電子マネー観が化石だった件
ネットショッピングからコンビニまでクレジット払いに何の抵抗もないわたしは、20代のころから躊躇なくクレカを使っていて、キャッシュレス=クレジットカードという図式が完成していた。
所詮借金と言われても、大人なら自分の現金収支くらい予測するのが当たり前で、使いすぎが怖いなんて心配は1ミリも共感できなかった。信用を持っているのに電子マネーをチャージしてバーコードを示すなんてメンドクサイことはできないと、レジ待ちの後ろからペイペイ払いを冷ややかに見ていたところがあったと思う。
伝票サインが暗証番号に変わり、スーパーやコンビニの少額決済は認証スルーになったけど、キャッシュレスと言えばプラスチックのカードを差し込んで支払うという行為を続けてきて、それが一番スマートだと信じて疑わなかった。たまにsuicaも使ったけど、少なくともその二つがあればだいたいのお店で用が済んだので、他の決済方法なんて考えずに30年近い年月が経っていた。
さて先月、勢いで三井住友銀行の新システム「Olive」に加入した。
今までずっと、給料振込も生活費も貯蓄も買い物も全部メインバンクひとつで取引していたけど、生活費の枠は分けておいたほうがわかりやすいかなって思ったのだ。数行前に偉そうなこと書いたけど、口座残高をギリギリにしておいた方がムダ遣いの抑止力にはなる 笑
OliveはクレジットとデビットとVポイント払いと銀行口座を一元管理できるアプリで出来ていて物理カードは1枚だけ。用途はスマホアプリで切り替えるようになっていてVISAタッチの機能が付いている。クレカは何枚か契約しているけどタッチ決済に対応したカードは初めて。スタートアップに従ってアプリを設定していくとやがてApple Payとの連携を促された。
Apple Pay!
わたしには無縁と思っていた機能がここで繋がった。
そもそもナントカペイというのはsuicaと同じように現金をチャージして使うものと思っていた。でもここで説明されているApple PayはiPhoneをカード代わりに使うもので、レジでピッとするとたちまちクレカ決済が完了した。
カード差し込み>(沈黙)>暗証番号>(沈黙)>決済完了という流れから考えれば、電光石火の早業である。レジで「ペイペイ民、遅すぎwww」なんてドヤっていたのが恥ずかしくなる。
財布に入ったクレカを取り出すより、iPhoneのほうが出しやすい。そして、ちょっとコンビニに行く程度なら財布を持つ必要がない。iPhoneに入ったカード情報は生体認証かパスコードで保護されていて、少なくとも落とした時のセキュリティが物理カードの比ではないことも理解できた。
さて、Apple Payの基本を押さえたところでsuicaもモバイル化してみた。
アプリを落としてアカウントを作ると、とりあえず1000円以上チャージが必要とのガイダンスが出る。どうやってするのかと思えば連携したクレカからのオンラインチャージだった。
びっくりだ。電子マネーは現金チャージという常識が覆った。
道理で最近、駅でチャージしている人が少ないはずだ!
たぶんいまどき、大概の電子マネーはクレカと連携できるのだろう。電子マネーを「買う」ことで、クレカの後払いを享受した上で電子マネーを使うこともできる。クレカでポイントを買い、ポイントで別のポイントを買う。ポイ活ガチ勢と呼ばれる人々は様々な電子マネー間で資金を移動しながらポイントを増やすこともしているらしい。
ちょっとした為替投資みたい。
お金がスマホと紐づくことでセキュリティとかプライバシーとか気にならないでもないけど、どのみちAmazonさんにはわたしの買い物傾向なんて筒抜けだし、スマホを捨てて山籠もりでもしない限り個人情報は死守できない。
なら便利な方がずっといい。
銀行も納税も新幹線も物議のあるマイナカードまで、パソコンで手続きが完結するオンラインサービスは早いうちから飛びついていて、歳のわりには新しいシステムを使いこなしていると思っていた。
でもわたしの頭の中には相応に、化石が育っていたみたいだ。