インフラエンジニアの市場価値
インフラエンジニアは「オワコン」?
ITエンジニアを大枠で分類してみると、開発系とインフラ系に分けられると思います。
そして、その母数で言うとおそらく「開発系>インフラ系」になるでしょう。
そういう意味でいうと、インフラエンジニアの希少性は高いといえます。
ただ、
転職サイトから見たときに、インフラエンジニアとしての募集って意外と少ない
んですよね。
たとえあったとしても、SIerやSES企業の募集が大半です。
それに比べて、開発系のエンジニアの求人数は倍以上。
インフラエンジニアの需要少なくない?
1年ほど前に、新卒で入社したSES企業から転職活動していた当時の私の心境がまさにそれでした。
>> 『【体験談】文系のIT未経験が新卒でSES(客先常駐)に入社した話』
じゃあ実際のところ需要はあるのか?
インフラエンジニアがキャリアアップしていくにはどうしたらいいのか?
今回、インフラエンジニアとして、これからキャリアアップ・転職して市場価値を上げるにはどうするべきか、についてちょっと考えてみます。
>> 『インフラエンジニアとして未経験から爆速で成長するために読んだおすすめ入門書12冊』
求められてるのはインフラスキル+a
インフラエンジニアとして市場価値を上げるにはどうするべきか?
その答えは、純粋なインフラスキルだけでなく、
インフラスキル+a(プラスアルファ)なスキルを身につけることではないでしょうか?
昨今のインフラエンジニアとしての転職市場の需要を見ると、純粋なインフラエンジニアの需要よりも、クラウド(AWS)系やセキュリティ系のエンジニアとしての需要が伸びてきています。
つまり、インフラ系のスキルだけでなく、それプラスアルファで他のスキルも兼ね備えていく必要があるということです。
昨今のトレンドを示す4つの潮流
では、インフラエンジニアはこれからどんなスキルをプラスアルファとして身につけるべきか。
ただ、それはその時々のトレンドに依ります。
最近のインフラ界隈を賑わしている技術やツールをマクロな視点で見ると、大きく4つの潮流があるのではないでしょうか。
①オンプレからクラウド
これは一番イメージしやすいですよね。
インフラエンジニアの視点から見たクラウド基盤による最大の利点は、当たり前ですが、ハード面の管理が不要になることとDR等の冗長化が容易にできること。
また、サーバを持たずして、AWS等のコンソール上でサーバ同等の機能を利用する、マネージドサービスもありがたい。
まあそれはそれで、簡単にできてしまうゆえに、裏での動きを理解する必要がなくなってしまいますが。
②GUIからCLI
これは、①のクラウド化に関連することですが、今はコマンド1発で仮想的なサーバやネットワークを作れます(例えばAWS CLI)。
AWSに関していえば、そうしたCLIによるコマンドで作った基盤をCLIのパラメータとして管理する、「CloudFormation」というサービスがあるくらい、CLIでの需要は高まっていくでしょう。
また、コンテナ(Dockerやk8s)によるサーバ管理もCLIがメインです。
③手作業から作業の自動化(コード化)
インフラエンジニアもコードをごりごり書く時代になってきています。
例えば、複数のサーバに同様の設定を行いたい場合、AnsibleやChef、Puppetといった構成管理ツールを用いれば、複数のサーバに素早くかつ正確に設定を行うことができますよね。
これら構成管理ツールは、使用する言語や記述形式は異なりますが、共通点として、事前に設定情報をコード化して管理しています。
べつにできなくても、インフラエンジニアとして食っていくことはできるかもしれません。
ただ、それができるのとできないとでは、今後のキャリアアップに大きな差が生まれることでしょう。
④クラウドセキュリティ
これはあまり馴染みがないかもしれませんが、いわゆる「シャドーIT」対策です。
ブラウザ内でのクラウドサービスの利用を監査・監視していくには、従来のファイアーウォール機能では把握しきれなくなってきています。
そこで昨今登場したのが、CASB(キャスビー)と呼ばれるソリューションです。これより、SaaSの利用を監視し、各個人(IPアドレス等)レベルで容易に制御することができます(用語解説はリンクを参照ください)。
クラウドサービスの利用需要が見込まれる中で、CASBは今後ますます重要な技術となっていくでしょう。
これからインフラエンジニアに求められるスキルとは?
上記で述べた昨今の4つの潮流をベースに、これからインフラエンジニアとして求められるスキルについて纏めてみます。
結論、以下の3つが次世代のインフラエンジニアとして求められるスキルとなるのではないでしょうか?
❶クラウド基盤の知識・構築スキル
→ パブリッククラウドならAWSやAzure
→ プライベートクラウドならVMwareやNutanix
❷CLI操作やコード化による業務の自動化スキル
→ AnsibleやChef等の構成管理ツール
→ Dockerやk8sによるコンテナ技術を用いたサーバ運用
❸クラウドセキュリティの監査・管理スキル
→ CASB(キャスビー)を用いたシャドーIT対策
ただ、これらのスキルのベースには、やはりサーバやネットワーク、シェルやバッチのスクリプト作成、ファイアーウォールの基本的な知識が前提で必要となっています。
この前提がないと、裏で動いている技術的な部分を理解しないまま、表面的、ペラペラなスキルしか身につきません。
インフラエンジニアとして市場価値を高めていくには、
まずはサーバやネットワークといったインフラエンジニアとして、基本的なスキルを身に付ける。
そして、それをベースにプラスアルファなスキルを積み上げていく。
これがインフラエンジニアの王道なキャリアプランとなるのではないでしょうか?
参考リンク:『インフラエンジニアとしてキャリアアップ・転職するために有利なスキルとアピール手段を考える』