

 DQ3といえば、パーティーを好きなように設定・編成できるのが魅力の一つである。旧作をプレイ済みの私は、ド定番の戦士(or武闘家)・僧侶・魔法使いという編成はもう飽きたので、今までメインに入れたことのない商人、新職業のまもの使い、探索用の盗賊で始めることに決めていた

▲どこかで見たことのあるような名前だけど何か違う。

 パーティーはDQ11で登場した先代勇者一行(ローシュ、セニカ、ネルセン、ウラノス)をモデルにした。きっと同じ考えのプレイヤーはいるので、私はお肉の部位名と合体させておいた。
 先代勇者一行をもじっているので当然、性格もなるべく本人たちに寄せて、最終的な職業は以下にするプランである。

●盗賊ネルモン->戦士
 戦士はすばやさが低いので、盗賊スタートですばやさ底上げを図る。
 性格:ねっけつ(むっつりスケベにしたかったが全然出なかった)。
●まもの使いセリカ->賢者
 まもの使いは攻守両面でサポートできそうな印象なのと消去法で。
 性格:がんばりや(一発でイメージに合う性格になった)。
●商人ハラノス->魔法使い
 商人の顔がウラノスに似ていた(近かった)から。
 性格:ぬけめがない(ウラノスらしい性格がなかったので妥協)

 肝心の勇者は、最初の心理テストで私がローシュになりきらず素の回答をしてしまったため性格が「ずのうめいせき」になってしまった。とてもローシュらしくないので、「やさしくなれる本」をゲットした段階で「やさしいひと」に矯正した。

 このパーティーは高火力アタッカーや魔法職がいないため、アイテムや装備に金を惜しまず、しっかり整えないと苦労すると思っていた。しかし初期段階でちいさなメダルの景品(有用な装備品)を入手でき、フィールドでも誰かの遺品と思しきアイテム(強い装備品もある)をたくさん拾えるので、予想に反して戦闘は楽だった
 またDQ11同様にレベルアップで全回復する親切設計のため、イシス周辺まではさほど苦戦せず、調子にのってカンダタ討伐前にアッサラームまで行ってギリギリの緊張を楽しんだ(それでも犠牲者0に抑えられた)。

2.2. イシス以降、徐々に敵の強さを感じ始める

 ところがイシス辺りから敵が強くなる。魔法職がいないこのパーティーではカニにダメージが入らないだけでもきついのに、2回行動の敵が続々出てくる。状態異常攻撃や痛恨の確率も高く、HPもMPもゴリゴリ削られる。ひとくいばこには「まものよび」を連発しないとほとんどダメージが与えられない。旧作ではLV14前後が標準LVだと思ったが、ピラミッド攻略時にはLV16~18まで上がってしまい、それでも手ごたえを感じた。
 状態異常攻撃や痛恨の一撃をやってくる敵は、そのヒット率が旧作よりかなり上がっているように思う。さつじんきなんかは出てきた3体が3連続で痛恨の一撃を出してきた(ランシールの試練を利用して各メンバーの一人修行をしていたらこれで全滅した)。痛恨一発で80前後のダメージを受けるので、ランシールの試練に至っては最大HPが240以上ないと安心できない。
 そしてどの敵もHPは旧作以上なうえ、思いがけないところで敵が現れることもあり、旧作と同じ感覚で進めていると罠にはまる。ただ、そんな思いがけない罠は一部を除いて個人的には楽しめた。

2.3. 調子に乗りすぎて自爆した中盤

 ダーマ到着時で商人と盗賊のLVは20に到達していたが、どんな特技が追加されたのか気になったので、まだ転職はしなかった。とはいえ、そろそろ魔法職は欲しいので、まずは街づくりイベントをサッと終わらせて商人を魔法使いに転職させるべくバークへ向かった。「イベント終了後に戻ってくるし、たまには初期からいる商人を預けてみるか」と調子に乗った私は後悔した。
 旧作では街を出入りするだけですぐ発展していったと思ったが、今作ではそんなズルは許されない。加えて海の敵も強く、魔法職も高火力アタッカーもいない編成ではマリンスライムにダメージが通らず苦戦する。商人の「石つぶて」がありがたかったのに、その商人がおらず、一向に戻る気配がない。3人パーティーで続けるのもつらいので、急ぎ新メンバーを加えた。

2.4. 新メンバーの加入と育成

 ウラノスもどきの商人の穴埋めとして、この方にご登場いただいた。

▲邪神(?)から授かった強大な力を発揮してくれることを願って。

 ぬいぐるみを着ているが、中身は遊び人である。スクショ取り忘れのため画像はだいぶ進んだあと(やまたのおろちに挑むあたり)のものだが、遊び人投入時はLV24前後の盗賊、勇者、まもの使い、LV1の遊び人という構成で、海上探索をしながら新入りを育成することにした。
 しかし難度の上がる中盤から遊び人を投入することによって、難度はさらに上がってしまった。戦力として使い物にならないうえに、まともな装備がないので落ちやすく、実質3人パーティーなのである。
 ただ今作の遊び人には「ツッコミ」(一人の眠り・麻痺・混乱を治す)という優秀な技がある。DQ3の混乱はおふざけ行動がなく普通にパーティーを破壊しにくるので、混乱を治す技はありがたい。AI操作にしていると、仲間が混乱したときにはすぐツッコミを入れてくれるのが救いである(遊び人だけはどうせ命令無視するのでAIにしていた)。
 今作には呪文封じを治す「マホリー」という呪文が追加されているが、DQ11にあった混乱を治す呪文がない。またFC版では味方を殴って混乱を戻すこともできたが、今作ではそれができないため、混乱治療手段をもつ遊び人の価値は上がっているように思う(アイテムでも治せるが、ツッコミなら持ち物欄を圧迫しない)。

2.5. 思いがけない罠、そして転職へ

 探索しつつストーリーも進めようと思い、レッドオーブを取ったあとはグリーンオーブを取りに向かった。今作では思いがけない罠をそれなりに楽しめていると書いたが、ここで例外に遭遇する。
 グリーンオーブのあるテドンでは、滅亡の町らしく悪しき亡霊たちがいきなり襲ってくるのだが、HP多い、硬い、数も多い(いきなり6体出る)のに、グループが分かれていてまとめて倒しにくい。しかもこちらには遊び人というハンデまであり、回復もしていなかった。当然、全滅した。「やまたのおろちは強いから、先にグリーンオーブを回収しよう」と思ったら、これである。

 遊び人を入れている場合ではないが、遊び人を転職させるまではまだ遠かった。そこで今度はこの方にご登場いただいた。

▲こうしてハラノスは善と悪(?)に分かれていなくなってしまった。

 これも初期職のスクショを取り忘れてしまったので画像はだいぶ先のものだが、魔法職が欲しかったので「よげんしゃ」という名の魔法使いを投入した(魔法使いLV20になった時点でまもの使いに転職したので、画像は転職後のもの)。
 遊び人じゃないから今度は勝てるかと思ったら、なんと亡霊軍団、1体倒してもすぐに仲間を呼ぶ。それも一度や二度どころではなく、そろそろ終わるだろうと思っても一向にやめない。敵が増え続ける。ベホマラーもザオリクもないこの段階で、全体攻撃を連発してくるうえにザキまで使ってくる。
 今までのドラクエなら、仲間を呼ぶにしても限度というか、多少の加減があったように思うが、今作にはそれが一切ない。ハイペースで仲間を増やしていきながら全体攻撃も連発してくるので、こちらは攻撃も回復も追いつかない。ムカつきながらもどうにか倒したが、生き残ったのは勇者とまもの使いだけだった。ゲームの難度を上げるにしても、これにはちょっとドラクエらしくない違和感(意地悪さ)があった

 テドンで懲りたのでここで転職をし、パーティーを強化した。
 盗賊ネルモンはまず僧侶に転職させて回復と補助の呪文を覚えさせた。グレイグでさえベホイミだのスクルトだの使えたんだから、ネルセンも多少は使えるだろうという想定で、ザオラルを覚えた時点で戦士へ。このおかげで後半はかなり救われた。
 まもの使いセリカについては、私が武闘家をあまり使ったことがないこと、今作の武闘家がどんなものかも知りたいということで、いったんイメージ無視で武闘家にしてみた。が、武闘家を使ってみても特に面白味はなく、このあと転職する賢者はLVが上がりづらいので、武闘家LV20になった時点で早々に賢者へ転職した。
 転職したことでまもの使いがいなくなってしまったので、魔法使いだった預言者をまもの使いに転職させた(それが上の画像)。まもの使いがモンスター集めでどのような特技を覚えるのか、LV25以降どんな技を覚えるのかなどの検証要員である。

 転職で強くなったので4人目を遊び人に戻し、一気に残りのオーブ集めと各地の探索を進めた。
 やまたのおろちやボストロールは、旧作で知っていることもあってそれほど苦戦しなかった。ランシールの試練には思いがけない敵が出てきたが、転職のためのLV上げの際にランシールの試練にはHP240以上必要だと事前学習していたこと(2.2.参照)、私がいつも賢者で試練に行くスタイル(賢者はLV上がりづらいのでここで稼ぐ)という点が功を奏し、苦戦せず倒せた。

2.6. ネクロゴンドへ

 サマンオサをクリアすると商人が逮捕された。町民は「やりすぎだ!」などと言っていたが、その辺りを補足するエピソードの追加はなかった。ぼったくりバーだけで察しろということなのだろう。商人はプレイヤーが用意しなければならないキャラでなので、あまり悪事を詳細に描写するとプレイヤーを落胆させかねないから、こうするしかないのかもしれない。

▲連行されるハラノス容疑者(罪状不明)。

 遊び人を転職させずにネクロゴンドまで連れてきたが、遊び人の装備の貧弱さとおふざけ行動でかなりきつくなった。
 ザラキ連発のシルエト(旧名ホロゴースト)と、2回行動&麻痺攻撃のじごくのきしが出ると最悪である。麻痺に強いという「まんげつのリング」を装備していても、何度も麻痺になる。即死は「命の石」で確実に防げるが、すぐに壊れる。
 今作の大きな問題だが、状態異常の耐性装備がほとんど機能しない。耐性装備をつけていない遊び人は全然麻痺にならず、命の石なしでもザラキで落ちないのに、耐性装備のある主力3人ばかりが麻痺になる。「麻痺に強い」とは何なのか、ただの詐欺アイテムである。あまりに効かないので途中で外したが、やはり体感的に差はなかった。

 ネクロゴンドの洞窟を抜けてシルバーオーブをゲットしたあと、ようやくイエローオーブをゲットし、商人が戻ってきた。離脱期間が思いのほか長かったため、遊び人がかなり成長した。

▲最後のオーブをゲットしたときにはこんなLVに。

 商人を魔法使いに転職させ、ランシールの一人修行でLVを上げてからバラモス戦へ。バラモスも旧作で攻略法を知っていたし、転職による強化と、寄り道によるLVアップでさほど苦戦しなかった。氷系が弱点なようで、魔法使いハラノスのヒャダインが活躍した。バラモス戦はなんとなく先代勇者一行らしい戦いができたように思う。

2.7. アレフガルド突入

 バラモスを倒したあと、竜の女王の城が明かされる。今作ではこのような雲に覆われて、バラモス討伐前には行けなかった。

▲夢で示唆される竜の女王の城(次に行くべき場所を示してくれる親切設計)。

 竜の女王の城へ行くと見知らぬ集団がいた(旧作ではいなかったような気がするが、はっきり覚えていない)。

▲「聖なる竜」なんて聞くとDQ11との繋がりを感じずにはいられない。

 この神官なかなか気になる台詞を言ってくれるので、DQ11との繋がりやDQ1・2への進展など、またファンの間で考察が盛り上がりそうである。

 竜の女王から光の玉をもらってアレフガルドへ到着したが、LV38前後なのに敵が強い。敵のHPが多いことに加えて厄介なのが、状態異常攻撃と複数回行動の敵が多いことである。
 前述のとおり今作の状態異常耐性装備は詐欺アイテムなので、クラーゴンのらせん打ちで混乱耐性装備者3人が一気に混乱してパーティーが壊滅するし、まおうのかげは眠りとザラキ連発してきて身動き取れなくしてくるしで実にひどい。この理不尽さはFC版以上ではないか(FC版の敵は1ターンに4回も5回もラリホーやザラキをやってこなかったはず)。LV38でもトヘロスが効かなかったので、こちらのLVが高すぎるというわけではないようだ。
 強化したパーティーでもアレフガルドの探索は戦闘が大変だった。そこで勇者にほしふるうでわを装備させ、最速ギガデインで片づけることにした(以後は最速ギガデインと賢者の呪文orまものよびをメインに進めていった)。

 アレフガルドでも追加エピソードが豊富で、特に驚いたのは王者の剣の入手方法が変わっていたことである。

▲これもDQ11との繋がりを感じ、ワクワクした。
▲アイツにも見せ場があった。

2.8. 最終決戦~エンディング

 ラストダンジョンの敵がまた厄介で、行動が速いうえに最上位呪文やブレスを多用してくるので、LV45前後でも注意しないとパーティーが壊滅する。まものよび大活躍だった。
 まものよびはモンスター集めをしまくっていたからか、100以上のダメージ×4を与えてくれるのに消費MPが9とコスパ優秀。いろいろと物議を醸しているが、最後の3連戦で出てくるボス敵はHPが多いので、あるとだいぶ楽である。
 ラスボス前の3連戦はキングヒドラが一番苦労した。こちらを眠らせてくるうえに、呪文を使えなくさせてくるからである。状態異常耐性装備が機能すればまものよびを封じてもよかったが、眠りがあまりに鬱陶しいので縛らずさっさと倒すことにした。むしろ、状態異常をやってこないラスボス戦のほうが楽だった(当然、闇の衣を剥がした状態だが)。

▲ラスボス撃破時の編成。

 エンディングは見せ方が変わっていておもしろかったが、音楽に関しては少々惜しかった。曲そのものはすばらしいのだが、いかんせん昨今のゲームは非常に多くの人が開発に携わっているため、スタッフロールが映画のエンドロールなみに長い。そのため、オリジナルのエンディングテーマだと曲が先に終わってしまうのである。苦肉の策で「そして伝説へ」のあとに「おおぞらをとぶ」を追加したのだろうと思われるが、曲そのものがよくても「ああ、終わったんだなぁ~」という感動が少し薄れてしまう。もしすぎやま先生がご健在だったら、長いスタッフロールの尺に合わせたアレンジをしてくださったのでは、と思った。
 DQ11の真エンディングは「そして伝説へ」の曲のクライマックスにあの再会シーンが重なることで、より強い感動を得られた。映像が「そして伝説へ」という曲名を語っているようでさえあった(そのあとに続くシーンは無音だからこそ感動を邪魔せず余韻があった)。映像と音が合致することによる相乗効果は大きい。
 とはいえ、オリジナルにはなかったEDの追加シーンには「なるほど、そうきたか!」と唸ったので、DQ1・2もまた楽しみである。

2.9. エンドコンテンツへ

 クリア後はSFC版から追加された、しんりゅうとの戦いに挑む。今作ではED後に裏ダンジョンへのご案内が出る親切設計なのだが、行ってみると雑魚敵がえげつない
 クリアしてすぐのLV45前後で行ってみると、雑魚敵に物理攻撃のダメージがほとんど通らない。敵の2回行動は当たり前で、カニの群れはラリホーとザラキを連発してくるので命の石がすぐになくなってしまう。物理ダメージが通らないので呪文攻撃主体で落とすしかないのだが、裏ダンジョンの敵は魔法職の定位置だろう後列を執拗に狙ってくる。敵の行動も早く、状態異常攻撃を連発してくる敵が多い。眠りや麻痺にさせられると何もできないままピンチになるのに、状態異常耐性装備が防いでくれないのでどうにもならない。お供を連れたキングヒドラ(眠らせ、3回行動、呪文封じ、自動回復あり、全体ブレス)、メタルキメラ(2回行動、眠らせ、全体ブレス、行動早い、物理ダメージ通らない)やデーモンソード(2回行動、麻痺攻撃、自動回復あり、全体ブレス、物理ダメージ通らない)の群れが出てくると、まず状態異常で壊滅させられる。スリルというよりストレスのほうが大きい

 そこで、しんりゅうに挑む前にメンバーの強化を行った。賢者セリカをいったんまもの使いに戻し、未収得だった特典技のビーストモード、精神統一、黒い霧を覚えてから再び賢者へ。また、遊び人だったハチノーガは遊び人を極めたので賢者にし、魔法使いハラノスの代わりにパーティイン。前列二人は変更なしで先へ進んだ。
 そして迎えたしんりゅう戦だが、こいつもまた物理ダメージが通らない(バイキルトをかけた戦士のつるぎのまいでダメージが1)。賢者の石を戦士に持たせておいてよかった。
 ここまでの雑魚戦同様、戦士と勇者はそれぞれ魔法効果のある武器を使うか、回復・補助(勇者は余力あるときはギガデイン)。賢者勢がアタッカーで、まものよびとメラゾーマ。LV50前後で挑んだが39ターンもかかってしまい、これでは倒したことにはならんと言われてしまった。
 39ターンもかかったのはしかたないにしても、LV49の戦士のバイキルト入り物理攻撃がルカニなしとはいえ1というのは硬すぎないか。しかも今作、敵が硬いくせにルカニ・ルカナンの効きがあまりよくない。確率の悪いルカニで無駄にターンを費やすぐらいなら魔法効果のある杖や剣を振っていたほうがマシなので、私は今作ほとんどルカニ・ルカナンは使わなかった。

▲リメイク版・VSしんりゅう第1戦、これで39ターンもかかった。

 裏ダンジョン攻略には、まものよびが欠かせない(ない場合はLVを上げまくるしかない)。魔法を使っても耐性ある敵がいたり、消費MPが多くてガス欠するので、結局まものよびが最もコスパいいという始末。物理ダメージ通らない、状態異常で攻撃できない(その間に自動回復する敵もいて面倒)、せっかくダメージを与えてもベホマや瞑想で大幅回復されるなど戦闘が無駄に長引き、MP消費も激しい。強力な呪文を連発しているとすぐにMPが尽きるので、消費MP9でイオナズンくらいのダメージを与えられるまものよび一択になってしまう。あとで読んだファミ通記事の開発者インタビューによると「まものよびはご褒美」らしいが、それにしてもやりすぎである。

 しんりゅうに修行しなおせと言われてLV上げをしていたら、キングヒドラ3体というとんでもない組み合わせが出てきた。最大3回行動なので、1ターンに最大9回もの攻撃を受けることになるうえ、HPが数千はあると思われるので1体落とすのにも一苦労、おまけにこちらを眠らせ、呪文を封じてボコってくる。一応ラリホーやらせん打ちは効くが、成功率は高くなく、敵は寝てもすぐに起きる。幸い、終盤のLV上げ作業時は面倒くさくなって難度を「楽ちん」にしていたので全滅はしなかったが、難度「楽ちん」にするかメンバーを強化しまくっていない限り、こんなのとどうやって戦えというのか。
 裏ダンジョンは非常にストレスフルで、難敵攻略を楽しむのではなく、ただ無駄に戦闘が長引くだけの苦行と運ゲーとしか思えない。面倒くさすぎて「こいつ強いな。どうやって倒そうかな」という気にならないのである。

▲SFC版ではこんな組み合わせはなかった気がするが……。

 こうしてメンバーを再強化し、しんりゅうリベンジマッチへ。戦士を武闘家にし、武闘家を極めたところで再び戦士へ。転職によるステータスの底上げで攻撃力が増し、バイキルトをかけたつるぎのまいでトータル300超えダメージを出せるようにはなった。
 まものよびをもつ預言者を勇者の代わりに入れようか迷ったが、そうすると皮肉にもローシュのいない世界線を辿るようで虚しい。時渡り(メンバーの育成し直し)も必須である。時渡りしても大量の経験値をもらえはしないので面倒くさい。それに何より、まものよびにばかり依存したくなかったので、まずは勇者inで再戦。どうにか22ターンで勝てた(しんりゅう戦では難度をバッチリに戻してある)。

▲リベンジマッチの編成とつよさ。あいにく魔法使いハラノスは入れられなかった。

 しんりゅうを倒し、まずはオルテガ復活を願ってみると、ボイス入りで帰還の場面が流れた。

▲おまけイベントにもアレンジが。

 エンディングも変化したりしないだろうか、と思ってもう一度ゾーマを倒してみたが、あいにくオルテガが復活した状態でクリアしてもエンディングには変化がなかった。

 しんりゅうを25ターン以内で倒すところまではクリアできたが、15ターン以内で倒すにはパーティー編成・育成をやり直すか「楽ちん」にでも変えないと難しそうな気がした。考えただけで面倒になったので、ここでいったんストップした。
 2~3人にまものよびを覚えさせれば15ターンはクリアできるだろうが、そんな無個性なパーティーは組みたくない。パーティーの個性にこだわるならもっとLVを上げ続けるしかないが、面倒くさいし疲れた。SFC版だと多少パーティーにこだわりをもってプレイしてもなんとかなったと思うが、今作では厳しそうである。

▲DQ11との繋がりを感じずにはいられない装備だが、効果がしょぼくてガッカリ。

 しんりゅうを討伐したところで”答え合わせ”をしたところ、今作にはさらに追加ダンジョンがあることを知ってしまった。レビューするならそこまでやってからすべきだとは思うが、本記事はそこまで到達できなかった者の感想として、ひとまずここまでで評価する。

3. レビュー

 以上の旅の記録をふまえ、操作性、グラフィック、音楽、ストーリー、キャラクター、システムの各項目ごとに見ていく。

3.1. 操作性 ★★☆☆☆

 改善の余地ありである(特にコマンド)。
 旅立ちの際、最初から酒場にいるメンバーの装備を剥いで資金調達しようとしたのだが、装備の外し方がわからなかった。「そうび」コマンドの中に「はずす」がなかったからである。そのときは装備中に装備しているアイテムを選択することで外せると気づいたが、あとになって「どうぐ」コマンドの中に「はずす」があることに気づいた。このコマンド配置はわかりづらい。
 メンバーの能力値を見るための「つよさ」が「さくせん」コマンドの下に埋もれているのも不便である。「つよさ」の代わりに「おもいで」コマンドがトップにあるのだが、使用頻度からいって「つよさ」をトップに置くべきではないか。「おもいで」こそ「さくせん」のサブメニューでいいし、なんなら勇者専用特技の「おもいだす」でもかまわない。

 カーソル記憶のON/OFF設定も欲しかった。「とうぞくのはな」を使おうとしたのに、その直前に選択した「しのびあし」が記憶されていて、無駄にMPを消費したこと数知れず。カーソル記憶をOFFにしたかったが見つからなかった。

 ネットのレビューを見ると移動速度の遅さが批判されているが、個人的にはフィールドの移動速度に関しては気にならない。しかし多くの人が批判するラーミアに関しては、あの速度ならばせめて自動飛行(キーを押さなくても飛び続ける機能)が欲しかった

 操作性に関しては、悪い意味でオリジナルに寄せているのが残念である。

3.2. グラフィック ★★★★☆

 私は2DドットのFCやSFCを経験したプレイヤーなので、今作をプレイしてまず世界の美しさと広さに感動と驚きを覚えた
 ドットで描かれたマップは、場所によっては数マスですぐ目的地に辿り着けるが、3Dグラフィックでリアルに再現されたマップは目的地までが遠い。山や森といった地形、土地の高低までも感じられ、冒険しているという感覚がある。「世界はこんなに広かったんだな」と感じる。
 キャラクターはドット絵だが、表情が豊かで動きにも細やかさが感じられた。

▲オリビア岬のイベントも船が追い返される様子などリアルでよかった。
▲虹の橋もこんなに大きく美しいものだと感じられる。
▲ドット絵でも心情がはっきり描けている。

 操作性の項目で移動速度の遅さについてふれたが、それによって世界の広さを感じられる一面もある。私がフィールドの移動速度を気にしなかったのは、この冒険している感じを味わえたことが大きい

 ただ戦闘時はコマンド選択時にキャラの背面が映るだけで、こちらのキャラの行動が攻撃エフェクトでしか見えないのは少々寂しい。キャラを動かすのが大変だったのかもしれないが、これはオリジナルに寄せなくてもよかったのではないかと思う。
 ネット上には字が小さいという感想もあったが、私は気にならなかった。フォントも読みやすい書体(たぶんUD書体)で読みやすい。

3.3. 音楽とサウンド ★★★★★

 音関係に関してはまったく不満はない。オーケストラ演奏の音楽はすばらしい。エンディングの尺不足だけは残念だが、どうしようもないし、減点するほどではないので、この項目には満点をつけたい。

3.4. ストーリー ★★★★☆

 ストーリーも特に不満はない。旧作ではほぼ語られていなかった父親の足跡と家族関連のエピソードが豊富に追加され、声ありのイベントシーンで再生されるため、感動を覚えたプレイヤーも多いだろう。
 旧作では特に苦労なくお宝が手に入る場面にボス敵が出たこともドラマ性を上げているし、既プレイ勢にも新鮮な感情を与えてくれているオリジナルの設定や話が改悪されるようなこともなく、DQ11との繋がりを感じられる要素も垣間見え、ファンを楽しませようとしてくれている。DQ1・2へどう展開していくのかも楽しみである。ただ今作が初ドラクエの人にとっては、元が古い作品ということもあり、少し物足りなく感じてしまうかもしれない。
 一つ欲を言えば、エンドコンテンツをクリアしたか否かでエンディングに変化がある等の工夫があるとよかった。

3.5. キャラクター ★★★☆☆

 キャラクターデザインに関しては基本的にはSFC版準拠で悪くはない(私はFC版のデザインのほうが好きだが)。女戦士のポリコレ配慮衣装に関してはダサいと思うが、ゲームをやるうえではドット絵でほとんどダサさがわからないので許容範囲ではある(ポリコレ配慮・介入そのものは許容できないが)。

 性能面では、前半に活躍するが後半はいまいちなタイプ、前半は冴えないが中盤で光るタイプ、成長の早さなど、トータルで見るとキャラ(職業)性能のバランスは一応考えられているように思う。しかし肝心の勇者に関してはなんとも評価しがたく、後半の雑魚散らしでは活躍するが、ボス戦になるとパッとしない。私は主人公が強すぎるのは好まないが、それでも今作の勇者は凡庸すぎてもったいない。
 仲間は転職によってぐんぐん強化できるが、勇者は転職ができない。その分、後半の勇者は非常に能力値の伸びがよく、装備品も充実しているのだが、裏ダンジョンに行くとそれをもってしても頼りなく感じてしまう。最終奥義のギガスラッシュの性能がギガデインと大差ないのも印象が悪い。勇者の特技・呪文はもう少し増やすか、構成を見直すべきだったと思う

 今作では仲間キャラの見た目のみならず声もあてられ、キャラメイキングの試み自体はよかった。だが、声に関しては不満がある。
 男声は熱血少年系、ヘタレ系、真面目系、オッサン声、ギャグ系と実に幅広く楽しいのだが、女声はどれも女児向けアニメや美少女ゲームにでも出てきそうなキンキンアニメ声といった感じで大差ない。落ち着いた声が欲しくて「せいそ」を選んでみたら、どこが清楚? というアニメ声でがっかりした。「おいろけ」に至っては「ナメてんのかお前」と言いたくなるくらいイラつく(ギャグ枠として許容はするが)。
 先代一行をモデルにした私は、できるだけセニカに近い声を選びたかったのだが、それがない。唯一「サバサバ」はキンキンアニメ声とまではいかなかったが、セニカらしくはない。同じ声優を用意しろとまでは言わないが、もう少し落ち着いた声や低音の控えめな声くらいは欲しかった。結局セリカには「うるわし」をあてたが、高音でうるさく感じた。
 ボイスが気に入らなければボイスオフにすればよいのだが、受け容れ難いのは女声のみでそれ以外に不満はない。声のせいで女キャラをあまり使いたくないと思ったほどだった(だから預言者にはオッサン声をあてた)。
 個人的にはボイスはなくてもかまわないのだが、声優の演技によって物語にリアリティが増し、より感情移入しやすくなるのも事実なので「なくせ」とまでは言わない。ただ配役や演技に関しては、流行りや売れ線や好みではなく、それをあてる映像や人物像などに合うかという点を重視して選出・演技指導をしてほしい。女声は全体的に幼稚で、DQ3のキャラクターデザインにあまり合っていないと思う

3.6. システム ★★☆☆☆

 改善の余地ありである。各種システムも戦闘バランスもオリジナルを重視しているようには思うが、調整が合っていない。

 まずゲームの難度設定だが、低難度の「楽ちん」、標準レベルの「バッチリ冒険」、高難度の「いばらの道」、この差が極端で「楽ちん」の在り方はいかがなものかと思う。
「楽ちん」だと絶対に死なない(全滅しない)ので誰でもクリアはできるのだが、絶対に死なない=回復・補助不要でもあるので、ヒーラー職は不要になるし、冒険している感覚もなくなってしまう。さすがにやりすぎである。せめて敵の能力値ダウンや状態異常付加・痛恨率の低下、雑魚敵の行動回数制限くらいに留めればよかったのではなかろうか。
「バッチリ」はたしかに標準ではあるが、後半~エンドコンテンツに入るとやや理不尽さが出てくる。「いばらの道」は試していないが、敵がさらに強くなるうえに獲得経験値が減るというので、試す気にもなれなかった。
 正直「バッチリ」以外を選んでもゲームを楽しめるかどうか疑わしい。「楽ちん」はLV上げ作業のための設定かと思うが、それならLVアップに必要な経験値を減らしたほうがよい。

 戦闘に関してはかなり問題が目立つので、細かくまとめていく。

【旧作の悪い面まで寄せてしまった戦闘】
 戦闘バランスは敵の行動回数や痛恨の一撃・状態異常付加率の高さなどで難度を上げている印象である。特技の追加でプレイヤーが強くなった分、そうして敵を強化すること自体はかまわないのだが、状態異常耐性装備がほとんど効かないせいでそれを防ぐ手立てがなく、ただの運ゲーになっているのは令和時代のゲームとしてはどうかと思う
 状態異常回避は、体感としては運のよさの値とLV(状態異常攻撃をしてくる敵とのLV差)でちょっと差があるか? というくらいで、装備品による効果はほとんど感じらない。耐性装備のないFC版でならまだ納得できるが、耐性装備ありでこの有り様なのはイライラする
 しかもハードモードではなくこれが標準レベルなので、FC時代の理不尽ゲーを思い出す。そういう意味では今作はFC時代の古参向けを意識したのかもしれないが、古参の私でもこれは受け容れ難いし、FC時代の理不尽ゲーにしたいのならそういう難度設定を別に設けるべきだと思う
 本編終了まではなんとかなるのでテストプレイでも妥当と評価されたのかもしれないが、裏ダンジョンになった途端に、物理ダメージ通らないわ、状態異常のオンパレードで運ゲーになるわで「なんだこれ!?」とストレスを感じたプレイヤーは少なくないのではないか。
 本編クリアまでは許容できるが、裏ダンジョンはかなりストレスが溜まる。エンドコンテンツに関しては、オリジナル(エンドコンテンツはSFCが初出なのでSFC版)に寄せるどころか、改悪としか思えない。

【ドラクエらしくない敵のいやらしさ】
 テドンに出てきた無限仲間呼びの敵といい、後半(特に裏ダンジョン)の敵といい、敵の行動がこれまでのドラクエらしくない。複数回行動する敵が大量に出てくるので戦闘が長引いてしかたないし、1ターンに4~5回もラリホーやザラキをやってくるなど鬱陶しいにもほどがある。仲間を増やすにしても、マドハンドくらいの雑魚がやるならかまわないが、中ボス的ポジションでマドハンドなみに仲間を呼ぶのはどうかと思う。
 後半の敵は総じて後方にいるキャラを積極的に攻撃してくる傾向があり、後ろは狙われにくいというのが鉄則のドラクエにしては意地が悪く、ひねくれている。そのためHPの低いキャラを3~4番目に配置しているとかなり落とされやすい。私の4番目のメンバーは入れ替わりが多かったこともあって、頻繁にピンチになった。「装備品が優秀でHPも高い勇者狙えよ」と何度も思ったが、2番目にいた勇者はほとんど狙われず、せっかくの勇者の特技「だいぼうぎょ」さえ出番がないという始末(そもそも装備品が充実している勇者に「だいぼうぎょ」は不要だと思うが、なぜ勇者の特技にしたのか疑問である)。後列を狙う敵がいてもいいが、今作はそれが多すぎる。

 ところで、DQ3をやっていたらまたDQ11をやりたくなってきたのでSwitch版のDQ11を購入して今はそれを進めているのだが、直近のDQ作品と比較すると今作(DQ3)の異常さを改めて実感する。
 3DS版では世界崩壊まで誰も死なせずに進められたのに、Switch版では序盤のサマディーでいきなり金のサボテンが死のおどりをやってきて、一気に二人落ちてピンチになった(この時点ではザオラルがないし、1枚きりの世界樹の葉は袋の中)。3DS版より敵が強く感じるが、それでも死のおどりは1回きりで連発してきたりはしなかった。通常攻撃もそれなりに痛く敵のHPも高いので、スカラやジバリアを使いながら地道にダメージを与えてどうにか倒したが、ドラクエの戦闘バランスはこれくらいではなかったか。これがリメイクDQ3仕様だったら、おそらく死のおどり連発で即全滅していただろうと思う。それくらい、今回のDQ3では状態異常や即死など行動不能にさせる技をやたら連発される。
 またデスコピオンは混乱攻撃を仕掛けてくるが、混乱に多少の耐性がある「エマのお守り」を装備していた主人公は他のメンバーに比べて混乱になる頻度が少なく(1回だけだった)、DQ11ではちゃんと耐性装備が機能する。これがリメイクDQ3仕様だったら、混乱者続出でシルビアのツッコミが追いつかなくなっただろう
 ただDQ11はメンバー入れ替えや連携技など起死回生の手段があるので、リメイクDQ3の敵みたいなことをされてもなんとかなりそうだが(それでもストレスは溜まるが)、DQ3にはそういった戦略の幅がない。だからこそ敵のいやらしさが目立つし、まものよび(でさっさと倒すしかない)ゲーになってしまう

【転職システムの欠点を補強する、エンドコンテンツの敵の凶悪さ】
 本編は私の半おふざけプレイでもクリアできる(回復アイテムをほとんど使わなかったくらい余裕もあった)のでまだいいのだが、裏ダンジョンが凶悪すぎる。裏ダンジョンの敵と戦うにはメンバーを強化するしかないのだが、LV40台以降は必要経験値が10万前後でLVが上がりにくい。裏ダンジョンの敵で得られる経験値はゾーマ城の敵と大差ないくせに(キングヒドラは儲かるが)、HPが多くて倒しづらいうえ、状態異常や回復・蘇生等によって戦闘が無駄に長引かせられるため割に合わない。難度「楽ちん」でキングヒドラやはぐれメタルを狩り続けないと、なかなかLVは上がらない(しかもオリジナルに寄せている今作は、はぐれメタルが逃げまくって狩りづらい)。LV上げ作業がだるい。
 手っ取り早いのは転職を繰り返すことである。能力値の底上げをしつつ呪文・特技も増やせる。しんりゅうもこれで簡単に倒せるようになるだろうが、そうすると皆が皆同じ呪文・特技を使えるようになってしまうことで個性がなくなり、面白味が薄れてしまう。そればかりか、転職の繰り返しで仲間を強化すればするほど、勇者の価値が減ってしまう(転職できない勇者には成長の限度がある)。勇者の能力値を上げるには「~の種」を使わないといけないが、「盗む」や「お宝ハンター」「スーパールーレット」のような特技がない今作においては種の入手も運次第で入手しづらい。
 転職システムはそもそも調整が難しいのでしかたないとは思うが、裏ダンジョンに関しては転職を繰り返して能力値の底上げをしないとやっていられないほど敵が凶悪なので、転職繰り返しによる没個性と勇者の存在価値低下を引き起こしてしまい、バランスが悪い
 また「転職を繰り返さないとやっていられない」凶悪さは、プレイヤーのお気に入り職業を活躍させにくくもしてしまう。お気に入り職業をずっとパーティーに入れたい人やメンバーにこだわりのある人にとっては、今作は楽しみにくいのではなかろうか。
 今作のエンドコンテンツは敵が凶悪すぎるために、ほとんどがLV上げという退屈な作業に費やされてしまい、面白味には欠ける。「サガ エメラルドビヨンド」のように戦闘が面白ければキャラ育成もさほど苦にはならないが、今作は戦闘がストレスフルなので実にだるい。それで私は「もういいや」となってしまった。プレイヤーを行動不能にさせまくる敵の行動は、格ゲーでいうハメ殺しのようなものである

【まものよびの賛否】
 まものよびの性能に関しては、気に入らなければ使わなければいいとは思うが、まものよびナシではやっていられない敵の意地悪さがあるので、批判噴出は頷ける。まもの使いやまものよびを封じて進めることも当然できるが、戦闘が長引いてストレスが溜まるのではないだろうか。
 まものよびは、DQ8のようにチーム呼びでよかったのではないかと思う。そのほうがバトルロードとの相性もよく、モンスター集めの動機にも繋がるし「これを連発していれば勝てる」とはならなかっただろう。

3.7. おわりに

 良くも悪くもかなりFC時代のオリジナルに寄せ気味だと思う。個人的には昔のゲームの欠点まで再現する必要はないし、昔の難度で楽しみたい人はそのオリジナルをやればいい、あるいは自分で工夫して難度を調節すればいいと思っているので、昔のゲームの負の面まで寄せてしまったのはよくない。懐古主義・古参偏重は新規が参入しづらくなり、古参の寿命とともにそのコンテンツも死んでいくので、今作が若年層や新規ユーザーに受け容れられていればいいが、そうでないのなら見直して次(DQ1・2)に繋げてほしいと思う。
 操作性とシステム(戦闘バランス)面で不満は多いものの、ゲーム本編はだいぶ楽しめた(本編までならやや高評価、エンドコンテンツを含めると評価が下がる)。この戦闘バランスだとDQ2のロンダルキアは嫌な予感がするが、本編までならなんとかなりそうだし、2025年発売予定のDQ1・2も買ってみるつもりである。
 まだやり残している今作のエンドコンテンツについては、続けるかどうかわからない。Switch版のDQ11が楽しいので(3DS版とは見た目や操作感がかなり変わっていて新鮮な気分で楽しめている)、しんりゅうの先の追加イベントは、やるとしたら当分先になりそうである。

▲ヘッダーに使用した元絵。本編はこの4人でクリアできてよかった。


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